この記事では「株が上がる」について解説する。
端的に言えば、株が上がるは「その人の評判が上がること」です。なぜ「株」と表現するのか知っているか。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「株が上がる」の意味や語源をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「株が上がる」の意味・語源・使い方

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さっそく「株が上がる」の意味と語源をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。「株」についても調べてみますよ。

「株が上がる」の意味

まず、国語辞典で「株が上がる」の意味をチェックしましょう。

その人の評判がよくなる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「株が上がる」

「株が上がる」「その人の評判がよくなること」です。ではなぜ評判がよくなることを「株が上がる」と表現するのでしょうか。辞書で「株」も調べてみましょう。

1 切り倒した木や、刈り取った稲などの、あとに残った根元の部分。切り株や刈り株。くいぜ。
2 草木の、何本にも分かれた根元。柄の部分が分かれた形のキノコにもいう。
3 同種の細菌・ウイルス・培養細胞などの集まり。
4 株式。株券。
5㋐特定の身分・地位または職業上・営業上の権利・資格・格式。
  ㋑江戸時代、株仲間の一員として持つ特権。また、御家人 (ごけにん) ・名主 (なぬし) などの身分・地位を世襲・継続する特権。売買の対象ともなった。
6その仲間・社会で評価を得ていること。また、その評価。
7 その人特有の癖。得意なわざ。現代では「おかぶ」の形で用いる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「株」より抜粋

意外にたくさんの意味があると思われたのではないでしょうか。「株」の元々の意味は「切り株」です。日頃、新聞やテレビでよく目にする「株」は「株式」「株券」ですね。「その仲間や社会で評価を得ていること。また、その評価」という意味もあります。「株」には「その人に対する評価」という意味もあるので「株が上がる」は「その人の評判がよくなること」なのです。

\次のページで「「株が上がる」の語源」を解説!/

「株が上がる」の語源

「株」本来の意味は「切り株」です。「切り株」は木を切った後もずっと残るものなので、転じて「世襲などで継承される特別な地位や身分のこと」を「株」と表現するようになりました。

前項で引用した国語辞典の「株」の語釈を見ると、「特定の身分・地位」または「職業上・営業上の権利・資格・格式」とありますね。わかりやすい例としては大相撲の「年寄株」があります。

また江戸時代、商工業の同業者が営業を独占し、利益を増やすために「株仲間」という同業組合を作りました。諸説ありますが、「株が上がる」や「お株を奪う」などは、この頃からある表現と言われています。

「株が上がる」の使い方

例文で「株が上がる」の使い方を見ていきましょう。

1.大口客先からのクレームを円満に解決したことで、社内での彼の株が大いに上がった。
2.彼女はアイドルとしてはさほどブレイクしなかったが、結婚出産を経て、育児や家事のことをSNSで発信するようになってから徐々に株が上がり、ママタレとしての地位を確立した。

最初の例文は、対応を間違えれば顧客を失うかもしれないクレームにうまく対処したせいで、彼の社内での評判がよくなったという意味です。

2番目の例文は、人気がイマイチだったアイドルが、家事や育児について発信することで共感を得て評価が高くなり、タレントとしての人気も出たという意味ですね。

会社の株価が上がるためには、新商品の評判がよいなど何か理由があるものです。人の場合難問を解決したり、SNSを発信したり、何かきっかけがありそうですね。

「株が上がる」の類義語

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「株が上がる」と同じような意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「好評を博す」:よい評判を得る

「好評」は「よい評判」という意味。「博する」は「獲得する」「自分のものとする」などの意味があります。「好評を博す」「よい評判を得る」という意味です。同じ読みで「高評」という言葉もあります。「高評」も「好評」と同じく「よい評判」という意味です。「高評」のほうは、他人の批評を敬って言うときに「御」をつけて「先生に御高評を賜る」といった使い方をしますよ。

\次のページで「「一目置かれる」:優れていると認められる」を解説!/

「一目置かれる」:優れていると認められる

「一目置く」は囲碁に由来する言葉です。「一目」は一個の碁石のこと。囲碁で対戦するとき、弱い方が先に石を一つ置いてハンディをつけてから勝負を始めます。転じて「相手が優れていることを認めて一歩譲る」という意味になりました。「一目置かれる」「優れていると相手から認められること」ですね。非常に優れている相手に対しては「一目も二目も置く」といいます。

「面目(めんぼく)を施(ほどこ)す」:評判を高める

「面目」は「めんぼく」または「めんもく」と読みます。意味は「世間や周囲に対する体面」「立場」「名誉」や「世間からの評価」です。「面目を施す」「評価を高める」「体面や名誉を保つ」という意味ですよ。「県大会で優勝して強豪校としての面目を施した」といった使い方をします。「面目ない」は「恥ずかしくて世間に顔向けできないこと」、「面目を失う」は「自分の名誉を傷つけること」です。

「株が上がる」の反対語

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「株が上がる」と反対の意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「評判を落とす」:評判が悪くなる

「評判を落とす」「評判が悪くなる」「人物の評価が下がる」という意味です。努力の甲斐あって株が上がっても、何か問題があれば一瞬で評判は地に落ちてしまいますよ。

「株が上がる」の英訳

次は英語で「株が上がる」をどのように表現するか見ていきましょう。

「one's stock rises」:株が上がる

「one's stock rises」は「株が上がる」という意味です。

\次のページで「「株が上がる」を使いこなそう!」を解説!/

His stock has risen sharply.
彼の評価が急に上がった。

「stock」は「株」ですが、「信用」「評価」などの意味もあります。「rise」は「上がる」という意味です。「one's stock goes up」も「株が上がる」という意味ですよ。「His stock is high.」は「彼に対する評価は高い」ですね。

「株が上がる」を使いこなそう!

この記事では、「株が上がる」の意味や語源を調べ、使い方や類義語などを解説しました。

「株が上がる」「その人の評判がよくなること」です。「株」の元の意味は「切り株」でした。「切り株」は木を切った後もずっと残るので、転じて「世襲などで継承される特別な地位や身分のこと」を指すようになり、「その仲間や社会で評価を得ていること。また、その評価」という意味も生まれました。

株価が上がるか下がるかは予測が難しいですし、個人の力では何ともできません。しかし、自分の株が上がるか下がるかは、自身の努力にかかっているのではないでしょうか。

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国語言葉の意味

「株が上がる」の「株」って何?意味・使い方・類義語などを日本放送作家協会会員が簡単にわかりやすく解説

この記事では「株が上がる」について解説する。
端的に言えば、株が上がるは「その人の評判が上がること」です。なぜ「株」と表現するのか知っているか。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「株が上がる」の意味や語源をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「株が上がる」の意味・語源・使い方

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さっそく「株が上がる」の意味と語源をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。「株」についても調べてみますよ。

「株が上がる」の意味

まず、国語辞典で「株が上がる」の意味をチェックしましょう。

その人の評判がよくなる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「株が上がる」

「株が上がる」「その人の評判がよくなること」です。ではなぜ評判がよくなることを「株が上がる」と表現するのでしょうか。辞書で「株」も調べてみましょう。

1 切り倒した木や、刈り取った稲などの、あとに残った根元の部分。切り株や刈り株。くいぜ。
2 草木の、何本にも分かれた根元。柄の部分が分かれた形のキノコにもいう。
3 同種の細菌・ウイルス・培養細胞などの集まり。
4 株式。株券。
5㋐特定の身分・地位または職業上・営業上の権利・資格・格式。
  ㋑江戸時代、株仲間の一員として持つ特権。また、御家人 (ごけにん) ・名主 (なぬし) などの身分・地位を世襲・継続する特権。売買の対象ともなった。
6その仲間・社会で評価を得ていること。また、その評価。
7 その人特有の癖。得意なわざ。現代では「おかぶ」の形で用いる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「株」より抜粋

意外にたくさんの意味があると思われたのではないでしょうか。「株」の元々の意味は「切り株」です。日頃、新聞やテレビでよく目にする「株」は「株式」「株券」ですね。「その仲間や社会で評価を得ていること。また、その評価」という意味もあります。「株」には「その人に対する評価」という意味もあるので「株が上がる」は「その人の評判がよくなること」なのです。

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