この記事では「平仄が合わない」について解説する。

端的に言えば「平仄が合わない」の意味は「物事の筋道がたたない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

豊富な読書経験を持ち、詩人としても活動するくぼっちを呼んです。一緒に「平仄が合わない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くぼっち

児童文学から精神世界、育児書まで幅広い読書経験を持ち、詩人としても活動中。その豊富な経験を生かし、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「平仄が合わない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「平仄が合わない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ひょうそくがあわない」です。

「平仄が合わない」の意味は?

「平仄が合わない」には、次のような意味があります。まずは辞書で正確な意味を確認してから、さらに詳しく見ていきましょう。

漢詩を作るときに守るべき平声字と仄声字の配列が合わない。転じて、物事の筋道がたたない

出典:デジタル大辞泉(小学館)「平仄が合わない」

「平仄が合わない」とは聞き慣れない慣用句ではないでしょうか。読み方も「平仄(ひょうそく)」ですから馴染みがないですね。

というのも平仄という言葉は、漢詩を作るときの規則が元になっているようですので、馴染みがないのも当然ですね。

意味は「物事の筋道がたたない」ということですが、この慣用句の意味を紐解くには、「平仄(ひょうそく)」という言葉の語源をしっかりと見ていく必要がありそうですね。

「平仄が合わない」の語源は?

では「平仄が合わない」の語源を確認しておきましょう。

\次のページで「「平仄が合わない」の使い方・例文」を解説!/

平仄(ひょうそく)とは、中国語における漢字音を、中古音の調類(声調による類別)にしたがって大きく二種類に分けたもの。漢詩で重視される発音上のルール。平は平声、仄は上声・去声・入声である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

何のことかわかりませんね(笑)。それでは詳しく見ていきましょう。

中国語の漢字には一字一字に音があり、音の調子やリズムによって、平声(へいせい、ひょうせい、ひょうしょう)・上声(じょうせい、じょうしょう)・去声(きょせい、きょしょう)・入声(にゅうせい、にっしょう)の四種類に分けられます。これを四声(しせい)といい、五世紀ごろまでに四つに分類されたようです。

さらに平らな調子の平声を「平」、上がったり下がったり詰まったりといった変化のある調子の上声・去声・入声を「仄」として二つに分類されます。

これを「平仄」といい、漢詩はこの「平」と「仄」の組み合わせによって、美しいリズムが生み出されるわけです。そしてこの「平」と「仄」の組み合わせには厳密なルールが決まっており、その規則に従って漢詩は作られています。

簡単にいうと「平仄(ひょうそく)」とは、中国語の漢字音を、音の調子(韻律)にしたがって大きく二つに分けたものであり、その配列のルールということです。

ですからその「平仄」の規則に沿っていない場合は、漢詩としては整合性がないということになります。

それで慣用句「平仄が合わない」の意味が、「物事の筋道が立たない」ということになるわけですね。

辞書に「漢詩を作るときに守るべき平声字と仄声字の配列が合わない。転じて、物事の筋道がたたない。」とあったように、平らな調子の平声字と変化のある仄声字の配列が規則に沿っていないと、道理に合わないということです。

「平仄が合わない」の使い方・例文

「平仄が合わない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.最近話題の事件、犯人はAだと言われているが、目撃者の証言は矛盾しており、平仄が合わない。真相の追求が必要だ。


2.友人の話は急に話題が変わったり、話の順序が前後したりして、平仄が合わない。もっと日本語の表現を勉強してもらいたいものだ。

1.2共に、話が矛盾している、物事の道理に合わないという意味で用いられています。

これに対して、順序や辻褄を合わせるという意味で「平仄を合わせる」という使われ方もありますので補足しておきましょう。

例えば「上司から、以前に提出した書類と平仄を合わせて作成するように指示された。」という場合、文字の大きさや書き方を以前の書類と揃えて作るという意味になりますね。

その他、日銀総裁の黒田氏が記者会見の中で「その点は私どもと平仄が合っていると思います。」と話されており、ここでは「つじつまが合っている」という意味で使われているようです。

\次のページで「「平仄が合わない」の類義語は?違いは?」を解説!/

「平仄が合わない」の類義語は?違いは?

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次は「平仄が合わない」の類義語についての説明です。よく似た意味を表す慣用句について、一緒に見ていきましょう。

「辻褄が合わない」

「平仄が合わない」の類義語には「辻褄が合わない」があります。読み方は「つじつまがあわない」です。

「辻」とは、裁縫で縫い目が十文字に合う所をいい、「褄」は着物の裾の左右が合う所ですので、「辻褄」とは「合うべきところがきちんと合う物事の道理」という意味になります。

そのため「辻褄が合わない」とは、「物事の道理に合わない」となり、「平仄が合わない」と同じ意味を持つと言えるでしょう。

「平仄が合わない」の対義語は?

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それでは次に、「平仄が合わない」の対義語を見ていきましょう。

「帳尻を合わせる」

「平仄が合わない」の対義語には、「帳尻を合わせる」がいいでしょう。読み方は「ちょうじりをあわせる」です。

「帳尻」とは帳簿の記載の最後のところ、収支の最終的計算をいいます。

「帳尻を合わせる」には二つの意味があり、「帳簿の最終的な収入と収支が合うようにすること」そして「最終的に物事の整合性がとれるよう、辻褄を合わせること。」です。

辻褄を合わせる」ということで、「平仄が合わない」の「筋道が立たない」とは反対の意味を持つと言えるでしょう。

「筋を通す」

もうひとつ「平仄が合わない」の対義語には、「筋を通す」があげられます。読み方は「すじをとおす」です。

「筋」とは物事の道理、筋道ですから、「首尾を一貫させる」「道理にかなうようにする」といった意味になります。

「帳尻を合わせる」は最終的に辻褄を合わせるという意味ですが、「筋を通す」は初めから道理にかなっているという違いがありますね。

\次のページで「「平仄が合わない」を使いこなそう」を解説!/

「平仄が合わない」を使いこなそう

この記事では「平仄が合わない」の意味・使い方・類語などを説明しました。「平仄(ひょうそく)」という聞き慣れない言葉ですが、中国の漢詩における文字配列のルールが語源になっているということでしたね。

その配列の規則が「平仄」であり、ルールに沿っていない漢詩には整合性がなく「平仄が合わない」ということになります。

「物事の筋道が立っていない、辻褄が合っていない。」と感じた時にはぜひ、この「平仄が合わない」を使ってみてはいかがでしょうか。

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【慣用句】「平仄が合わない」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「平仄が合わない」について解説する。

端的に言えば「平仄が合わない」の意味は「物事の筋道がたたない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

豊富な読書経験を持ち、詩人としても活動するくぼっちを呼んです。一緒に「平仄が合わない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くぼっち

児童文学から精神世界、育児書まで幅広い読書経験を持ち、詩人としても活動中。その豊富な経験を生かし、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「平仄が合わない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「平仄が合わない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ひょうそくがあわない」です。

「平仄が合わない」の意味は?

「平仄が合わない」には、次のような意味があります。まずは辞書で正確な意味を確認してから、さらに詳しく見ていきましょう。

漢詩を作るときに守るべき平声字と仄声字の配列が合わない。転じて、物事の筋道がたたない

出典:デジタル大辞泉(小学館)「平仄が合わない」

「平仄が合わない」とは聞き慣れない慣用句ではないでしょうか。読み方も「平仄(ひょうそく)」ですから馴染みがないですね。

というのも平仄という言葉は、漢詩を作るときの規則が元になっているようですので、馴染みがないのも当然ですね。

意味は「物事の筋道がたたない」ということですが、この慣用句の意味を紐解くには、「平仄(ひょうそく)」という言葉の語源をしっかりと見ていく必要がありそうですね。

「平仄が合わない」の語源は?

では「平仄が合わない」の語源を確認しておきましょう。

\次のページで「「平仄が合わない」の使い方・例文」を解説!/

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