

ライター/mimosa
もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。
生体防御について
私たちの体を健康に保っていて病気から守ってくれる体内の働きは「免疫」として知られていますね。かつての免疫の研究は「抗原抗体反応」が中心でした。抗原抗体反応とは、抗原(病原体など)が抗体を結びつく反応のことです。医学やバイオサイエンスの研究が進んできたら、ウイルス感染に対する防御では、抗体は細胞内に取り込まれず、細胞を丸ごと消滅させる機能を持つ「細胞性免疫」が重要な役割を担っていることがわかりました。1960年代後半から「細胞性免疫」の研究が活発になってきたのですよ。
ちなみに、「細胞性免疫」は感染だけでなく腫瘍など体内にできる異常な細胞の排除にも関わっているのですよ。
抗体、抗原についての基礎知識

image by Study-Z編集部
細胞性免疫について説明する前に抗原、抗体について基礎的なところを押さえていきましょうね。抗原、抗体についてコトバンクを参考にして説明しますね。抗原とは、動物体内に侵入し刺激することにより、特異的に反応するタンパク質すなわち抗体を産生させたり、細胞性免疫を発動させる物質。毒素、微生物、細胞、合成化合物などが抗原となりますが、抗原上の抗体と作用する部分を抗原決定基とも言いますよ。
抗体とは、コトバンクを参考に説明すると、自分とは違った異物(抗原=ウイルスや細菌など)が体内に入り込んだとき、そのタンパク質に反応し、体から追い出すためにできる対抗物質のことですよ。以上のことから、かつては抗原と抗体は鍵と鍵穴みたいな関係であると言われていましたが、研究が進むにつれ生体内の免疫機能はもっと複雑なものと分かったのですね!
また、抗原の説明の中にあったように、抗原抗体反応はまさに免疫の働きのことですね。次は免疫についてみていきましょう!
液性免疫と細胞性免疫について

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液性免疫は、B細胞が関与していますよ。抗原提示細胞やヘルパーT細胞から情報を受け取ったB細胞が活性化されて、形質細胞に分化して、抗体(免疫グロブリン)をつくるのですよ。免疫グロブリンには、IgA, IgD, IgE, IgG, IgMの5種類があって、特にIgEはアレルギーに関与していますよ。抗体が抗原と結合することで抗原の毒性がなくなるか弱められて、病気として発症しなくなりますよ。
細胞性免疫では、T細胞からインターロイキンやインターフェロンと言ったサイトカイン(細胞から分泌されたタンパク質)が放出され、ウイルスに感染した細胞や抗原を直接攻撃します。抗原提示細胞と呼ばれるものがありますが、これはマクロファージや樹状細胞は抗原を取り込んでその特徴を細胞膜上に提示するのでこのような名前がついたのですね。抗原提示細胞からサイトカインを通してT細胞の1つであるヘルパーT細胞(Th0)に情報が伝えられ、ヘルパーT1(TH1)細胞とヘルパーT2(Th2)細胞を活性化させます。これによって細胞性免疫と液性免疫が働くのです。
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