
今日のテーマは「減数分裂」なのですが、この言葉を聞いたことのある人はどれくらいいるでしょうか?雄と雌がある生き物が繁殖するには、精子や卵などの配偶子と呼ばれる生殖細胞が必要になるよな。この配偶子をつくるために行われている分裂が減数分裂です。なぜ減数分裂を行うのか、そしてどのようなメリットがあるのか?
今回は減数分裂について、生物に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。
ライター/オリビン
理系の大学院を卒業後、医学部の研究室で実験助手をしている。毎日のように遺伝子解析をしているため、分子生物学に関する知識が豊富。
はじめに

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地球上に初めて生命が誕生したのはおよそ35億年前。当時の地球にはラン藻という植物があちこちに生えていました。時が流れ、次に出現した生き物は単細胞生物です。単細胞生物は分裂といって、雌雄がそろわなくても繁殖できるため(無性生殖)、分裂を繰り返しどんどん増えていきました。
しかし、地球の環境は複雑に変化しているため単細胞生物も絶滅と繁栄を繰り返していたんです。次に登場したのが多細胞生物。多細胞生物は雌雄が揃わないと繁殖できませんが、雄と雌の特徴を半分ずつ引き継げるため、一気にいろいろな種類の生き物が誕生しました。彼らはより環境変化に耐えるために複雑に交配し、種を残してきたのです。このように雄と雌を必要とする生殖を有性生殖と言います。
今回はこの有性生殖をするために行われている減数分裂にスポットを当てて解説していきますね。
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減数分裂とは
細胞分裂という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。細胞分裂とは、書いて字のごとく1つの細胞が2つに分かれることです。2つに分かれるときに細胞の中身まで半分になるわけではなく、もとの細胞と全く同じものができるように調整されながら分裂します。
しかし、減数分裂は少し違うのです。有性生殖では父親からの精子と母親の卵が受精し1つの受精卵になります。このとき2つの細胞が合体して1つの細胞に成るため、普通に細胞が合体してしまうと細胞内の器官も数が2倍になってしまいますよね。特に染色体のような遺伝子が含まれている組織が2倍になってしまうと、生き物は生きていけないんです。
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