1.父は息子を怒鳴りつけたが、母は叱らず、優しい言葉で諭し、彼の心を開いた。柔能く剛を制すだ。
2.柔よく剛を制すというように、あなたの剛直な手段には賛成できない。
3.痩身の若者だから弱いだろうとなめてかかったら、柔よく剛を制すで負けてしまった。
「歯亡びて舌存す」
「歯亡びて舌存す(はほろびてしたそんす)」とは、「歯が抜け落ちてなくなっても、舌は残る」ことから「堅固なものが早く滅び、柔軟なものほどあとまで残る」という意味をなします。
「歯亡舌存(しぼうぜっそん)」や「歯堕舌存(しだぜっそん)」などの四字熟語にもなっていますね。
「柳に雪折れ無し」の対義語は?
次に「柳に雪折れ無し」の対義語を考えてみましょう。
出る杭は打たれる
1.あんなに目立った行動を続けていては、出る杭は打たれるという結果になりかねない。
2.出る杭は打たれるのを恐れてばかりで何の発言もできない。
「柳」のようなしなやな強さではなく、杭のように尖っていて硬い、乱暴な強さでは、かえって勝つことができないと捉えることができます。
「Oaks may fall when reeds stand the storm.」
「oak」は「樫(かし)の木」、「reed」は「葦(あし)」を意味することから、「樫の木が倒れるような嵐にも、葦は耐え残る。」という意味に相当します。
「柳」の英語訳「willow」ではないながらも、同じ木や植物からなる興味深い慣用句ですよね。
ちなみに「reed」は、フランスの哲学者パスカルの名言、「Man is a thinking reed(人間は考える葦である)」にも見られます。
「Better bend than break」
「better A than B」で「AはBよりもよい(優れる)」という意味です。そして「bend」は「折れる、曲がる」を意味し、「break」は「壊れる」を意味することから「折れるよりは曲がる方がよい」転じて「長いものには巻かれろ」という意味。
「柳に雪折れ無し」や、前述の「柔よく剛を制す」とも近いニュアンスがあります。
「柳に雪折れ無し」を使いこなそう
この記事では「柳に雪折れ無し」の意味・使い方・類語などを説明しました。
様々な慣用句や言葉に登場する「柳」。そのある種不気味な外観から、古くは「幽霊」を想起させるものとも考えられていたそうです。「美人」や「幽霊」、はたまた「しなやかな強さ」を象徴する「柳」。なんとも興味深い樹木です。