この記事では「柳に雪折れ無し」について解説する。

端的に言えば柳に雪折れ無しの意味は「柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアン・ソレルを呼んです。一緒に「柳に雪折れ無し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間50冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章での解説を心がける。

今回は、単語「柳に雪折れ無し」をベースに、類語の「柔よく剛を制す」「歯滅びて舌存す」などを、意味や語源から例文、また英訳までみっちり解説。

「柳に雪折れ無し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「柳に雪折れ無し」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「柳に雪折れ無し」の意味は?

「柳に雪折れ無し」には、次のような意味があります。

1.柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえるというたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「柳に雪折れ無し」

「柳の枝に雪折れなし」、「風に柳」、「柳風にしなう」、「柳で暮らせ」、「柳に受ける」、「柳に風」、「柳に風折れなし」、「柳に風と受け流す」とも言われ、「柳」という語を使った、似た意味の慣用句は多くあります。

「堅い木は折れる」という、「柳に雪折れ無し」からそのまま逆に対応した慣用句も存在しているようです。

また「楊柳(ようりゅう)の風に吹かるる如し」という際の「楊柳」とは、柳の別称であり、またその「楊柳」は、柳の葉を重ねたような独特のシワのある綿生地の名前としても知られています。

「柳に雪折れ無し」の語源は?

次に「柳に雪折れ無し」の語源を確認しておきましょう。

その語源は、「柳の枝は柔らかくしなやかで一見頼りなく見えるが、雪が積もってもその重みで折れずに雪を受け流すことができるため、雪が積もった末に折れてしまう硬い木よりも実は強く、よく持ちこたえられる」ということからきているようです。

そこから転じて、「柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえられる」という意味で使用されています。

\次のページで「「柳に雪折れ無し」の使い方・例文」を解説!/

「柳に雪折れ無し」の使い方・例文

「柳に雪折れ無し」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女は優しい人だったが、芯は固くて物事に動じない、柳に雪折れなしというタイプだった。
2.彼は柳に雪折れなしという言葉がぴったりで、しなやかな考え方を持つ世渡り上手な人だ。
3.自分はこう見えて、柳に雪折れなしというようなしなやかな強さを秘めた大人である。

例文でも見られるように、ことわざ通りの木や物理的なものに限らず、人の柔軟な態度や、適応性、臨機応変さに対して主に使われる。

他にも「柳」を使った慣用句は多く、「柳眉(りゅうび)を逆立てる」(美人の怒った様子)や「柳は緑花は紅(やなぎはみどりはなはくれない)」(物事には自然のことわりがあること、春の美し景色)、

また「いつも柳の下に泥鰌は居らぬ(いつもやなぎのしたにどじょうはおらぬ)」(一度うまくいっても、また必ずうまくいくとは限らないということ)などがあります。

「柳に雪折れ無し」の類義語は?違いは?

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同じ「柳」というワードを使った類義語は多くありますが、それ以外の類義語をご紹介していきます。

「柔能く剛を制す」

弱い者が、かえって強い者を負かすこと」を意味する「柔能く剛を制す(じゅうよくごうをせいす)」。

こちらも「柳に雪折れ無し」と同様の文脈から、しなやかなものは弱そうに見えても、かたいものの矛先をうまくそらして、制することができるという状況をあらわします。

この「柔能く剛を制す」の「能く」は「可能」を意味し、四字熟語で「柔能制剛」とも言われるように、「柔良く剛を制す」と書くのは誤りです。

次に例文を見ていきましょう。

\次のページで「「歯亡びて舌存す」」を解説!/

1.父は息子を怒鳴りつけたが、母は叱らず、優しい言葉で諭し、彼の心を開いた。柔能く剛を制すだ。
2.柔よく剛を制すというように、あなたの剛直な手段には賛成できない。
3.痩身の若者だから弱いだろうとなめてかかったら、柔よく剛を制すで負けてしまった。

「歯亡びて舌存す」

歯亡びて舌存す(はほろびてしたそんす)」とは、「歯が抜け落ちてなくなっても、舌は残る」ことから「堅固なものが早く滅び、柔軟なものほどあとまで残る」という意味をなします。

歯亡舌存(しぼうぜっそん)」や「歯堕舌存(しだぜっそん)」などの四字熟語にもなっていますね。

「柳に雪折れ無し」の対義語は?

次に「柳に雪折れ無し」の対義語を考えてみましょう。

出る杭は打たれる

出る杭は打たれる」は「頭角を現す者は憎まれ邪魔をされる、よけいなことをする者は制裁を受ける」という意味。

 

例文を見てみましょう。

1.あんなに目立った行動を続けていては、出る杭は打たれるという結果になりかねない。
2.出る杭は打たれるのを恐れてばかりで何の発言もできない。

「柳」のようなしなやな強さではなく、杭のように尖っていて硬い、乱暴な強さでは、かえって勝つことができないと捉えることができます。

「柳に雪折れ無し」の英訳は?

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それでは「柳に雪折れ無し」の英訳を見ていきましょう。

「Oaks may fall when reeds stand the storm.」

「oak」は「樫(かし)の木」、「reed」は「葦(あし)」を意味することから、「樫の木が倒れるような嵐にも、葦は耐え残る。」という意味に相当します。

「柳」の英語訳「willow」ではないながらも、同じ木や植物からなる興味深い慣用句ですよね。

ちなみに「reed」は、フランスの哲学者パスカルの名言、「Man is a thinking reed(人間は考える葦である)」にも見られます。

「Better bend than break」

「better A than B」で「AはBよりもよい(優れる)」という意味です。そして「bend」は「折れる、曲がる」を意味し、「break」は「壊れる」を意味することから「折れるよりは曲がる方がよい」転じて「長いものには巻かれろ」という意味。

「柳に雪折れ無し」や、前述の「柔よく剛を制す」とも近いニュアンスがあります。

「柳に雪折れ無し」を使いこなそう

この記事では「柳に雪折れ無し」の意味・使い方・類語などを説明しました。

様々な慣用句や言葉に登場する「柳」。そのある種不気味な外観から、古くは「幽霊」を想起させるものとも考えられていたそうです。「美人」や「幽霊」、はたまた「しなやかな強さ」を象徴する「柳」。なんとも興味深い樹木です。

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【慣用句】「柳に雪折れ無し」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「柳に雪折れ無し」について解説する。

端的に言えば柳に雪折れ無しの意味は「柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアン・ソレルを呼んです。一緒に「柳に雪折れ無し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間50冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章での解説を心がける。

今回は、単語「柳に雪折れ無し」をベースに、類語の「柔よく剛を制す」「歯滅びて舌存す」などを、意味や語源から例文、また英訳までみっちり解説。

「柳に雪折れ無し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「柳に雪折れ無し」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「柳に雪折れ無し」の意味は?

「柳に雪折れ無し」には、次のような意味があります。

1.柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえるというたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「柳に雪折れ無し」

「柳の枝に雪折れなし」、「風に柳」、「柳風にしなう」、「柳で暮らせ」、「柳に受ける」、「柳に風」、「柳に風折れなし」、「柳に風と受け流す」とも言われ、「柳」という語を使った、似た意味の慣用句は多くあります。

「堅い木は折れる」という、「柳に雪折れ無し」からそのまま逆に対応した慣用句も存在しているようです。

また「楊柳(ようりゅう)の風に吹かるる如し」という際の「楊柳」とは、柳の別称であり、またその「楊柳」は、柳の葉を重ねたような独特のシワのある綿生地の名前としても知られています。

「柳に雪折れ無し」の語源は?

次に「柳に雪折れ無し」の語源を確認しておきましょう。

その語源は、「柳の枝は柔らかくしなやかで一見頼りなく見えるが、雪が積もってもその重みで折れずに雪を受け流すことができるため、雪が積もった末に折れてしまう硬い木よりも実は強く、よく持ちこたえられる」ということからきているようです。

そこから転じて、「柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえられる」という意味で使用されています。

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