
1.犬や猫に暴力をふるう血も涙もない事件が相次いで起こった。
2.この時間から過重労働を強いるなんて、血も涙もない経営者だ。
3.血も涙もない同級生たちは、いじめを見て見ぬふりをした。
このように、「血も涙もない」とは主に強い立場にいる人が弱い立場の人や動物に対して行う思いやりのない行動を表すときに使います。
犬や猫は話すことが出来ないので抵抗手段が少なく人間よりも弱い立場になりますし、経営者に対する部下社員も社会的立場では弱い存在ですね。このような弱い立場の人や動物に対して強い立場の人が思いやりのない行動をすると、冷酷さが際立ちます。弱い立場の人や動物に対しては、感情を高めることをしなくても抵抗される可能性が低いため、感情が無の状態で思いやりのない行動をすることが出来るからだと考えることが出来るでしょう。
また、例文の3のように同じ立場の人間に対する行動にも見られることがあります。同級生という同じ立場の間でも、自分も同じ立場になりたくないと相手を見下すことで「血も涙もない」行動を起こしてしまうものです。この場合は、感情を高めて助けることよりも無感情でいられる安全の道を選んだ同級生たちの行動を指します。
「血も涙もない」の類義語は?違いは?

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これまでは、「血も涙もない」の意味や具体的な使い方を解説してきました。
ここで、「血も涙もない」の類語と、その使い分けをご紹介しましょう。
「残酷極まりない」
皆さんの中では「残酷極まりない」という方が、インパクトが強くイメージしやすいかもしれません。「残酷」はその他にも「極悪」や「非道」などに言い換えられますが、どれもマイナスのイメージを連想する言葉ばかりですね。
基本的に「血も涙もない」と「残酷極まりない」は同じ意味として用いられますが、表す行動の程度によって使い分けることが好ましいです。思いやりのない行動に対して優劣をつけるということは難しいことですが、例えば無数の刺し傷がある遺体が見つかった殺人現場を想像してみてください。必要以上に刺し傷を与えて殺人を犯した犯人に対して使う言葉は「残酷極まりない」ですが、その遺体を興味本位で撮影してSNSに投稿する人を評する言葉は「血も涙もない」です。
このことから、「血も涙もない」と「残酷極まりない」は同じ思いやりの欠けた行動を指す類語ですが、状況に応じて使い分けることが必要だと分かりますね。
「血も涙もない」の対義語は?
「血も涙もない」とは、喜怒哀楽の感情を無くして思いやりのない行動をすることでしたね。それではその反対の意味を表す対義語を見ていきましょう。
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