「藪蛇」の対義語は?
それでは今度は「藪蛇」の対義語を見ていきましょう。こちらも一般に使われるふたつの言葉を紹介します。
「触らぬ神に祟りなし」
「藪蛇」は余計なことをしたために、良くない事が起こることを表すことわざでした。その反対ですから、余計なことをするべきでないという言葉が対義語になります。
「触らぬ神に祟りなし」はまさしくそのような意味を持つことわざ。読み方は「さわらぬかみにたたりなし」です。こちらは「尾張いろはかるた」の札のひとつ。
神様は信仰することで恩恵を与えてくれますが、反対に悪いことをすると祟りを受けてしまいます。それならばそもそも関係を持たなければ祟りを受けることもないということからこの言葉が生まれました。
「君子危うきに近寄らず」
もうひとつ、「君子危うきに近寄らず」を紹介します。この言葉の意味を端的に言うと「賢く教養のある人は危ないことに近寄らない」です。
こちらも「触らぬ神に祟りなし」と同様にそもそもリスクのあることに関係しないよう促す教えだと言えます。
勇気の大切さを伝えることわざ
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これまで扱ってきた慣用句はどれも「行動することによる悪影響」についてを戒めるものでした。しかし、行動しなければ何も起こらないというメッセージを持った慣用句もあるのです。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
まずはこちらの慣用句です。読み方は「こけつにいらずんばこじをえず」。「入らずんば」を「はいらずんば」と読まないように気をつけましょう。
虎が子供を非常に大切に育てることから、大事なものを慣用的に「虎の子」と呼びます。虎の子=虎子を得るためには恐ろしい虎の巣穴にはいらなければなりません。そこから転じて危険を冒さねば大きな利益は得られないことを表しているのです。
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