この記事では「藪蛇」について解説する。

意味を端的に言えば藪蛇の意味は「余計なことをした結果、災いを招くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

小説や記事の執筆経験のある中低青黄を呼んです。一緒に「藪蛇」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/中低青黄

読み方は「たかなしみどり」。大学生ライター。大学生活のかたわら、インターンにて記事の添削を行う。その他にも小説や記事の執筆など、「書くこと」に多く携わっている。

「藪蛇」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「藪蛇」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「藪蛇」の意味は?

「藪蛇」には、次のような意味があります。

よけいなことをして、かえって自分にとって悪い結果を招くこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「藪蛇」

「藪蛇」、少し漢字が難しいのでまず読み方をお教えしたいと思います。読み方は「やぶへび」。普段の会話の中で聞いたことあるという方も多いのではないでしょうか。

実はこの言葉、あることわざを略した慣用句なんです。そのことわざは「やぶを突いて蛇を出す」。それを知ると、「藪蛇」の意味をより理解しやすくなります。

藪とは、草木などの植物が生い茂っている場所。しげみとも表せます。とくに何もしなければ何も起こらないのに、そこを突っつくことで危険な蛇が飛び出してくる様子から、余計なことが不幸を招くことを表現しているのです。

「藪蛇」の使い方・例文

「藪蛇」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、実際の場面では以下のように用いられます。

\次のページで「「藪蛇」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.彼の事業が軌道に乗っていないのは明らかなのに、結果を聞くのは藪蛇だよ。
2.いつもの彼なら笑って受け流してくれる冗談だったのに、ついさっきケンカしたせいで機嫌が悪かっただなんて、とんだ藪蛇だったね。

より「藪蛇」の使い方を理解していただけるよう、それぞれの例文を見ていきましょう。

まず例文1。こちらは「彼の事業が軌道に乗っていない」という事実が藪に当たります。そして明らかに結果を聞くことで相手を怒らせてしまう、あるいは落ち込ませてしまうことは明らかですから、後半部分が「突いて蛇を出す」に対応しているのです。

例文2も同様に、冗談を言うという余計なことをしたばかりに相手を怒らせてしまったわけですから「藪蛇」であると言えます。

「藪蛇」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「藪蛇」の類義語は多数ありますが、その中でもより使用の頻度が高いふたつの言葉について解説していきましょう。

「寝た子を起こす」

まずひとつ目は「寝た子を起こす」です。こちらは藪蛇よりも意味がイメージしやすいのではないでしょうか。

子供は起きている時には泣いていることがほとんどで、両親は静かにさせるためにあやすのが非常に大変です。そして子供は泣き終わると大抵泣き疲れて寝てしまい、それが両親の心が休まる時間になります。

そうしてやっと静かになった子供を悪ガキがイタズラをしてその子を起こしたとしましょう。「余計なことを…」と文句のひとつも言いたくなってしまいます。それになぞらえて、静かにおさまった平和な状況にあえて手出しをして問題を起こすことの例えとして「寝た子を起こす」という言葉が使われるのです。

「雉も鳴かずば撃たれまい」

もうひとつ、「雉も鳴かずば撃たれまい」を紹介しておきましょう。読み方は「きじもなかずばうたれまい」。こちらは耳馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。

こちらは「石川県民話」の「あずきまんま」というお話を元にしたことわざで、「わざわざ余計なことを言ったばかりに災いを引き起こしてしまうこと」の例えです。

こちらは、行動は含まず、言葉のみを対象にしたことわざであるという点で「藪蛇」や「寝た子を起こす」とは若干ニュアンスが異なっています。しかし、余計なことが災いを引き起こすという点では共通していますね。

\次のページで「「藪蛇」の対義語は?」を解説!/

「藪蛇」の対義語は?

それでは今度は「藪蛇」の対義語を見ていきましょう。こちらも一般に使われるふたつの言葉を紹介します。

「触らぬ神に祟りなし」

「藪蛇」は余計なことをしたために、良くない事が起こることを表すことわざでした。その反対ですから、余計なことをするべきでないという言葉が対義語になります。

「触らぬ神に祟りなし」はまさしくそのような意味を持つことわざ。読み方は「さわらぬかみにたたりなし」です。こちらは「尾張いろはかるた」の札のひとつ。

神様は信仰することで恩恵を与えてくれますが、反対に悪いことをすると祟りを受けてしまいます。それならばそもそも関係を持たなければ祟りを受けることもないということからこの言葉が生まれました。

「君子危うきに近寄らず」

もうひとつ、「君子危うきに近寄らず」を紹介します。この言葉の意味を端的に言うと「賢く教養のある人は危ないことに近寄らない」です。

こちらも「触らぬ神に祟りなし」と同様にそもそもリスクのあることに関係しないよう促す教えだと言えます。

勇気の大切さを伝えることわざ

image by iStockphoto

これまで扱ってきた慣用句はどれも「行動することによる悪影響」についてを戒めるものでした。しかし、行動しなければ何も起こらないというメッセージを持った慣用句もあるのです。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」

まずはこちらの慣用句です。読み方は「こけつにいらずんばこじをえず」。「入らずんば」を「はいらずんば」と読まないように気をつけましょう。

虎が子供を非常に大切に育てることから、大事なものを慣用的に「虎の子」と呼びます。虎の子=虎子を得るためには恐ろしい虎の巣穴にはいらなければなりません。そこから転じて危険を冒さねば大きな利益は得られないことを表しているのです。

\次のページで「「義を見てせざるは勇なきなり」」を解説!/

「義を見てせざるは勇なきなり」

こちらは論語を出典とした表現。

義とは論語において「人として行うべき行動の道筋」とされています。そのような行動を行う事ができないのは勇気がないからであるというのがこの言葉の伝えているメッセージなのです。

たとえば「いじめが正しくないとわかっているのに見過ごしてしまう」という状況などを思い浮かべるとイメージしやすいのではないでしょうか。正しいことを行うには勇気が必要なのだということをこの言葉は教えてくれます。

こちらは利益を得るため、不幸を招かないためというこれまでの慣用句とは趣が違いますが、勇気を持って行動することの大切さを表した慣用句と言えるでしょう。

「藪蛇」を使いこなそう

この記事では「藪蛇」についての説明から始まり、行動することや勇気にまつわる慣用句についてもご紹介させていただきました。「藪蛇」以外の慣用句についてもしっかりと理解し、適切な使い方をできるようになりましょう。

" /> 【慣用句】「藪蛇」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「藪蛇」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

1.彼の事業が軌道に乗っていないのは明らかなのに、結果を聞くのは藪蛇だよ。
2.いつもの彼なら笑って受け流してくれる冗談だったのに、ついさっきケンカしたせいで機嫌が悪かっただなんて、とんだ藪蛇だったね。

より「藪蛇」の使い方を理解していただけるよう、それぞれの例文を見ていきましょう。

まず例文1。こちらは「彼の事業が軌道に乗っていない」という事実が藪に当たります。そして明らかに結果を聞くことで相手を怒らせてしまう、あるいは落ち込ませてしまうことは明らかですから、後半部分が「突いて蛇を出す」に対応しているのです。

例文2も同様に、冗談を言うという余計なことをしたばかりに相手を怒らせてしまったわけですから「藪蛇」であると言えます。

「藪蛇」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「藪蛇」の類義語は多数ありますが、その中でもより使用の頻度が高いふたつの言葉について解説していきましょう。

「寝た子を起こす」

まずひとつ目は「寝た子を起こす」です。こちらは藪蛇よりも意味がイメージしやすいのではないでしょうか。

子供は起きている時には泣いていることがほとんどで、両親は静かにさせるためにあやすのが非常に大変です。そして子供は泣き終わると大抵泣き疲れて寝てしまい、それが両親の心が休まる時間になります。

そうしてやっと静かになった子供を悪ガキがイタズラをしてその子を起こしたとしましょう。「余計なことを…」と文句のひとつも言いたくなってしまいます。それになぞらえて、静かにおさまった平和な状況にあえて手出しをして問題を起こすことの例えとして「寝た子を起こす」という言葉が使われるのです。

「雉も鳴かずば撃たれまい」

もうひとつ、「雉も鳴かずば撃たれまい」を紹介しておきましょう。読み方は「きじもなかずばうたれまい」。こちらは耳馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。

こちらは「石川県民話」の「あずきまんま」というお話を元にしたことわざで、「わざわざ余計なことを言ったばかりに災いを引き起こしてしまうこと」の例えです。

こちらは、行動は含まず、言葉のみを対象にしたことわざであるという点で「藪蛇」や「寝た子を起こす」とは若干ニュアンスが異なっています。しかし、余計なことが災いを引き起こすという点では共通していますね。

\次のページで「「藪蛇」の対義語は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: