1.彼の事業が軌道に乗っていないのは明らかなのに、結果を聞くのは藪蛇だよ。
2.いつもの彼なら笑って受け流してくれる冗談だったのに、ついさっきケンカしたせいで機嫌が悪かっただなんて、とんだ藪蛇だったね。
より「藪蛇」の使い方を理解していただけるよう、それぞれの例文を見ていきましょう。
まず例文1。こちらは「彼の事業が軌道に乗っていない」という事実が藪に当たります。そして明らかに結果を聞くことで相手を怒らせてしまう、あるいは落ち込ませてしまうことは明らかですから、後半部分が「突いて蛇を出す」に対応しているのです。
例文2も同様に、冗談を言うという余計なことをしたばかりに相手を怒らせてしまったわけですから「藪蛇」であると言えます。
「寝た子を起こす」
まずひとつ目は「寝た子を起こす」です。こちらは藪蛇よりも意味がイメージしやすいのではないでしょうか。
子供は起きている時には泣いていることがほとんどで、両親は静かにさせるためにあやすのが非常に大変です。そして子供は泣き終わると大抵泣き疲れて寝てしまい、それが両親の心が休まる時間になります。
そうしてやっと静かになった子供を悪ガキがイタズラをしてその子を起こしたとしましょう。「余計なことを…」と文句のひとつも言いたくなってしまいます。それになぞらえて、静かにおさまった平和な状況にあえて手出しをして問題を起こすことの例えとして「寝た子を起こす」という言葉が使われるのです。
「雉も鳴かずば撃たれまい」
もうひとつ、「雉も鳴かずば撃たれまい」を紹介しておきましょう。読み方は「きじもなかずばうたれまい」。こちらは耳馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。
こちらは「石川県民話」の「あずきまんま」というお話を元にしたことわざで、「わざわざ余計なことを言ったばかりに災いを引き起こしてしまうこと」の例えです。
こちらは、行動は含まず、言葉のみを対象にしたことわざであるという点で「藪蛇」や「寝た子を起こす」とは若干ニュアンスが異なっています。しかし、余計なことが災いを引き起こすという点では共通していますね。
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