今回は極寒の地で楽しむ美しい現象、オーロラについて学ぶぞ。

オーロラと言えば寒い地域で見ることのできる、カーテンのような美しい現象というイメージを持つ人が多いでしょう。幻想的なオーロラの語源はローマ神話の夜明けの女神アウロラです。オーロラは発光現象(光の発生を伴う自然現象)の一種であり、その発生には電気を帯びた粒子、プラズマ粒子が関係している。

今回はそのオーロラの発生する原理、見える場所などを紹介する。解説は科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

工学部化学系出身の科学館職員。学生時代、星の観察をするためによく近隣県の天文台に行っていた。

そもそもオーロラって何?

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オーロラには空に七色のおびのような光が発生する、綺麗な現象、というイメージはありますが実際にどんな現象かわからない人も多いのではないでしょうか?オーロラとは「太陽から放出されたプラズマが極地の大気圏に突入した時に起きる大気の発光現象」のことです。太陽風のプラズマが地球の磁場によって北極や南極に引き寄せられ、そこで酸素や窒素の分子と反応して発光します。

ちなみにオーロラには他にも呼び方があるのをご存じでしょうか。オーロラは極光とも呼ばれ、北極付近で見られるものを北極光、南極付近で見られるものを南極光と呼んでいます。

image by Study-Z編集部

オーロラが発生するのは、地上から高さ80~500㎞程度のところです。ちなみに雲は低い位置に出来るものだと500mくらい、高いものでも15㎞くらいの位置に出来ます。そのため、雲があるとオーロラを見ることができません。

オーロラが現れるのは、電離層というところです。地球の大気はその高度ごとに領域が決められています。その最も低いのが対流圏です。その上に成層圏、中間圏、熱圏があります。電離層とは中間圏と熱圏にまたがるように存在している層です。なお、図に書かれた各層の距離は定義によって異なる場合があるので、あくまで目安として使用します。電離層よりも高い高度では大気が薄くなってしまいます。そうするとプラズマ粒子は大気中の原子と衝突できず、オーロラは発生できません

オーロラを理解するために確認、プラズマ

ところでプラズマとは何でしょうか。まず物質の状態として固体、液体、気体があるのはみなさんご存じでしょう。水で例えると氷、水、水蒸気ですね。これを「物体の三態」といいます。そしてプラズマとは、原子を構成する原子核(プラス)と電子(マイナス)がばらばらとなり自由に動き回れる状態のことです。物体の第4の状態ともいわれています。プラズマテレビ、という言葉はよく聞きますね。物体の状態については次の記事を参考にしてくださいね。

\次のページで「オーロラのメカニズム」を解説!/

オーロラのメカニズム

オーロラのメカニズム

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オーロラの発生には太陽の活動と、地球の磁場が影響しています。

オーロラの発生に欠かせないのが、太陽から地球に降り注ぐ太陽風です。太陽の表面で爆発が起きた時にこの太陽風が発生します。この太陽風はプラズマ状の電気を帯びた粒子でできていて、この太陽風を引き寄せるのが地球の磁場です。地球は大きな磁石となっています。その証拠に方位磁石は北極の方を常にN極が指すようになっていますね。太陽風は地球の磁場に引き寄せられ、磁場を横切ることはできません。オーロラが北極・南極付近でしか見られないのは極のあたりの磁場が強く、磁力線が垂直となるからなのです。北極や南極に降り注いだ太陽風の粒によって酸素原子や窒素分子を分解、その時に発生した光がオーロラとなります。

オーロラの色とエネルギー

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オーロラは高度によって発せられる色が異なります。これはプラズマが空気の層を突破するときに必要なエネルギーの大きさによってオーロラの色が決まるからです。エネルギーが大きいと波長が短い紫に、エネルギーが小さいと波長が長い赤色となります。エネルギーのパターンが決まっているため、オーロラの色は3色程度しかありません。

地上と山頂では山頂の方が空気が薄くなりますね。同じように大気圏も高度が高いほど空気が薄くなっていくのです。高度が高く空気の薄い高度200~500㎞地点の空気なら、プラズマは少ないエネルギーで突破することができます。弱いエネルギーは赤く発光するため、この地点で見られるオーロラは赤くなるのです。その少し下、宇宙空間に出たあたりの高度100~200㎞の地点で見られるオーロラは緑色になります。高度が下がり空気が増えると酸素原子の密度が高くなり、突破するのにより強いエネルギーが必要となるのです。

ところで、酸素と窒素を比べると、窒素の方が重たくなっています。そのため地上に近い80~100㎞では重たい窒素の密度が増え、プラズマが侵入するのに必要なエネルギーはさらに大きくなるのです。そのため、この高度のオーロラは紫やピンク色に発光します。

色が美しい虹についてはこちらの記事をどうぞ。

発生条件、きれいに見るには?

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太陽風が起きるには太陽の活発な活動が必要です。またオーロラはかなり上空で起きるため、地上での気候は関係ありません。日中でもオーロラは発生しますが、太陽の明かりで見ることができないです。そのため実際にい観測するのは必然と夜になり、オーロラを見るなら日照時間が短い時期に行くのがいいでしょう。さらに、オーロラは雲よりも高い位置に発生します。そのため、曇り空では見ることができません。

というわけでオーロラを見るには「太陽が活発に活動してい手日が短い時期のオーロラベルトで、晴れた日の夜」がおすすめです。

行ってみたいオーロラスポット

自分の目でオーロラを観測したいという人もいるでしょう。北半球でオーロラを見る場合は北緯65~70度付近のエリア、「オーロラ帯(ベルト)」がおすすめ。高確率でオーロラを鑑賞することができます。

オーロラのスポットとして有名なのは以下の場所です。

・カナダ イエローナイフ

・アメリカ アラスカ・フェアバンクス

・スウェーデン キルナ

どこも寒いイメージの場所ですね。

一度は生で見たいオーロラ

オーロラは太陽から注がれる太陽風のプラズマ粒子が関係しています。プラズマ粒子が大気中の窒素や酸素の分子にぶつかった時にオーロラは発生するのです。大気中の気体分子の密度によってプラズマ粒子に必要なエネルギーは異なります。そして必要なエネルギーによって発生する色も異なり、オーロラは上と下で色が異なるのです。

美しいオーロラを生で見てみたい人も多いでしょう。そのメカニズムから日本では見ることができません。しかし、北海道陸別町でも低緯度オーロラという赤色のオーロラを観測できることも。海外までオーロラを見に行くのが難しい人はぜひ、陸別へ行ってみてくださいね、

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地学大気・海洋理科

3分で簡単「オーロラ発生の原理」!オーロラはどうやって発生するの?科学館職員がわかりやすく解説!

オーロラのメカニズム

オーロラのメカニズム

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オーロラの発生には太陽の活動と、地球の磁場が影響しています。

オーロラの発生に欠かせないのが、太陽から地球に降り注ぐ太陽風です。太陽の表面で爆発が起きた時にこの太陽風が発生します。この太陽風はプラズマ状の電気を帯びた粒子でできていて、この太陽風を引き寄せるのが地球の磁場です。地球は大きな磁石となっています。その証拠に方位磁石は北極の方を常にN極が指すようになっていますね。太陽風は地球の磁場に引き寄せられ、磁場を横切ることはできません。オーロラが北極・南極付近でしか見られないのは極のあたりの磁場が強く、磁力線が垂直となるからなのです。北極や南極に降り注いだ太陽風の粒によって酸素原子や窒素分子を分解、その時に発生した光がオーロラとなります。

オーロラの色とエネルギー

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オーロラは高度によって発せられる色が異なります。これはプラズマが空気の層を突破するときに必要なエネルギーの大きさによってオーロラの色が決まるからです。エネルギーが大きいと波長が短い紫に、エネルギーが小さいと波長が長い赤色となります。エネルギーのパターンが決まっているため、オーロラの色は3色程度しかありません。

地上と山頂では山頂の方が空気が薄くなりますね。同じように大気圏も高度が高いほど空気が薄くなっていくのです。高度が高く空気の薄い高度200~500㎞地点の空気なら、プラズマは少ないエネルギーで突破することができます。弱いエネルギーは赤く発光するため、この地点で見られるオーロラは赤くなるのです。その少し下、宇宙空間に出たあたりの高度100~200㎞の地点で見られるオーロラは緑色になります。高度が下がり空気が増えると酸素原子の密度が高くなり、突破するのにより強いエネルギーが必要となるのです。

ところで、酸素と窒素を比べると、窒素の方が重たくなっています。そのため地上に近い80~100㎞では重たい窒素の密度が増え、プラズマが侵入するのに必要なエネルギーはさらに大きくなるのです。そのため、この高度のオーロラは紫やピンク色に発光します。

色が美しい虹についてはこちらの記事をどうぞ。

発生条件、きれいに見るには?

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太陽風が起きるには太陽の活発な活動が必要です。またオーロラはかなり上空で起きるため、地上での気候は関係ありません。日中でもオーロラは発生しますが、太陽の明かりで見ることができないです。そのため実際にい観測するのは必然と夜になり、オーロラを見るなら日照時間が短い時期に行くのがいいでしょう。さらに、オーロラは雲よりも高い位置に発生します。そのため、曇り空では見ることができません。

というわけでオーロラを見るには「太陽が活発に活動してい手日が短い時期のオーロラベルトで、晴れた日の夜」がおすすめです。

行ってみたいオーロラスポット

自分の目でオーロラを観測したいという人もいるでしょう。北半球でオーロラを見る場合は北緯65~70度付近のエリア、「オーロラ帯(ベルト)」がおすすめ。高確率でオーロラを鑑賞することができます。

オーロラのスポットとして有名なのは以下の場所です。

・カナダ イエローナイフ

・アメリカ アラスカ・フェアバンクス

・スウェーデン キルナ

どこも寒いイメージの場所ですね。

一度は生で見たいオーロラ

オーロラは太陽から注がれる太陽風のプラズマ粒子が関係しています。プラズマ粒子が大気中の窒素や酸素の分子にぶつかった時にオーロラは発生するのです。大気中の気体分子の密度によってプラズマ粒子に必要なエネルギーは異なります。そして必要なエネルギーによって発生する色も異なり、オーロラは上と下で色が異なるのです。

美しいオーロラを生で見てみたい人も多いでしょう。そのメカニズムから日本では見ることができません。しかし、北海道陸別町でも低緯度オーロラという赤色のオーロラを観測できることも。海外までオーロラを見に行くのが難しい人はぜひ、陸別へ行ってみてくださいね、

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