
3分で簡単無極性分子!共有している電子対が片方の原子に寄るってどういうこと?元研究員がわかりやすく解説
引っ張り合った結果、偏りがなかったり偏りをすべて打ち消し合ったのが無極性分子になり、分子全体に偏りがあるものが極性分子となるんです。
今回は化学結合の基礎と無極性分子について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に丁寧に解説していきます。

ライター/wing
元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!
1.4 種類の化学結合

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物質を構成する複数の原子同士が、互いの価電子(電子殻のいちばん外側を回っている電子)を用いて結合する事を化学結合と呼びます。
無極性分子について理解するために、まず分子内の原子同士を結び付けている 4 種類の化学結合について説明していきましょう。
1-1.金属原子同士の結合である金属結合
金属原子同士の結合が金属結合です。金属結合の価電子は電子殻を伝わって金属全体を自由に動き回ることができ、これを自由電子と呼ぶびます。
この自由電子があるため、金属結合による金属結晶は電気や熱を通しやすく、展性(細長く伸ばすことができる性質)や延性(薄く広げることができる性質)に富むのです。
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1-2.金属原子と非金属原子の結合であるイオン結合
金属原子と非金属原子の結合がイオン結合です。金属原子の価電子は電気陰性度の大きい非金属原子に引っ張られ陽イオンに、非金属原子は陰イオンになります。
そして陽イオンと陰イオンの間で静電気的な引力(クーロン力)が働き結合するのです。
1-3.金属原子でない者同士の結合である共有結合
非金属原子同士の結合が共有結合です。お互いに足りない部分の価電子を共有(シェア)することで、分子として希ガスと同じ安定した電子配置になろうとします。同じ原子同士(例えば酸素原子同士)が結合して共有結合を作ることも、異なる原子同士(例えば炭素と酸素)が共有結合をすることもあるのです。
共有結合には共有電子対(原子 2 つで共有している電子 2 個) 2 組で結びついた二重結合や、共有電子対 3 組で結びついた三重結合もあるので覚えておきましょう。
1-4.共有結合の特殊な形である配位結合
金属イオンや水素イオンのように価電子をもたないイオンが、非共有電子対にくっつき電子対を共有する結合が配位結合です。
お互いに共有しようとして電子を出し合った共有結合と違って、余っている電子対を見つけて「余っているなら共有させてよ」と勝手にくっついたのが配位結合になります。くっついたら電子対を共有していることに変わりなく共有結合と区別がつかなくなるため、共有結合の特殊な形とされているのです。
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