
「隙(スキ)がない」
一般の見解としての対義語というものはありませんが、考えられるものとしては、「隙(スキ)がない」でしょう。
意味は、弱点や油断のないこと、秩序正しい様子であり、「しどけない」の意味、
2.順序が乱れている。秩序がなく雑然としている。
と対を成しています。
さらに、「隙(スキ)がない」は、ピシッとスーツで決めたような、しまりのある服装に対するイメージを喚起させることから、
1.身なりなどがきちんとせずだらしない。しまりがない様子。
にも対応しています。こちらは男性の容姿や服装をイメージさせ、意味上で対を成すだけではなく、イメージやそのニュアンスにおいて、男女の対立が浮かび上がるというのが不思議です。
ちなみに古語では「隙/暇(ひま)」と呼ばれ、多くの意味を持ち、こちらも「源氏物語」に見られます。
「隙/暇(ひま)」の意味は以下になります。
1.すきま。物と物との間。
2.絶え間。
3.心の隔たり。不仲。不和。
4.よい機会。
5.時間のゆとり。
6.休暇。いとま。
出典:学研全訳古語辞典(学研)「隙/暇(ひま)」
そして「源氏物語」からの例文の抜粋です。
4.「うはべはいとよき御仲の、昔よりさすがにひまありける」
(表面的にはよい仲のようであるが、昔からやはり心の隔たりがあった。)
出典:源氏物語 常夏
5.「例の、ひまもやと、うかがひありき給(たま)ふを」
(いつものように、よい機会もあるだろうと、すきをねらってお歩きになるのを。)
出典:源氏物語 紅葉賀
「しどけない」「あられもない」「はしたない」を使いこなそう
「源氏物語」にも見られる大和言葉である「しどけない」。
他にはない柔らかさ、あたたかみや上品さを持ち、歌の歌詞にも登場するその素敵な日本語のニュアンスと、類語「あられもない」「はしたない」を、上手に活用してみてください!