みんなは富士山を見たことがあるか?
実物を見たことがなくても写真やメディアでは度々取り上げられるから、そういったもので見たことがある人は多いことでしょう。では富士山が火山だということを知っている人はどれくらいいるでしょうか?実はあのきれいな形の山は火山活動によって作られたものなんです。特に成層火山と呼ばれる火山は美しい形になることが多く、富士山も成層火山の1つです。

今回は成層火山の特徴と、日本の成層火山について地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

大学院を地球科学専攻で卒業した地学大好き人間。出身地が鹿児島県であるため火山に囲まれて育った。趣味は岩石と鉱物の収集。

火山とは

image by iStockphoto

私達は当たり前のように地表を歩いていますが、その地下深くには高温のマグマが存在していることをご存知でしょうか?ヤカンでお湯を沸かすと、沸いたお湯が注ぎ口から溢れる様子を見たことがあると思いますが、マグマもきっかけがあれば大地を割って地上に噴出します。マグマが地上に噴出すると、噴出口の周りに吹き出されたマグマが流れて固まり、特徴的な地形を形成するのです。こうしてできるた地形が火山なんですよ。ちなみに、マグマが地表に吹き出ることを噴火と呼びます。

そして、火山はマグマの組成や粘度によって様々な種類に分けられるのです。次は火山の種類について説明していきますね。

火山の種類

火山の種類

image by Study-Z編集部

地球の中はとても不均質にできているため、地下にあるマグマの特徴も場所によって全く違います。マグマの特徴は粘度や化学組成、温度で分けられますが、この特徴によってそのマグマが噴火したときにできる火山の種類も変わるのです。

最も粘度が大きなマグマは溶岩円頂丘(溶岩ドーム)という火山を形成します。これは、マグマの粘性が高すぎるためマグマが地表にでても流れ出ずに、塊となって火口から押し出されたものです。溶岩円頂丘は山の傾斜がきつく、細長い山に見えます。マグマの粘度が最も高いので内部に力が溜まりやすく、噴火すると大爆発を起こし多くの被害を出すそうです。北海道の昭和新山は溶岩円頂丘として有名ですよ。

マグマの粘度が中レベルだと成層火山を呼ばれる形の火山を形成します。成層火山は火山が上へ成長するスピードと、マグマが横に流れ出て直径が大きくなるスピードのバランスがいいのでとてもきれいな形の火山になるんですよ。日本で最も多いのが成層火山です。

最も粘性が低く、サラッとしているマグマからできる火山を楯状火山といいます。その名の通り、騎士がもっている盾を横にしたようななだらかな地形が特徴的です。マグマの粘性が低いため、噴火しても大爆発にはなりにくく、火山の傾斜をダラダラ流れるように噴火します。ハワイのキラウエア火山やマウナロア火山が楯状火山です。

\次のページで「成層火山の特徴」を解説!/

成層火山の特徴

成層火山は同じような場所の山頂火口から何度も噴火することで、円錐形に形成された火山です。複数回の噴火によって火口の周りには、溶岩や火山から噴出された岩石や溶岩(火山砕屑物)、空気中に火山灰が高濃度に混ざり込み火口から山の麓に流れ出たもの(火砕流堆積物)が層状に積み重なっているため層状火山という名前でも呼ばれています。

円錐形をしているため火口に近いところは傾斜がきつく、山の麓に行くほど傾斜が緩やかです。火口付近はマグマが固まったもの(溶岩)で形成されていますが、火口から離れると噴火によって飛んできた火山砕屑物が多く見られます。

成層火山の出来方

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地下深くから玄武岩質~安山岩質のそこそこ粘り気のあるマグマが地上に噴出し、同じ火口から複数回噴火することで、円錐形の火山を作ります。成層火山と呼ばれるためには同じ火口から複数回というところがポイントで、その結果山の断面は溶岩と山砕屑物、火砕流堆積物が下から順に積み重なり成層構造になるのです。火山砕屑物は爆発的な噴火がなければできないため、水が含まれやすい島弧や沈み込み帯で多く見られる火山なんですよ。そのため、日本には成層火山が多いのですね。

また、成層火山は別名コニーデとも呼ばれています。

世界中の成層火山について

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世界中には全部で59の成層火山があります。次は日本にある代表的な成層火山と、日本以外の国にある代表的な成層火山について紹介していきますね。

日本にある代表的な成層火山

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日本の代表的な成層火山と言えば、まずは富士山が思い浮かぶでしょう。富士山は静岡県にある日本で最も高い山として有名ですね。その他の成層火山と言えば、鹿児島県の桜島も有名です。桜島は29000年前に大噴火してできた姶良カルデラ内にあり、鹿児島県では30年以内にもう一度大噴火するのではないかと恐れられています。毎日のように噴火している活火山で、鹿児島市民は降り注ぐ火山灰に悩まされているんです。

他には長野県の浅間山もとても有名ですね。浅間山周辺は火山活動が活発で、この辺の火山は浅間連峰または浅間烏帽子火山群と呼ばれています。現在活動しているのは前掛火山のみですが、100年活動度または1万年活動度が特に高い活火山としてランクAの活火山に指定されているんですよ。

また山形県の国定公園でもある蔵王山栃木県日光市にある男体山・女峰山群馬県の赤城山も成層火山として知られています。

世界にある代表的な成層火山

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著者が知っている火山学者さんは、アメリカのセント・へレンズ火山が大好きでした。セント・ヘレンズは世界でもかなり巨大な成層火山で、現在も活動を続けている活火山です。その爆発的な大噴火はしばしばカメラに収められ、メディアではとても有名な火山なんですよ。1980年の噴火は特に有名で、その時の噴火によりカルデラが出現し山の標高は400メートルも低くなりました。

その他の成層火山としてはアフリカにあるキリマンジャロが有名ですね。キリマンジャロは現在活動していませんが、2.5kmのカルデラと900mの火口があるため、活動期はセント・へレンズを超える大噴火を起こしていたのでしょう。キリマンジャロは独立峰としては世界で最も高いと言われています。現在は登山を目的とした観光で賑わったり、コーヒーの栽培などで安定した場所となっているようです。

身近に成層火山はどれくらいあるのか見つけてみよう!

富士山や桜島も同じ火口から何度も噴火してできる成層火山です。マグマの粘性が中程度なのでやや爆発的な噴火も伴い、災害をもたらすことも多いですが、その山体の美しさは景観も美しくさせますよね。世界中にはセント・へレンズなど日本にある成層火山とは比較にならないくらい巨大な火山が多く存在し、その大規模な噴火はメディアなどでも取り上げられ人々が火山に興味を持つきっかけにもなっています。

日本は島弧なので世界に類を見ないほど多くの火山がありますよね。確かに火山による災害では多くの人が亡くなっていますが、温泉が沸いていたり観光地になっていたりと恩恵もたくさんです。著者の出身地である鹿児島県では毎日火山灰に苦しめられていますが、特徴的な地形や温泉を鹿児島県民も誇りにしています。

皆さんの住んでいる地域には火山があるでしょうか?もし火山を見つけたらこれが成層火山かどうか調べてみるのも面白いですよ。

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地学地球理科

成層火山とはどのような火山なのか?地球科学専攻卒が5分でわかりやすく解説!

みんなは富士山を見たことがあるか?
実物を見たことがなくても写真やメディアでは度々取り上げられるから、そういったもので見たことがある人は多いことでしょう。では富士山が火山だということを知っている人はどれくらいいるでしょうか?実はあのきれいな形の山は火山活動によって作られたものなんです。特に成層火山と呼ばれる火山は美しい形になることが多く、富士山も成層火山の1つです。

今回は成層火山の特徴と、日本の成層火山について地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

大学院を地球科学専攻で卒業した地学大好き人間。出身地が鹿児島県であるため火山に囲まれて育った。趣味は岩石と鉱物の収集。

火山とは

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私達は当たり前のように地表を歩いていますが、その地下深くには高温のマグマが存在していることをご存知でしょうか?ヤカンでお湯を沸かすと、沸いたお湯が注ぎ口から溢れる様子を見たことがあると思いますが、マグマもきっかけがあれば大地を割って地上に噴出します。マグマが地上に噴出すると、噴出口の周りに吹き出されたマグマが流れて固まり、特徴的な地形を形成するのです。こうしてできるた地形が火山なんですよ。ちなみに、マグマが地表に吹き出ることを噴火と呼びます。

そして、火山はマグマの組成や粘度によって様々な種類に分けられるのです。次は火山の種類について説明していきますね。

火山の種類

火山の種類

image by Study-Z編集部

地球の中はとても不均質にできているため、地下にあるマグマの特徴も場所によって全く違います。マグマの特徴は粘度や化学組成、温度で分けられますが、この特徴によってそのマグマが噴火したときにできる火山の種類も変わるのです。

最も粘度が大きなマグマは溶岩円頂丘(溶岩ドーム)という火山を形成します。これは、マグマの粘性が高すぎるためマグマが地表にでても流れ出ずに、塊となって火口から押し出されたものです。溶岩円頂丘は山の傾斜がきつく、細長い山に見えます。マグマの粘度が最も高いので内部に力が溜まりやすく、噴火すると大爆発を起こし多くの被害を出すそうです。北海道の昭和新山は溶岩円頂丘として有名ですよ。

マグマの粘度が中レベルだと成層火山を呼ばれる形の火山を形成します。成層火山は火山が上へ成長するスピードと、マグマが横に流れ出て直径が大きくなるスピードのバランスがいいのでとてもきれいな形の火山になるんですよ。日本で最も多いのが成層火山です。

最も粘性が低く、サラッとしているマグマからできる火山を楯状火山といいます。その名の通り、騎士がもっている盾を横にしたようななだらかな地形が特徴的です。マグマの粘性が低いため、噴火しても大爆発にはなりにくく、火山の傾斜をダラダラ流れるように噴火します。ハワイのキラウエア火山やマウナロア火山が楯状火山です。

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