この記事では「同じ釜の飯を食う」について解説する。

端的に言えば「同じ釜の飯を食う」の意味は「親しい仲」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「同じ釜の飯を食う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「同じ釜の飯を食う」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「同じ釜の飯を食う」の意味・使い方を見ていきましょう。

「同じ釜の飯を食う」の意味は?

「同じ釜の飯を食う」には、次のような意味があります。

生活を共にした親しい仲間であることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「同じ釜の飯を食う」

現代では炊飯器でご飯を炊くことが多いですが、昔は釜でご飯を炊いていたといいます。「同じ釜」は「日常生活」のことであり、一緒に生活するほど親しい仲を「同じ釜(かま)の飯(めし)を食う仲」と表現するようになりました。

寝食を共にしていなくても、同じ職場で働いていた、もしくは部活動の合宿でも構いません。親しい仲だとアピールしたい時に用いるとよいでしょう。また、「同じ釜の飯を食う」でなくとも「一つ釜の飯を食う」という言い方でも問題ありません。使いやすいほうを選ぶとよいでしょう。

「同じ釜の飯を食う」の使い方・例文

「同じ釜の飯を食う」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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1.彼女とは同じ釜の飯を食った仲だ。

2.なんでも相談してくれよ、同じ釜の飯を食った仲間じゃないか。

3.同じ釜の飯を食う関係とはいえ、親しい仲にも礼儀ありだよ。

「同じ釜の飯を食う」は、「親しい仲」の「親しい」を差す慣用句なので、一般的には「関係」や「仲」と組み合わせて「同じ釜の飯を食う仲」と表現します。たとえば、久しぶりに同級生と再会できたとしましょう。ほかの友人に対して関係を説明する際に「彼とは同じ釜の飯を食った仲だよ」と使うことができます。ほかにも、学生の時に寮生活をしていた、ルームシェアをしていた相手などを「同じ釜の飯を食う」で表現してもよいですね。

友人とはいえ、よく遊ぶだけでなく、寝食を共にするほどの関係は限られてくるはずです。特別に仲が良いと思っている相手がいるならば「同じ釜の飯を食う」を使って関係性を周囲に伝えてみてください。

「同じ釜の飯を食う」の類義語は?

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では、「同じ釜の飯を食う」の類義語をみていきましょう。

「苦楽を共にする」

「苦楽(くらく)」の意味は文字通り、苦しいことと楽しいこと。「苦楽を共にする」は、苦しいことも楽しいことも分かち合って、一緒に生活や仕事をするという意味になります。やはり、人生は楽しいことばかりではありません。どんなにしっかりと計画を立てたとしても、思い通りの人生を歩めるものではありませんよね。一人では辛くて耐えられないことでも、誰かと一緒なら苦労は乗り越えられるものです。

家族や友人、仕事仲間に対して使っても構いません。楽しさも苦しさも共有してきたという相手がいるならば、間柄を「苦楽を友にしてきた仲」と表現してみてください。

「戦友」

戦争があった時代は、同じ戦場で共に戦った仲間を「戦友」と表現していました。現代でも、スポーツや仕事で辛い経験を共にしてきた仲間を「戦友」と表現することができます。たとえば、チームで活動するスポーツであれば、強豪チームに勝つためには厳しい練習を仲間と乗り越えていかなくてはいけません。仕事であれば、困難だと思われていたプロジェクトをチームで成功させた。ほかにも、ライバル企業に勝つために、ハードな仕事をこなしてきた同志を「戦友」といってもよいでしょう。

試練を共に乗り越えた仲間がいるならば、それは「戦友」といえます。「同じ釜の飯を食う」や「苦楽を共にする」と組み合わせて、間柄を伝える際に使ってみてください。

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「一蓮托生」

「一蓮托生」は「いちれんたくしょう」と読みます。意味は、どんな結果が待っていようと、最後まで行動や運命を共にすること。「托生」は、身を寄せて生きるという意味。「一蓮托生」は、死後も同じ蓮(はす)という花の上で生まれ変わり、共に仲良く暮らすという意味の仏教語でもあります。そのため、本来は良い意味で使われていましたが、現代では悪い結果が待っている場合に用いられるようになりました。

たとえば、大規模なプロジェクトを立ち上げたとしても、計画通り成功するとは限りません。しかし、失敗する可能性があったとしても、覚悟を決めて最後まで一緒に挑み続ける姿勢は「一蓮托生」といえます。「ここまで来たら一蓮托生だ、最後まで一緒にやり切ろう」と、鼓舞する際に使ってもいいですね。

「同じ釜の飯を食う」の対義語は?

「同じ釜の飯を食う」の意味は「親しい仲」でした。反対の意味となると「親しくない仲」となるはずです。そこで今回は、「不仲」や「合わない」という意味合いで「同じ釜の飯を食う」の対義語をみていきましょう。

「犬猿の仲」

「犬猿(けんえん)の仲」の意味は、いがみ合うほど仲が悪いこと。犬と猿は仲が悪いものの代名詞であり、仲が悪い間柄のことを「犬猿の仲」と表現するようになりました。ただし、実際には犬と猿はそこまで仲が悪いわけではないようです。なぜ「犬猿の仲」と言われるようになったかは「十二支」の順番が由来しているなど諸説あり、実は正確な語源はわかっていません。

「彼らは仲が悪い」といった感覚で、「彼らは犬猿の仲だから、会わせないほうが良い」などと使ってみてください。

「水と油」

水の上に油を垂らしても、水と油が混じり合うことはありません。そのような様子が転じて、性質や性格が正反対で、調和しないことを「水と油」と表現するようになりました。順番は関係なく、「油に水」や「油と水」という言い方でも問題ありません。「二人は水と油だから、同じチームにしない方がいい」など、互いに気が合わず、打ち解けない間柄を例えたい場合に用いるとよいでしょう。

「同じ釜の飯を食う」の英訳は?

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では、「同じ釜の飯を食う」を英語訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「live under the same roof」

「同じ釜の飯を食う」と似たような英語のことわざがあれば良いのですが、「釜」を用いている時点で日本特有の表現といえます。そこで「under the same roof(同じ屋根の下で)」を用いて「live(住む)」と組み合わせることで、生活を共にした様子を表すしかありません。「live under the same roof」は「同じ屋根の下で暮らした」となり、一緒に暮らすほどの仲なので「同じ釜の飯を食う」として使うことができるでしょう。

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「同じ釜の飯を食う」を使いこなそう

この記事では「同じ釜の飯を食う」の意味・使い方・類語などを説明しました。「同じ釜の飯を食う」は、家族や友人とはまた違った「特別な仲」を表すことができる慣用句です。友人とのランチや職場での飲み会など、リラックスした状態で親睦を深めるために食事は欠かせません。さらに、同じ釜からご飯をよそって食事する時間は、より特別なものといえるのではないでしょうか。

「同じ釜の飯を食う」は、一緒に暮らしてなかったとしても、共有した時間が長く親しい仲であれば使うことができます。久しぶりに会う友人がいたら、ぜひ当時のことを思い出しながら「同じ釜の飯を食う」を使って間柄を表現してみてください。

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国語言葉の意味

【慣用句】「同じ釜の飯を食う」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

1.彼女とは同じ釜の飯を食った仲だ。

2.なんでも相談してくれよ、同じ釜の飯を食った仲間じゃないか。

3.同じ釜の飯を食う関係とはいえ、親しい仲にも礼儀ありだよ。

「同じ釜の飯を食う」は、「親しい仲」の「親しい」を差す慣用句なので、一般的には「関係」や「仲」と組み合わせて「同じ釜の飯を食う仲」と表現します。たとえば、久しぶりに同級生と再会できたとしましょう。ほかの友人に対して関係を説明する際に「彼とは同じ釜の飯を食った仲だよ」と使うことができます。ほかにも、学生の時に寮生活をしていた、ルームシェアをしていた相手などを「同じ釜の飯を食う」で表現してもよいですね。

友人とはいえ、よく遊ぶだけでなく、寝食を共にするほどの関係は限られてくるはずです。特別に仲が良いと思っている相手がいるならば「同じ釜の飯を食う」を使って関係性を周囲に伝えてみてください。

「同じ釜の飯を食う」の類義語は?

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では、「同じ釜の飯を食う」の類義語をみていきましょう。

「苦楽を共にする」

「苦楽(くらく)」の意味は文字通り、苦しいことと楽しいこと。「苦楽を共にする」は、苦しいことも楽しいことも分かち合って、一緒に生活や仕事をするという意味になります。やはり、人生は楽しいことばかりではありません。どんなにしっかりと計画を立てたとしても、思い通りの人生を歩めるものではありませんよね。一人では辛くて耐えられないことでも、誰かと一緒なら苦労は乗り越えられるものです。

家族や友人、仕事仲間に対して使っても構いません。楽しさも苦しさも共有してきたという相手がいるならば、間柄を「苦楽を友にしてきた仲」と表現してみてください。

「戦友」

戦争があった時代は、同じ戦場で共に戦った仲間を「戦友」と表現していました。現代でも、スポーツや仕事で辛い経験を共にしてきた仲間を「戦友」と表現することができます。たとえば、チームで活動するスポーツであれば、強豪チームに勝つためには厳しい練習を仲間と乗り越えていかなくてはいけません。仕事であれば、困難だと思われていたプロジェクトをチームで成功させた。ほかにも、ライバル企業に勝つために、ハードな仕事をこなしてきた同志を「戦友」といってもよいでしょう。

試練を共に乗り越えた仲間がいるならば、それは「戦友」といえます。「同じ釜の飯を食う」や「苦楽を共にする」と組み合わせて、間柄を伝える際に使ってみてください。

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