
5分で分かる「横紋筋」と「平滑筋」それぞれの違いを東大生物学科卒が分かりやすくわかりやすく解説
横紋筋に分類される筋線維は?

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横紋筋に分類される筋線維は2種類あり、骨格筋と心筋が該当します。
骨格筋は、一般の人が筋肉と聞いたときに連想する筋肉に合致しており、さまざまな運動をするための基本となる単位です。骨格筋が収縮することで関節が曲げられ、それにより目的とする部位の動作が行われます。骨格筋の他の特徴は、多核細胞からなるという点です。通常の細胞は一つの細胞につき一つの核を持っていますが、骨格筋はその形成の過程で、多数の細胞が癒着するように集合し、結果として、一つの細胞に多数の核を持つ状態になります。筋線維は全部で3種類ありますが、多核細胞であるという特徴は骨格筋に特有のものです。骨格筋は強い力を発揮することは得意ですが、代わりに持久力に乏しいという特徴があります。
もう一つの横紋筋である心筋は、心臓を構成する筋肉です。心筋も骨格筋のように、顕微鏡で見ると横線がありますが、一つの細胞に一つの核しか持たない単核細胞である点が骨格筋と異なる点になります。心筋の他の特徴は、非常に疲労に強い性質を持つという点です。心臓は、24時間休みなく動き続ける必要があるので、このような性質を持つ必要があります。また、全身に血液を送り出すためには強い力が必要であるため、骨格筋同様に非常に強い力発揮ができるという特徴も持つというわけです。
骨格筋は自分の意思で伸ばしたり縮めたりすることができますが、心臓の収縮は自分では制御できません。このことから、骨格筋のことを随意筋、心筋のことを不随意筋と呼びます。前者は運動神経によって制御され、後者は自律神経によって制御されていることもあわせて理解しましょう。
骨格筋の特徴は、多核細胞からなり、収縮力は強いものの持久力は弱いという点です。
一方の心筋は、単核細胞からなり、収縮力も持久力もあわせ持っていましたね。
平滑筋とは?

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続いては、「平滑筋」について見ていきましょう。
横紋筋である骨格筋と心筋は、ともに収縮力が強かったですが、平滑筋ではどうなっているのでしょうか。
平滑筋が存在する場所は?

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骨格筋が身体運動に関わる筋線維であり、心筋が心臓の拍動に関与する筋線維であったのに対し、平滑筋は主に、血管や内臓組織の壁を構成する筋肉となります。
平滑筋の特徴は?
平滑筋は横紋筋と異なり、その構造に横線を持ちません。アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが構成要素にあることは分かっていますが、骨格筋や心筋のように、綺麗に整列することなく散在しています。横紋筋の収縮は、整列したアクチンフィラメントの間をミオシンフィラメントが移動する「滑り説」で説明できますが、アクチンフィラメントやミオシンフィラメントが散在している平滑筋がどのようにして収縮しているかは分かっていません。
平滑筋は主に内臓に分布する筋線維ですが、その収縮運動のことをぜん動運動と呼びます。食べたものが、食道を経由した後に、胃や小腸、大腸といった消化管の中を運ばれるのは、このぜん動運動によるものです。この蠕動運動は、収縮力は乏しいものの、長時間持続することが可能な特徴を持っています。
平滑筋は心筋同様に自分の意思では動かせないため、不随意筋に分類され、自律神経による支配を受けていることも知っておきましょう。
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