この記事では「恐れ入谷の鬼子母神」について解説する。

端的に言えば恐れ入谷の鬼子母神の意味は「恐れ入りました」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「恐れ入谷の鬼子母神」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「恐れ入谷の鬼子母神」の意味や語源・使い方まとめ

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「恐れ入谷の鬼子母神」ということわざを聞いたことがあるでしょうか。耳にしたことはあっても、意味を知らないという方も少なくありません。

今回は、「恐れ入谷の鬼子母神」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「恐れ入谷の鬼子母神」の意味は?

「恐れ入谷の鬼子母神(おそれいりやのきしもじん)」には、次のような意味があります。

1.《「恐れ入りやした」の「いりや」を地名の「入谷」に掛け、同地にある「鬼子母神」と続けたもの》「恐れ入りました」をしゃれていう語。

出典:goo辞典「恐れ入谷の鬼子母神」

 

「恐れ入谷の鬼子母神」は、『恐れ入りました』という意味です。

「恐れ入りやした」という表現を、地名の「入谷」にかけてシャレとして使われています。うまい語呂合わせで、笑いを誘う言い回しですね。

「恐れ」という言葉が入っていますが、ここでは『恐怖』という意味はありません。「恐れ入る」の「恐れ」なので、他の動詞の一部になります。

1.女神の名。千人の子があったが、他人の子を取って食い殺したため、仏はその最愛の一児を隠してこれを教化し、のち仏に帰依 (きえ) して出産・育児の神となった。手にザクロの実を持ち、一児を抱く天女の姿をとる。訶梨帝母 (かりていも) 。きしも。きしぼじん。

出典:goo辞典「鬼子母神」

1.東京都台東区北部の地名。鬼子母神 (きしもじん) を本尊とする真源寺の朝顔市は有名。

出典:goo辞典「入谷」

ことわざの中の「入谷」というのは、東京に実際にある地名です。また、「鬼子母神」というのは入谷の女神で、出産や育児の神様と言われています。

1.相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。
2.相手に失礼したり、迷惑をかけたりしたことに対して、申し訳なく思う。
3.あまりのことに驚き入るばかりである。
4.非常にこわがる。

出典:goo辞典「恐れ入る」

「恐れ入谷の鬼子母神」が意味する「恐れ入りました」は、『相手の優れた点に感心するとともに、参ったと思う』や「恐縮する」という意味です。

そして、「恐れ入谷の鬼子母神」ということわざを使う時には、冗談ぽく言いたい時に使われます。

\次のページで「「恐れ入谷の鬼子母神」の使い方・例文」を解説!/

「恐れ入谷の鬼子母神」の使い方・例文

「恐れ入谷の鬼子母神」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あんなに細身で大食いなんて、恐れ入り谷の鬼子母神だね。
2.あの強敵を相手に完全試合なんて、恐れ入り谷の鬼子母神だ。
3.いつも怒られてばかりいたかれが、今では社長をやっているなんて、恐れ入り谷の鬼子母神だよ。

例文からわかるように、シャレや笑いを誘いたい時に使われます。「恐れ入りました」という意味は、変わりませんね。

「恐れ入谷の鬼子母神」の誤った使い方

「恐れ入谷の鬼子母神」は、シャレをきかせたことわざです。

真面目なシーンで使ったり、恐怖に対して用いるのは誤りになります。

1.恐れ入り谷の鬼子母神ですが、仕事を手伝ってもらえませんか。
2.突然ひったくりに遭って、恐れ入り谷の鬼子母神でした。

1つ目の例文は、ビジネスのシャレを必要としない場面なので誤りです。ただ、真剣に依頼をするシーンなので、ことわざではなく「恐れ入りますが」と丁寧に伝えましょう。

2つ目の例文では、恐怖を意味することわざとして使われているので誤りです。「恐れ入り谷の鬼子母神」は、「恐れ」が入っていますが恐怖を意味する訳ではありません。ここでは、「とても怖かった」と伝えた方が良いでしょう。

このように謝った意味や使い方をしてしまう事もあります。正しい意味と使い方を覚えておきましょう。

「恐れ入谷の鬼子母神」の類義語は?違いは?

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「恐れ入谷の鬼子母神」の類義語には、「敵もさるもの引っ掻くもの」があります。詳しい使い方や意味を見ていきましょう。

「敵もさるもの引っ掻くもの」

「敵もさるもの引っ掻くもの(てきもさるものひっかくもの)」とは、以下の意味があります。

\次のページで「「恐れ入谷の鬼子母神」の英訳は?」を解説!/

1.敵もなかなかどうして油断のならない者だ、の意で、「さる」に「猿」をかけて続けた言葉遊び。

出典:goo辞典「敵もさるもの引っ掻くもの」

「敵もさるもの引っ掻くもの」は、相手の実力を認める際に使われることわざです。競っていた相手や見下していた相手を、認めるという意味を持ちます。

「さるもの」というのは「然る者」と表記でき、『しかるべき人』という意味です。つまり、『たいしたものだ』『さすがだ』という意味を表します。この「さる」を「猿」にかけてシャレを作っているのです。

「恐れ入り谷の鬼子母神」と同じように、シャレをきかせたことわざですね。

以下のように使われます。

1.敵もさるもの引っ搔くものだ、もう一度出直してこよう。
2.勝てると思っていた試合だったが、敵もさるもの引っ搔くものだ。気が緩むと、こちらが負けてしまう。
3.敵もさるもの引っ搔くものというように、慢心している事をいつか後悔しますよ。

多くは、相手の実力を認める時に使われます。「たいしたものだ」と言い換えると、イメージしやすいかもしれません。

また、『競う相手や見下した相手の実力を認める』という意味から、慢心している人に注意する際にも使われます。

「恐れ入谷の鬼子母神」の英訳は?

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「恐れ入谷の鬼子母神」の英語訳は、日本語で示したい意味によって異なります。

今回は、「恐れ入りますが」「参りました」「さすが」の3つに分けて、英語訳を見ていきましょう。

「恐れ入りますが」と言いたい時

ビジネスシーンでよく使われる「恐れ入りますが」という表現。実は、英語にはこのような表現がありません。

英語圏では、「恐れ入る」という考え方が存在しないのです。そのため、同じ意味を表す言葉がありません。

ただ、似たような場面で使う決まった表現があるので、ご紹介しておきます。

1.I would be very much obliged ....
恐縮ですが、

2.I feel very sorry to ask you this but ....
これをあなたにお願いして申し訳ありませんが、

3.I would appreciate it.
大変ありがたいです。

4.We would be grateful.
大変ありがたいです。

5.I'm so sorry to bother you.
お邪魔をして申し訳ありません。

相手に伝えたい事や、相手の状況に合わせて使い分けてみてください。

「参りました」と言いたい時

相手の実力を認めて、「参りました」「負けました」と言いたい時に使える表現です。

\次のページで「「さすが!」と言いたい時」を解説!/

1.I give up.
参りました。(諦めます。)

2.I am beat.
私の負けです。

3.You got me.
参ったな。(やられた。)

この場合、相手の実力を認めるだけでなく、自分の負けを認める言い回しです。

「恐れ入り谷の鬼子母神」では、相手の実力を認めるという意味でしたね。少しニュアンスが変わりますが、状況によっては似たようなシーンで使えますよ。

「さすが!」と言いたい時

純粋に相手の実力を認めて「さすが!」と言いたい時に使える表現になります。

1.That is you!
さすが君だ!

2.That is great!
さすがだ!

3.I knew you could do it, Taro!
あなたならできると思っていたよ、太郎!

「さすが!」と言いたい時には、シンプルに伝える事ができますよ。

これが「恐れ入り谷の鬼子母神」に最も近い言い回しになります。ただ、同じ意味を表す英語が存在しないので、状況に合わせて使い分けることがポイントです。

「恐れ入谷の鬼子母神」を使いこなそう

この記事では「恐れ入谷の鬼子母神」の意味・使い方・類語などを説明しました。

恐怖をイメージさせることわざですが、実はシャレをきかせたものでしたね。笑いを誘って「恐れ入りました」と言いたい時には、ぴったりの表現です。ぜひ使ってみてくださいね。

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【慣用句】「恐れ入谷の鬼子母神」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「恐れ入谷の鬼子母神」について解説する。

端的に言えば恐れ入谷の鬼子母神の意味は「恐れ入りました」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「恐れ入谷の鬼子母神」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「恐れ入谷の鬼子母神」の意味や語源・使い方まとめ

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「恐れ入谷の鬼子母神」ということわざを聞いたことがあるでしょうか。耳にしたことはあっても、意味を知らないという方も少なくありません。

今回は、「恐れ入谷の鬼子母神」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「恐れ入谷の鬼子母神」の意味は?

「恐れ入谷の鬼子母神(おそれいりやのきしもじん)」には、次のような意味があります。

1.《「恐れ入りやした」の「いりや」を地名の「入谷」に掛け、同地にある「鬼子母神」と続けたもの》「恐れ入りました」をしゃれていう語。

出典:goo辞典「恐れ入谷の鬼子母神」

 

「恐れ入谷の鬼子母神」は、『恐れ入りました』という意味です。

「恐れ入りやした」という表現を、地名の「入谷」にかけてシャレとして使われています。うまい語呂合わせで、笑いを誘う言い回しですね。

「恐れ」という言葉が入っていますが、ここでは『恐怖』という意味はありません。「恐れ入る」の「恐れ」なので、他の動詞の一部になります。

1.女神の名。千人の子があったが、他人の子を取って食い殺したため、仏はその最愛の一児を隠してこれを教化し、のち仏に帰依 (きえ) して出産・育児の神となった。手にザクロの実を持ち、一児を抱く天女の姿をとる。訶梨帝母 (かりていも) 。きしも。きしぼじん。

出典:goo辞典「鬼子母神」

1.東京都台東区北部の地名。鬼子母神 (きしもじん) を本尊とする真源寺の朝顔市は有名。

出典:goo辞典「入谷」

ことわざの中の「入谷」というのは、東京に実際にある地名です。また、「鬼子母神」というのは入谷の女神で、出産や育児の神様と言われています。

1.相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。
2.相手に失礼したり、迷惑をかけたりしたことに対して、申し訳なく思う。
3.あまりのことに驚き入るばかりである。
4.非常にこわがる。

出典:goo辞典「恐れ入る」

「恐れ入谷の鬼子母神」が意味する「恐れ入りました」は、『相手の優れた点に感心するとともに、参ったと思う』や「恐縮する」という意味です。

そして、「恐れ入谷の鬼子母神」ということわざを使う時には、冗談ぽく言いたい時に使われます。

\次のページで「「恐れ入谷の鬼子母神」の使い方・例文」を解説!/

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