今日はちょっと生徒たちにお金についてシビアな話をしたんです。話自体は真面目に聞いてくれていて反応も良かったんですが、「すずめの涙」って言葉を知らなかったんですね。ちょっとビックリしました。ただ、意外と知らない人が多いのかもしれません。

この「すずめの涙」は、簡単に言えば「ほんのわずか」という意味の慣用句です。特に、アレについて使うんですが。院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働いている日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「すずめの涙」の意味や使い方は?

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「すずめの涙」という言葉、「どこかで聞いたことがあるけど、どんな意味だっけ…」という人が多いのではないでしょうか。意外と使える場面の多い言葉ですよ。まずは「すずめの涙」の意味と使い方を確認していきましょう。

「すずめの涙」の意味は「ほんのわずか」

最初に、「すずめの涙」の辞書での意味を確認していきましょう。「すずめの涙」は国語辞典には次のような意味が掲載されています。

ほんのわずかであることのたとえ。
「ーほどのボーナス」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「◆雀の涙(なみだ)」

「すずめの涙」は、量がほんのわずかであること」をすずめの涙に例えた表現です。すずめはとても小さな鳥ですから、当然涙は小さくて人間にはほとんどわかりませんよね。「すずめの涙のような、とても少ない量」であることを表現します。特にお金が少額であることについて使用されることが多い表現です。

「すずめの涙」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「すずめの涙」の使い方を確認していきましょう。「すずめの涙」を含んだ3つの例文を用意しました。「すずめの涙」がどのような文脈やニュアンスで使用されているのか、見ていきましょう。

\次のページで「「すずめの涙」の類義語は?」を解説!/

1.毎日2時間近く残業しても、給料はすずめの涙ほどしかない。
2.国によって、老人はすずめの涙ほどの額しか年金を受け取れず、仕方なく働き続けたり親族の援助を受けたりしている場合がある。
3.朝からずっと川で釣りをしていたが、すずめの涙ほどしか釣れなかった。

例文1と例文2は、「すずめの涙」が最も使われるパターンである、”お金”についての例文です。例文1では「給料がとても少ない」、例文2では「ほんのわずかの額の年金」という意味で「すずめの涙」が使用されています。1つ注意が必要な点としては、金額の少なさはあくまで主観的なもので、"〇円以下なら「すずめの涙」が使用できる"といった基準はないということです。例えば、月の給料が100万円でも、発話者にとってとても少ないと感じれば、「すずめの涙」を使用しても問題はありません。

例文3は、”お金”以外について、量がとても少ないことを表す場合の例文です。「ほとんど魚が釣れなかった」という文脈で「すずめの涙」が使用されていますね。お金関係で使われることが多い表現ですが、お金以外のものの量に用いても、全く問題はありません。

「すずめの涙」の類義語は?

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次に、「すずめの涙」の類義語を確認していきましょう。「すずめの涙」の類義語は「蚊の涙」「なけなし」です。意味やニュアンスを確認し、「すずめの涙」と比較してみてください。

「蚊の涙」:ほんのわずか

「蚊の涙」は量が「ほんのわずかであること」を蚊の涙に例えた表現です。そもそも蚊が涙を流すのかどうか自体が怪しいほど小さいですが…。意味やニュアンスは「すずめの涙」と違いはありません。蚊の方が小さいから、「すずめの涙」よりさらに少ない量を表す…ということもありませんのでご注意ください。

「なけなし」:あるかないか分からないくらいの少量

「なけなし」は「あるかないか分からないくらいの少量」という意味の表現です。こちらも意味やニュアンスは「すずめの涙」と違いはありません。「すずめの涙」と同様に、お金関係についてよく用いられる表現です。

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「すずめの涙」の英語表現は?

次に、「すずめの涙」の英語表現について確認していきましょう。「すずめの涙」の英語表現は「chicken feed」です。意味と例文を見ていきましょう。

「chicken feed」:少額のお金、つまらないもの

「chicken feed」は、直訳すると「鶏のエサ」という意味の表現で、俗語として「少額のお金」という意味も表します。「少額のお金」という意味の場合は、「すずめの涙」の訳語として用いることが可能です。ただ、お金以外のものの量が少ないことについては表現できず、堅い場面では使わないので注意しましょう。

例文は、以下の通りです。

1.I can't afford it on my chicken feed salary.
わたしのすずめの涙ほどの給料では、それを買うことはできない。

2.Even the chicken feed, if saved every day for a year, would be a substantial sum.
たとえすずめの涙ほどのお金でも、1年間毎日貯め続ければ相当な額になるだろう。

「すずめ」を使ったその他のことわざ・慣用句!

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最後に、「すずめの涙」以外の「すずめ」を使ったことわざや慣用句をご紹介します。ことわざや慣用句には動物や生き物を使ったものが多くありますが、「すずめ」を使ったものも、他にもいくつか存在しますよ。その一部をここではご紹介しましょう。

「すずめの巣も構うに溜まる」

すずめの巣も構う(くう)に溜まる」は「少しのものも、積もり積もれば多くなる」という意味のことわざです。「塵も積もれば山となる」と似たような意味やニュアンスを表します。すずめがわずかな量の枝などを少しずつ運んだ結果、ついには巣を作り上げることから生まれた言葉です。

\次のページで「「すずめの千声鶴の一声」」を解説!/

「すずめの千声鶴の一声」

すずめの千声鶴の一声」は「つまらぬ者の発する多くの言葉より、優れた人の一言の方が勝る」という意味のことわざです。すずめは身近に多く存在する鳥であるため、「つまらぬ者の発する多くの言葉」に例えられています。

今は「すずめの涙」でも、いつか…

今回は「すずめの涙」について解説しました。「すずめの涙」は「量がほんのわずかであること」という意味の表現で、特にお金が少額であることについて使用されることが多い表現です。

現在のお給料や貯金が「すずめの涙」で嘆いている人もいるのではないでしょうか。環境を変えたり、今の環境で自身が変わる努力をしてみましょう。きっといつか、そのお金は「すずめの涙」ではなくなっているはずです。

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国語言葉の意味

見えないくらいの量…「すずめの涙」の意味や類義語などを院卒日本語教師が簡単にわかりやすく解説

今日はちょっと生徒たちにお金についてシビアな話をしたんです。話自体は真面目に聞いてくれていて反応も良かったんですが、「すずめの涙」って言葉を知らなかったんですね。ちょっとビックリしました。ただ、意外と知らない人が多いのかもしれません。

この「すずめの涙」は、簡単に言えば「ほんのわずか」という意味の慣用句です。特に、アレについて使うんですが。院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働いている日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「すずめの涙」の意味や使い方は?

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「すずめの涙」という言葉、「どこかで聞いたことがあるけど、どんな意味だっけ…」という人が多いのではないでしょうか。意外と使える場面の多い言葉ですよ。まずは「すずめの涙」の意味と使い方を確認していきましょう。

「すずめの涙」の意味は「ほんのわずか」

最初に、「すずめの涙」の辞書での意味を確認していきましょう。「すずめの涙」は国語辞典には次のような意味が掲載されています。

ほんのわずかであることのたとえ。
「ーほどのボーナス」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「◆雀の涙(なみだ)」

「すずめの涙」は、量がほんのわずかであること」をすずめの涙に例えた表現です。すずめはとても小さな鳥ですから、当然涙は小さくて人間にはほとんどわかりませんよね。「すずめの涙のような、とても少ない量」であることを表現します。特にお金が少額であることについて使用されることが多い表現です。

「すずめの涙」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「すずめの涙」の使い方を確認していきましょう。「すずめの涙」を含んだ3つの例文を用意しました。「すずめの涙」がどのような文脈やニュアンスで使用されているのか、見ていきましょう。

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