
端的に言えば腕利きの意味は「技能がすぐれていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「腕利き」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/eastflower
今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「腕利き」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。
「腕利き」の意味は?
「腕利き」には、次のような意味があります。
【腕利き】
1. 技能がすぐれていること。また、その人。うでこき。うでっこき。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「腕利き」
【腕】
1. 人や猿の、肩から手首までの部分。また、手の部分も含めていう。
2. 物事をする能力。技量。うでまえ。
3. 腕の力。腕力。転じて、武力にもいう。
4. 道具などで、横に突き出た部分。
5. 動物の前足や、タコ・ヒトデなどの物をつかむ働きをする器官。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「腕」
「腕」(うで)とは、身体の肩から手首の部分を指すことが多い現在ですが、昔は「肩からひじの部分」を「かいな」と呼び、「ひじから手首までの部分」を「うで」と呼んでいました。現在でも、相撲の世界では「かいな」という概念は意識されていますし、時代劇をみていても、よく「かいな」という言葉は使われています。ことわざや慣用句の中でも「腕」はよく出てくる名詞ですが、「身体的な腕」という意味の他に、「技量や能力」、「腕力や武力」の意味で使われている場合が多いですね。「利く」(きく)とは、「効果や働きが期待通りのよい結果がでる」という意味のほかに、「利く」だけでも、技能が優れているという意味にも使われます。
「腕利き」(うできき)とは、国語辞典で記載されているとおり、「技能がすぐれていること」の意味です。
「腕利き」の語源は?
次に「腕利き」の語源を確認しておきましょう。
「腕利き」という言葉もかなり古くから使われていたと考えられますが、遅くとも江戸時代には普及した用語になっていたても言われています。もっとも、1500年代の室町時代には、「腕利き」と同じ意味で「腕扱」(うでこき)や「腕っ扱」(または「腕っ扱き」)(うでっこき)という言葉も使われていたため、混在していたかもしれませんね。物を上手に作るための「知識」や「手順」や「製造方法」を身につけた「熟練技能者」は統治者からも珍重されていたことでしょう。
「腕利き」と言えば、武芸に長けた侍の他に物を作る職人を連想させますが、江戸時代の職業別人口では、統治者である武士が7%、農民が85%、商いや職人などの町人が5%、あとは、神官や僧侶と言われていますから、ものづくりの職人の割合はわずかで、圧倒的に農民が大多数を占めていたのです。
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