この記事では「手玉に取る」について解説する。

端的に言えば手玉に取るの意味は「人を自分の思いのままに動かして扱うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「手玉に取る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「手玉に取る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手玉に取る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。基本的な情報だけでなく、詳しいところまでチェックしていきますよ。

「手玉に取る」の意味は?

「手玉に取る」には、次のような意味があります。まずは辞書の意味を確認してから、詳しい意味についても一緒に見ていきましょう。

1.手玉をもてあそぶように、人を思いどおりにあやつる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手玉に取る」

相手を自分の思うままに動かせる状態にあることを表しています。このとき、相手がどう感じているか、操られていることを自覚しているかどうかは関係ありません。

ただ、自分の思うように相手を動かすということは、相手の気持ちをくんでいなかったり、個人的な都合で行っているようにも見えるため、好意的にとられないことがあります。もし、相手に気を配り、他人の利益を考えられる人なら、「手玉に取る」という言い方にはなりませんね。

「手玉に取る」の語源は?

次に「手玉に取る」の語源を確認しておきましょう。

「手玉に取る」の語源は、手玉を投げ上げるなど自在にもてあそぶようすからきています。「手玉」とは布袋に小豆などを詰めたもので、古い時代から女の子が遊んでいた「お手玉」と言われるものです。曲芸でも自由自在に扱うようすが見られることから、自分の思うままにあやつるたとえとなりました。

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「手玉に取る」の使い方・例文

「手玉に取る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女は思わせぶりな態度で男性を手玉に取ることから、小悪魔と呼ばれる一方で、たくさんの恋愛相談を受けてきた。
2.実演販売のプロは、自慢の商品の特徴やオススメポイントを独特の話術で説明し、周りの人とコミュニケーションを取りつつ手玉に取っていく。

いずれの例文でも、意図的な言動によって相手を思うように動かしているようすがわかる文です。例文1.は、相手をその気にさせるような言動で、男性の気を引く女子について述べられています。

例文の2.のほうは、実演販売の達人が独特の巧みな話術で商品の特徴を説明しながら、集まった人の心をつかんでいくようすについて書かれている文です。

「手玉に取る」の類義語は?違いは?

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それでは、「手玉に取る」の類義語についての説明です。よく似た意味の慣用句がいくつかあるので、一緒に詳しく見ていきましょう。

「丸め込む」

「手玉に取る」の類義語には、「丸め込む(まるめこむ)」があります。意味は、上手く言いくるめて相手を思うままにあやつることです。もとは「物を丸めて中に入れる」という意味であり、角のないように丸めた上でしまい込むことから、穏便に異議が出ないようにというニュアンスにつながっています。

「手玉に取る」と同様に、高圧的や威圧的に動かすようなパワーによってではなく、上手く話すというようなテクニックによってあやつるというイメージです。

\次のページで「「鼻面を引き回す」」を解説!/

「鼻面を引き回す」

もう一つの類義語には、「鼻面を引き回す(はなづらをひきまわす)」があります。他人を自分の思うままに扱うという意味です。「鼻面」とは鼻の先のことを表しています。鼻ををつかんで引き回すということは、抵抗できなかったり、圧倒的な力の差があって、相手を意のままにするニュアンスにつながりますね。

「鼻面を引き回す」は、詳しい表現として「鼻面を取って引き回される」と言われることもあります。さらには、逆の立場で相手に思うようにされるという意味合いで「鼻面を引き回される」と受け身で使われることもある慣用句です。

「手玉に取る」の対義語は?

次は、「手玉に取る」の対義語についての説明です。相手に思うままに操られるという逆の意味合いについて、一緒に二つの対義語を見ていきましょう。

「踊らされる」

「手玉に取る」の対義語には、「踊らされる(おどらされる)」があります。意味は、他人に思い通りに動かされるということです。「踊る」には、もともと「他人にあやつられて行動する」という意味があり、その受け身の表現として「踊らされる」になっています。

なお、自らあやつられて行動するということはあまりないので、基本的には「踊らされる」という受け身の表現で使われることが多くなっていますよ。

「丸呑み」

もう一つの対義語には、「丸呑み(まるのみ)」があります。そっくりそのまま受け入れたり承諾したりすることという意味です。もとの意味は「かまないでそのまま飲み込むこと」であり、噛み砕いて検討したり対案を出したりすることなく、そっくり受け入れるということにつながっています。

「手玉に取られる」ような相手に翻弄されている状況というよりは、力関係によって受け入れざるを得ない場合や相手に貸しをつくるためにあえて承諾する場合などでよく使われる表現です。

「手玉に取る」の英訳は?

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最後に、「手玉に取る」の英訳についての説明です。日本語と英語の違いはありますが、意味合いとして関連する英単語を使った表現について見ていきましょう。

「lead somebody by the nose」

「手玉に取る」の英訳には、「lead somebody by the nose」があります。直訳すると「鼻で人を導く」となり、相手を意のままに動かす意味合いです。相手を上手くコントロールする場合に限らず、威圧している場合にも使われる表現になっています。

その他、「twist somebody around one's finger」でも「手玉に取る」という意味を表すことができますよ。同じような意味合いですが、恋愛で使う場合はこちらです。

\次のページで「「手玉に取る」を使いこなそう」を解説!/

「手玉に取る」を使いこなそう

今回の記事では「手玉に取る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「手玉に取る」の基本の意味は、相手を思うままにあやつるということです。あやつるということから、強引なやり方というより、相手を上手くコントロールしているというニュアンスがあります。そのため、類義語や対義語では、パワーによるものかテクニックによるものかという慣用句の性質の部分にも注目して使い分けるといいですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「手玉に取る」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「手玉に取る」について解説する。

端的に言えば手玉に取るの意味は「人を自分の思いのままに動かして扱うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「手玉に取る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「手玉に取る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手玉に取る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。基本的な情報だけでなく、詳しいところまでチェックしていきますよ。

「手玉に取る」の意味は?

「手玉に取る」には、次のような意味があります。まずは辞書の意味を確認してから、詳しい意味についても一緒に見ていきましょう。

1.手玉をもてあそぶように、人を思いどおりにあやつる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手玉に取る」

相手を自分の思うままに動かせる状態にあることを表しています。このとき、相手がどう感じているか、操られていることを自覚しているかどうかは関係ありません。

ただ、自分の思うように相手を動かすということは、相手の気持ちをくんでいなかったり、個人的な都合で行っているようにも見えるため、好意的にとられないことがあります。もし、相手に気を配り、他人の利益を考えられる人なら、「手玉に取る」という言い方にはなりませんね。

「手玉に取る」の語源は?

次に「手玉に取る」の語源を確認しておきましょう。

「手玉に取る」の語源は、手玉を投げ上げるなど自在にもてあそぶようすからきています。「手玉」とは布袋に小豆などを詰めたもので、古い時代から女の子が遊んでいた「お手玉」と言われるものです。曲芸でも自由自在に扱うようすが見られることから、自分の思うままにあやつるたとえとなりました。

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