この記事では「筋金入り」について解説する。

端的に言えば「筋金入り」の意味は「心身ともにしっかりしていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「筋金入り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「筋金入り」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「筋金入り(すじがねいり)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「筋金入り」の意味は?

「筋金入り」には、次のような意味があります。

筋金がはいっていること。転じて、身体や思想などが十分に鍛えられていて強固なこと。「筋金入りの活動家」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「筋金入り」

この言葉は、「心構えや、身体のつくりなどがしっかりしていること」を意味する慣用表現です。

気になるのは「筋金(すじがね)」という言葉。詳しくは語源の項で説明しますが、これは金属などの強度を上げる為に用いられる、別の金属のことです。硬い金属が更に硬くなるわけですから、単純に「強い・硬い」よりも更に、というニュアンスが感じられるでしょう。

個人としての強さだけではなく、過去の実績があったり強力な支援者がいたりと、他の何かに裏打ちされているイメージでしょうか。例文も合わせて確認してみてくださいね。

「筋金入り」の語源は?

次に「筋金入り」の語源を確認しておきましょう。先に述べた通り、「筋金」とは「強度を増すための金属」のことです。たとえば、刃物やゴルフクラブなど金属製品に、別の金属が筋で入っているのを見たことはありませんか。あれが「筋金」です。

金属は、硬質ではありますが柔らかい性質も持っています。金などが、熱を加えられて曲がってしまうのを見たことがあるでしょう。そんな変形を防ぐために、性質の異なる金属を入れるのです。

ちなみに、必ずしも金属に入っている必要はなく、「筋金入りのハチマキ」なんてものもあるそうですよ。強度を増す為に、ガラス窓に格子状に金属の網が入っていたり、コンクリートに鉄筋が入っているものもあります。それらも「筋金入り」と言ってもいいかもしれませんね。

\次のページで「「筋金入り」の使い方・例文」を解説!/

「筋金入り」の使い方・例文

「筋金入り」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・先輩の家の子供は、幼いころから納得いくまで何事にも工夫する姿勢を貫く性格で、筋金入りの努力家だった。

・うちの祖父は音痴だけれど筋金入りのカラオケ好きで、旧知の友人を自宅に招いては日々カラオケ大会を開催している。

・仕事先の部長は、部下に一言何かを言わなければ気が済まない一方で、自分の考えは決して曲げない筋金入りの頑固者だ。

性格や心身の性質がしっかりしている」というニュアンスが伝わりますでしょうか。特に経験などに裏打ちされた意味合いを含むことが多く、「彼は本当に筋金入りの~だ」と言った場合、その強さを「何度も実感させられている」イメージが出来るでしょう。

ここで押さえておきたいのは、この言葉自体には「良い意味・悪い意味の区別はない」こと。人と比べて「強い」ため、褒め言葉と捉えていまいそうで、注意したいポイントです。

金属の例えをご紹介しましたが、強いとは硬くて扱いにくいということでもあり、悪く言えば「頑固者」ということにもなるでしょう。物事に取り組む姿勢を「彼は筋金入りだ」と評価した場合、「それくらい真面目」なのか「周りの意見を聞けないほど頑固」なのかで意味が変わりますね。

評価する人によっても変わることですから、文章問題では文脈からの読み取りが必要です。テーマが表れている重要な箇所となることもあるため、注意しましょう。

「筋金入り」の類義語は?違いは?

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「筋金入り」の類義語は「芯のある」「筋が通った」がいいでしょう。

「芯のある」「筋が通った」

「芯のある」は「しっかりと自分の考えを持ち、周囲に振り回されないこと」。自分を貫いているということで「筋金入り」と同じになりますが、こちらは良い意味で使われることがほとんどです。

「筋が通った」は「道理が通っていること、首尾一貫していること」。こちらも「論理的、道理にかなっている」ということで好ましい意味合いになります。

どちらも何かの中心に通る「芯」や「筋」が漢字が使われており、言葉が持っているイメージが伝わってきますね。「筋金入り」との細かい違いも、合わせて押さえましょう。

\次のページで「「筋金入り」の対義語は?」を解説!/

・どんな人が素敵だと思う?と女友達に聞いてみたのだが、芯のある人がいい、と言われて余計に混乱してしまった。

・先生はとても厳しいけれど、曖昧なことをそのままにせず、誰に対しても平等に接する筋が通った人だ。

「筋金入り」の対義語は?

「筋金入り」の対義語には「骨なし」があります。

「骨なし」

「骨なし」は「やる気や強い主張といったものを持たないこと、その人」。

こちらも、中心に通るべき「骨」がないため「弱い」というニュアンスになっていますね。漢字や日本語において、中心に通る何かがあることが大切、と考えられていたことが現れているようです。

「筋金入り」は良い悪い両方の意味で使うことができましたが、「骨なし」は基本的に良い意味で使われることはないでしょう。誰か人のことを表すのに使う際には注意してください。

・オトナの社会では自己主張しない人を骨なしだなんて言うけれど、それも考え方の一つであることを忘れてはいけない。

「筋金入り」の英訳は?

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「筋金入り」の英語訳は「hard-core」がいいでしょう。

「hard-core」

「hard-core」は「確固たる、妥協しない」といった意味を持つ慣用表現です。使い方としては「hard-core ~」と、後ろに特定の単語を付けることで「筋金入りの~」と言うことができます。

日本語で「ハードコアな」と言うと硬派でカッコいいイメージもあるかもしれませんが、原義では「頑固な」と、相手をけなしたり下に見るニュアンスもあるようです。失礼にならないよう、前後の文脈でしっかり意図を伝えるようにしましょう。

\次のページで「「筋金入り」を使いこなそう」を解説!/

・I also love his hard-core railway buff.
私は彼が筋金入りの鉄道マニアなところも愛している。

「筋金入り」を使いこなそう

この記事では「筋金入り」の意味・使い方・類語などを説明しました。

類義語や対義語で見たように「筋」「芯」「骨」など、似た意味を持つ単語を使った言葉が多くありました。それらは人間の根幹を構成していたり、家を作る為に必須であったりするものですね。

それが無いと確かに困りますが、単純に硬いだけでなく柔らかさも兼ね備えた強さというものが、金属と金属を合わせる「筋金」にあるのではと想像させられました。

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国語言葉の意味

【慣用句】「筋金入り」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「筋金入り」について解説する。

端的に言えば「筋金入り」の意味は「心身ともにしっかりしていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「筋金入り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「筋金入り」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「筋金入り(すじがねいり)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「筋金入り」の意味は?

「筋金入り」には、次のような意味があります。

筋金がはいっていること。転じて、身体や思想などが十分に鍛えられていて強固なこと。「筋金入りの活動家」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「筋金入り」

この言葉は、「心構えや、身体のつくりなどがしっかりしていること」を意味する慣用表現です。

気になるのは「筋金(すじがね)」という言葉。詳しくは語源の項で説明しますが、これは金属などの強度を上げる為に用いられる、別の金属のことです。硬い金属が更に硬くなるわけですから、単純に「強い・硬い」よりも更に、というニュアンスが感じられるでしょう。

個人としての強さだけではなく、過去の実績があったり強力な支援者がいたりと、他の何かに裏打ちされているイメージでしょうか。例文も合わせて確認してみてくださいね。

「筋金入り」の語源は?

次に「筋金入り」の語源を確認しておきましょう。先に述べた通り、「筋金」とは「強度を増すための金属」のことです。たとえば、刃物やゴルフクラブなど金属製品に、別の金属が筋で入っているのを見たことはありませんか。あれが「筋金」です。

金属は、硬質ではありますが柔らかい性質も持っています。金などが、熱を加えられて曲がってしまうのを見たことがあるでしょう。そんな変形を防ぐために、性質の異なる金属を入れるのです。

ちなみに、必ずしも金属に入っている必要はなく、「筋金入りのハチマキ」なんてものもあるそうですよ。強度を増す為に、ガラス窓に格子状に金属の網が入っていたり、コンクリートに鉄筋が入っているものもあります。それらも「筋金入り」と言ってもいいかもしれませんね。

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