
「恥の上塗り」の対義語は?
次に「恥の上塗り」の反対語を見ていきましょう。
「厚顔無恥」
「恥をかいてしまった」「恥の上塗りをしてしまった」と思うのは自分の中で恥ずかしいと感じるためです。その逆で「普通の人であれば恥ずかしいと感じることなのに平然として恥ずかしいと思わない人」を表す言葉に「厚顔無恥」(こうがんむち)があります。文字通り「面(つら)の皮が厚くて、ずうずうしく恥知らず」の人を指す四字熟語ですね。
「自己信頼」
「恥をかかないように生きたい」という感性は大切なことで、みんながそう思うことで、協調して生活し、平和で安定した社会が継続できるわけです。また、社会に自分を適応させていくことも生きるための能力のひとつだとも言えることでしょう。
しかし、民主主義の国、アメリカでは「真理は自分自身の中にあるものであり、同調することだけを目的とするのではなく、自分に忠実に生きるべきである」と思想家エマソンは主張しました。確かにエマソンが言ったこともまた大切なことです。エマソンのこの考え方のことを「自己信頼」、オリジナルの英語では、「self-reliance」といいます。エマソンは「self-reliance」の他にも「self-education」(自己教育)なども訴えましたが、その後、アメリカには一代で富を築いたり、独力で有名な企業家や政治家になった人々を輩出していきました。
ただ、エマソンの時代、アメリカには人々をひきつける魅力的な条件が揃っていたともいえるでしょう。「広大な西部の土地」です。アメリカ政府は一定期間農地を耕したものには無償で土地を与える政策を打ちだし、窮屈な村社会から抜け出して自身の努力によって土地を手に入れられる時代でもあったのですね。
「I’m ashamed of myself」
「私は恥ずかしい」と言いたい時は、最も一般的な言い方は「I am embarrassed」(アイム インバラスドゥ)になるでしょう。「embarrassed」(ɪmˈbær.əst)の原形は「embarrass」(ɪmbˈærəs)で、「恥ずかしい思いをさせる」や「きまり悪がらせる」という意味の他動詞ですから、「私は恥ずかしい」と普通に使う場合には、「I’m embarrassed」となるのです。
しかし、「恥の上塗り」は、「普通の軽い恥ずかしさよりも強い恥ずかしさ」を表す言葉のため、「embarrassed」よりも強い「ashamed」を使うことで、恥ずかしさの度合いが強いことを相手に伝えることができます。「ashamed」(əʃéɪmd)の原形は、「ashame」(əʃeɪm)で、「誰々にに恥をかかせる」の意味を持つ他動詞になりますので、「自分は、スゴク恥ずかしさを感じている」と表現、表明したいときには、「I am ahamed of myself.」を使えばよいでしょう。
しかし、「I’m ashamed of myself.」では、「重ねて恥をかいた」というところまでは表現できないため、より正確に伝えるには、下記の表現がよりよいでしょう。
「double disgrace」
「恥の上塗り」とほぼ同じ意味で使われる英語表現に「double disgrace」(dˈʌbl dɪsgréɪs)があります。「double」は、既に日本語にもなっている「ダブル」のことで、「2倍の」を意味する形容詞です。「disgrace」は、「不名誉」や「恥辱」の意味を持つ不可算名詞ですが、動詞としても使われ、「恥となる」や 「名を汚す」の意味で使われます。例えば、「家名を汚すことは、どうかしないでください」であれば、「Please do not disgrace the family name」となりますね。
「恥の上塗り」言い換えると「二重の不名誉」という部分を強調したいのであれば、「double disgrace」がいいですね。相手もきっと意味をわかってくれることでしょう。
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