この記事では「子は鎹」について解説する。

端的に言えば子は鎹の意味は「子どもの存在が夫婦の縁をつなぎとめてくれる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「子は鎹」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「子は鎹」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「子は鎹」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「子は鎹」(こはかすがい)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「子は鎹」の意味は?

「子は鎹」には、次のような意味があります。

【子は鎹】
1.子供への愛情から夫婦の仲がなごやかになり、縁がつなぎ保たれることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「子は鎹」

【鎹】
1.材木と材木とをつなぎとめるために打ち込む両端の曲がった大釘。
2.人と人とをつなぎとめるもの。
3.戸締まりの掛けがね。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鎹」

「両端が直角に曲げられコの字の形状で,先端が爪(つめ)状にとがっている大釘(おおくぎ)」である鎹(かすがい)は、主として木材や合板、ボード類を「接合」、「固定」、「連結」するための固定具として使われますが、石をつなぐ場合に使われることもあります。大釘(おおくぎ)の形状は丸型が一般的ですが、角形や平型のものもありますね。鎹の先端は両方とも同じ方向に曲げられているものが一般的ですが、一端だけが曲げられているもの、両端が別の方向に曲げられている鎹もあります。

いずれにしても木材などをつなぎ合わせる目的で使われてきました。そのつなぎ合わせる用途の意味から発展し、子供の存在があるからこそ、夫婦間の関係をつなぎとめることができるというさまを「子は鎹」と言われるようになりました。

「子は鎹」の語源は?

次に「子は鎹」の語源を確認しておきましょう。

いつから、日本で「鎹」が使用されるようになったかは、特定できないものの飛鳥時代には、日本で製造された「和釘」(わくぎ)が建築物に使われるようになりました。600年代の初めに建設されたと言われる法隆寺(ほうりゅうじ)の金堂(こんどう)には、「和釘」が使われていたことが確認されていて、鎹(かすがい)も同じころに日本で製造できるようにもなっていたと考えられています。「鎹」は「和釘」の仲間であり、同じような方法で製造されたと考えられているのです。「子は鎹」という言葉が使われるようになったのは、釘や鎹が製造された600年代以降のどこかであり、それ以前に存在した言葉ではないと考えられるでしょう。

\次のページで「「子は鎹」の使い方・例文」を解説!/

「子は鎹」の使い方・例文

次に「子は鎹」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.誰だって浮気や不倫をすることもあるだろう。私もそうだった。妻は子供を連れて実家に帰ってしまった。妻を迎えに行くこともしなかった。でも、やはり子供は可愛いものだろ。もう昔のことで細かいことは覚えていないが、「子は鎹」で、元の鞘(もとのさや)に収まったよ。

2.「子は鎹」であることは多くの夫婦が普段から感じていることだが、別れてやり直した方が良い場合もある。ひとつは、相手が暴力亭主でひんぱんにドメスティック・バイオレンスを起こす男の場合。もうひとつは、相手がギャンブルや酒への依存症の場合だ。これは一種の病気で、家族の協力ももちろん大切だが、専門病院での療養が必要なのだ。

「子は鎹」で別れることなく、不完全ではあっても「普通の幸せな家庭」を維持しているケースも少なくないですね。

「子は鎹」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

それでは、「子は鎹」の類義語を見ていきましょう。

「縁の切れ目は子で繋ぐ」

「子は鎹」とほとんど同じ意味で使われることわざに「縁の切れ目は子で繋ぐ」(えんのきれめはこでつなぐ)があります。夫婦仲が冷え込む事例は数えきれないほどたくさんありますが、「夫婦の関係性が危機に陥り、別れそうな状態になっても子供の存在が夫婦の縁をつなぎとめてくれる」という意味です。同じ意味ではありますが、「子は鎹」の方がより多く使われているかもしれませんね。

\次のページで「「子は鎹」の対義語は?」を解説!/

「子は鎹」の対義語は?

それでは次に「子は鎹」の反対語を見ていきましょう。

「ダブルインカム・ノーキッズ」

日本も封建制度の時代から伝統的に「家の継続」を重視し、「子は鎹」であるとともに「子に過ぎたる宝なし」や「産めよ、増やせよ」など、子どもをもうけて育てることは、一人前になった証(あかし)でもあり、社会を豊かにしてゆく好ましい行為でした。

しかし、個人の考え方が尊重され、多様性が受け入れられる現代になるといろいろなライフスタイルが創出されるようになりました。そのひとつが「ダブルインカム・ノーキッズ」(Double Income No Kids)、略して「DINK’s」(ディンクス)と呼ばれる生き方です。「ダブルインカム・ノーキッズ」とは、「意識的に子供を作らず、夫婦共働きで、夫婦二人っきりで幸せな生活をおくりたいと考えるパートナー」のことを言います。「ダブルインカムで、一世帯で二人分の収入を得ることが可能となり、ノーキッズで子供を持たないために養育費のかからない生活」を実現しようとするのです。この生き方で子育てに縛られず自由に時間やお金を使えるようになりました。

「子は鎹」は、「子供の存在のおかげで添い遂げる考え」であるのに対して、ダブルインカム・ノーキッズ」は、「あなたと私」、「あんたとうち」の愛情関係を中心に人生を楽しく生きていくことを目的とする生き方なのです。

「子は鎹」の英訳は?

image by iStockphoto

次に「子は鎹」を英語にするとどうなるのかを見ていきましょう。

「children are a bond between husband and wife」

みなさん、「きずな」という単語を英語で表現する場合にどんな言葉を選びますか?

インターネット世代のみなさんであれば最初に「link」(líŋk)、リンクという単語が浮かぶかもしれませんね。あるいは、高校生の方であれば、「tie」(tάɪ)、タイという単語をテキストなどでよく見かけるかもしれません。「ネクタイ」や「タイアップ」など、もう日本語になっているものもあります。「link」や「tie」も「きずな」の他、「連結」や「結合」を表しますが、今回ご紹介する「きずな」を表す表現は、「bond」(bάnd)です。「bond」は、DIYや家具を修理する人にはお馴染みの商品「ボンド」も「接着する」、「接合する」という「bond」の意味からきているのですね。

「bond」が頻繁に使われるケースとして、今回のように「きずな」、「結束」、「ちぎり」などを表現したい場合があるのとともに、海外と商談する場合の契約書関係にも必ずと言っていいほど、登場する言葉にもなります。契約書「bond」がでてくる場合、縛り(しばり)や拘束(こうそく)を基にした「契約」、「約定」、「証書」「証文」などの意味で使われるのです。

「子は鎹」をわかりやすい日本語に直すと「子どもは、夫と妻の間を結び付ける絆だ」となり、英語では、「children are a bond between husband and wife」となります。

「子は鎹」を使いこなそう

この記事では、「子は鎹」の意味や使い方などを見てきましたが、「鎹」(かすがい)とは材木と材木をつなぐ大釘のことで、現在では、「子は鎹」は「子供の存在が夫婦が離婚することなく縁をつなぐ役割を果たす」という意味で使われていますね。

「恋の渦中」(こいのかちゅう)にあるカップルにとっては目の前にいる人が人生の中で出会うことができた最高のパートナーに見えるかもしれませんが、恋の炎も時間と共に小さくなり、落ち着いてくると相手の性格や生活意識の欠けている部分が冷静に見られるようになるものです。恋愛対象というよりも毎日の生活の同居者としての側面が強くなっていきます。単調な生活の中で「自分は何のために生きているのだ?」という疑問とともに「別れようかな?」と思うようになるかもしれません。しかし、子どもの姿を見ているとそんな思いも吹き飛ばしてくれるときがあるのではないでしょうか?「子は鎹」。誰しもが一度はしみじみと考えてみることのある言葉ですね。

" /> 【慣用句】「子は鎹」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「子は鎹」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「子は鎹」について解説する。

端的に言えば子は鎹の意味は「子どもの存在が夫婦の縁をつなぎとめてくれる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「子は鎹」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「子は鎹」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「子は鎹」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「子は鎹」(こはかすがい)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「子は鎹」の意味は?

「子は鎹」には、次のような意味があります。

【子は鎹】
1.子供への愛情から夫婦の仲がなごやかになり、縁がつなぎ保たれることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「子は鎹」

【鎹】
1.材木と材木とをつなぎとめるために打ち込む両端の曲がった大釘。
2.人と人とをつなぎとめるもの。
3.戸締まりの掛けがね。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鎹」

「両端が直角に曲げられコの字の形状で,先端が爪(つめ)状にとがっている大釘(おおくぎ)」である鎹(かすがい)は、主として木材や合板、ボード類を「接合」、「固定」、「連結」するための固定具として使われますが、石をつなぐ場合に使われることもあります。大釘(おおくぎ)の形状は丸型が一般的ですが、角形や平型のものもありますね。鎹の先端は両方とも同じ方向に曲げられているものが一般的ですが、一端だけが曲げられているもの、両端が別の方向に曲げられている鎹もあります。

いずれにしても木材などをつなぎ合わせる目的で使われてきました。そのつなぎ合わせる用途の意味から発展し、子供の存在があるからこそ、夫婦間の関係をつなぎとめることができるというさまを「子は鎹」と言われるようになりました。

「子は鎹」の語源は?

次に「子は鎹」の語源を確認しておきましょう。

いつから、日本で「鎹」が使用されるようになったかは、特定できないものの飛鳥時代には、日本で製造された「和釘」(わくぎ)が建築物に使われるようになりました。600年代の初めに建設されたと言われる法隆寺(ほうりゅうじ)の金堂(こんどう)には、「和釘」が使われていたことが確認されていて、鎹(かすがい)も同じころに日本で製造できるようにもなっていたと考えられています。「鎹」は「和釘」の仲間であり、同じような方法で製造されたと考えられているのです。「子は鎹」という言葉が使われるようになったのは、釘や鎹が製造された600年代以降のどこかであり、それ以前に存在した言葉ではないと考えられるでしょう。

\次のページで「「子は鎹」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: