その1:星と星間ガス
User:Rursus – R. J. Hall, CC 表示 2.5, リンクによる
宇宙の大構造の基本単位である銀河は星(恒星)の集団であり、銀河の形状や内部での星の運動は誕生時の質量や角運動量などによって決まります。銀河の進化は、その基本構成要素である星の進化と星と星間ガスの相互作用によるのです。
星は天然の核融合炉であり、核融合で発生するエネルギーで輝いているので、星の内部には核融合で合成された重元素が蓄積されています。それが進化の末期に、赤色巨星から星風として流れたり、超新星の爆発で吹き飛ばされたりして星間空間に放出されるのです。銀河の中では、物質は、星間ガスの重元素量を増大させながら、星と星間空間の間を循環しています。上記の画像は、赤色巨星断面のイメージ図です。
その2:星の種族
NASA/SDO (AIA) – http://sdo.gsfc.nasa.gov/assets/img/browse/2010/08/19/20100819_003221_4096_0304.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる
銀河形成直後に生まれる星は種族3の星と呼ばれます。重元素がないため太陽質量程度の通常の星は作られず、種族3の星の質量は太陽質量の数十倍程度ではないかと推定されているようです。我々の銀河系には金属量が太陽の金属量と比較してきわめて少ない星が、小さい年老いた星のあつまりである球状星団などに存在しており、これらは種族2の星です。種族2の星の金属量は太陽系の一桁程度少ないものから10万分の1以下のものまで見つかっています。太陽程度の金属量をもった星は種族1の星です。上記の画像は、太陽の画像になります。
その3:渦巻銀河
The Hubble Heritage Team (AURA/STScI/NASA) NASA Headquarters – Greatest Images of NASA (NASA-HQ-GRIN) – http://nix.larc.nasa.gov/info;jsessionid=1sl2so6lc9mab?id=GPN-2000-000933&orgid=12 http://imgsrc.hubblesite.org/hu/db/images/hs-1999-25-a-full_tif.tif, パブリック・ドメイン, リンクによる
渦巻銀河を構成する星はその中心の回りを回っています。星は円盤状に分布しているだけでなく、円盤上部から観測すると、名前のとおり渦を巻いているのです。渦巻の腕には生まれて間もない明るい大質量星がありますが、これは銀河の回転によって渦巻状の星間ガスのパターンが形成され、星形成率が高くなったためであると考えられています。重力不安定性によるパターン形成の理論によれば、この渦巻構造が安定に存在するためには、円盤を取り囲むハロー領域に、銀河円盤より大きな質量の物質が充満していなければなりません。この見えない質量のことを暗黒物質もしくは、ダークマターといいます。上記の画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影した渦巻銀河の画像です。
その4:ハローの証拠
銀河の中心の周りをケプラー運動している星や星間ガスの回転速度は、その軌道半径とそれより内側にある質量で決まります。ある半径を境にしてそれより外側には質量がない、すなわち外側では半径が増えてもその内側にある質量は一定ならば、回転速度は半径のマイナス二分の一乗で減少するはずです。しかし、実際に渦巻銀河の回転を測定してみると、外側でもほとんど減少しません。これは外側に向かってその半径内に含まれる質量がどんどん増大していることを示しています。このことより求められる渦巻銀河の質量は、光っている星の総量として推測される質量の10倍以上にもなるのです。これがハローが存在する証拠と考えられています。
銀河系
我々のいる銀河を銀河系といいます。この銀河系は典型的な渦巻銀河のようです。我々の住む銀河系について見てましょう。ちなみに、我々の銀河はいずれお隣のアンドロメダ銀河と衝突するようです。このような銀河同士の衝突合体は宇宙で頻繁に起こってることが確認されています。
\次のページで「その1:銀河系」を解説!/