
染色体に異常が起こるとどうなる?

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1960年以降、染色体の解析技術が高くなったことで、染色体の分染法によりヒトの全染色体の識別ができるようになりました。さらに、染色体の構造に異常があった時は染色体に見えるバンドの位置でわかるようになったのです。
さて、もし染色体に異常があった場合は染色体とそれを持つヒトにどのような変化が表れるのでしょうか?例えば、染色体は減数分裂をする際にエラーが起こってしまい2本1対のはずが3本で1セットとなってしまったとします。ヒトの場合このように染色体の数が増えて異常を起こしてしまうとそれ以上育つことができなくなり、お母さんのお腹にいる間に亡くなってしまうのです。
先天性異常症とは
染色体に異常が起こっても、それが少しだけだった場合生存可能な場合もあります。その時、タンパク質を作る際に必要となるエクソンの部分に異常が起きてしまうと、本来作られないといけないタンパク質が作られません。生き物の体はタンパク質でできているため、少しでも必要なタンパク質が欠損してしまうだけで体調を崩してしまいます。
このように、染色体に異常があるために生まれてくる前の段階ですでに病気にかかっていることを先天性異常症と呼ぶのです。
染色体に異常があった時どうしたらいいのか?
染色体に異常があった場合、体に様々な変化が表れます。例えば、熱性けいれんを起こしたときに低血糖症になったり、ちょっとしたきっかけで嘔吐が止まらなくなったりです。ほとんどが小児期に表れるため、まずはお近くの病院の小児科にかかることが多いと思います。その後、主治医から専門医へ案内されると思うのでそれに従いましょう。
染色体の異常による病気なので、残念ながら治すことはとても困難です。しかし、ほとんどの病気は投薬だけで普通の人と変わらない生活を送れるため、早めの診断が重要なんですよ。
生物にとって染色体はとても大事!
染色体はDNAが保管されているとても大事な器官です。染色体には相同染色体といって、対立遺伝子が同じ場所に配列し大きさと形の等しいものが2本あります。2本ある理由は片方が父親由来、もう片方が母親由来のためです。このようにして両親から遺伝情報を受け継ぐため、生物多様性に貢献しているのですね。
染色体に異常が起こると私達の体にも生命に関わるような異常が起こります。しかし、染色体に異常が生じている場合はほとんどが遺伝によるもののため、家族にそのような症状の人がいなければだいたい大丈夫です。遺伝によって生物多様性が生まれると言っても、染色体に起きた異常も受け継がれてしまうため考えものですね。
皆さんは父親似や母親似の部分があると思いますが、これは減数分裂の際に染色体で乗り換えが起こっているからでした。自分のどこが父親や母親に似ているのかを見つけてみて、染色体の乗り換えがいかに複雑に起こっているのかを感じてみましょう!