今回は「フレネルレンズ」について解説していきます。

フレネルレンズは、光を効率よく集めることを可能にしたレンズです。特殊な形状をしたレンズなので、製造コストは高いが、様々な分野で重宝されている。この記事では、フレネルレンズと従来のレンズがどのように異なるのか、フレネルレンズがどのような分野で活躍したいるのかということを徹底解説します。ぜひ、この機会にフレネルレンズについての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

レンズとは?

image by iStockphoto

フレネルレンズについて学ぶ前に、レンズについての基本的な知識を頭に入れておきましょう。ここでは、レンズの役割と使用例について解説します。これらは、光学を学習するときに、必ず目にするような重要な内容です。もちろん、フレネルレンズについての理解を深める上でも、必要となる内容ですよ。

今回は、言葉や図を中心とした直感的でわかりやすい解説をすることを心掛けました。数式は、ほとんど登場しないので、気軽に読み進めることができると思いますよ。それでは早速、レンズの役割と使用例について学んでいきましょう。

レンズの役割

レンズの主な役割は、光の進行方向を変えることにあります。レンズは、凸レンズ凹レンズの2種類に大別することができますよ。凸レンズは光を集めることができ凹レンズは光を拡散することができます。これらのレンズは、用途によって、使い分けられますよ。

加えて、凸レンズと凹レンズの形状についても簡単に学んでおきましょう。両者とも連続的な球面を持っていますが、球面が反り方が異なります。凸レンズは球面が外側に膨らんでいますが凹レンズは球面が内側にくぼんでいますよ

レンズの使用例

続いて、レンズがどのようなところで活用されているのかということを学んでいきましょう。レンズは光の進む向きを変えることができます。そのため、レンズを通して物体や景色を見ると、それらを実際よりも大きく見ることができますよ。このような事情で、拡大鏡顕微鏡望遠鏡といったものは、レンズが使用されています。

また、映像データや音楽データを記録することができるCDやDVDといったメディアディスクは、光を利用してデータの読出しや記録を行いますよ。それゆえ、CDやDVDのプレイヤーには、レンズが使用されています。他に、カメラなどにも、レンズは使用されていますよね。

\次のページで「フレネルレンズについて詳しく学ぼう!」を解説!/

フレネルレンズについて詳しく学ぼう!

それでは、本題であるフレネルレンズについての説明をします。ここでは、フレネルレンズの特徴と形状に焦点を当てて解説していきますね

先ほど説明した従来のレンズ(標準的な凸レンズや凹レンズ)とフレネルレンズは何が異なるのかという点に注目して、記事を読み進めてみてください。フレネルレンズと従来のレンズを比較することで、フレネルレンズについて、さらに深く理解できることでしょう

フレネルレンズの特徴

フレネルレンズの特徴

image by Study-Z編集部

フレネルレンズは、凸レンズから派生したレンズの1つです。ですから、フレネルレンズには集光作用があります。フレネルレンズは、従来の凸レンズよりも効率的に光が集められるようになっていますよ。また、フレネルレンズから派生したレンズに、リニアフレネルレンズがあります。リニアフレネルレンズは、光を一直線上に集光しますよ。同じ材料を使用した凸レンズで、より多くの光を集めようとすると、レンズの径を大きくする必要があります。そして、レンズの径を大きくすると、球面部分が大きくなりますよね。つまり、従来の凸レンズでは、多くの光を集めようとすると、レンズが分厚くなってしまうという欠点があるのですね

この欠点を解消したのが、フレネルレンズです。フレネルレンズは、従来の凸レンズよりも厚みを小さくし、小型軽量化に成功しました。そのため、フレネルレンズは、レンズの体積あたりの集光能力が従来の凸レンズよりも向上したのです

フレネルレンズの形状

Fresnel lens-1.svg
ja:User:きたし - Deutsch: eigene Zeichnung English: own drawing Japanese: 自作 Polski: rysunek własny, パブリック・ドメイン, リンクによる

次に、フレネルレンズの形状について説明していきますねフレネルレンズの断面は、ノコギリのような形になっています。この形は、従来の凸レンズを同心円状の複数の領域に分けて、曲面になっていない部分を省略したものです。実は、従来の凸レンズの曲面以外の部分では、光の向きはほとんど変わりません。ゆえに、曲面以外の部分を省略し、厚みを小さくした場合であっても集光が可能なのです。

ただし、従来の凸レンズよりも形状が複雑なため、製造時の金型製作技術や切削技術が高度であるといった問題もあります。そのため、フレネルレンズの価格は高くなっていますよ。また、レンズがノコギリ状になっているため、従来の凸レンズよりも回折現象による影響が大きく、結像の際にひずみが生じるといった問題もあります

\次のページで「フレネルレンズが使用されているもの」を解説!/

フレネルレンズが使用されているもの

ここでは、フレネルレンズが用いられている身近な製品・商品についての解説を行います。フレネルレンズが、どのような場面で役に立っているのかということを確認することで、フレネルレンズそのものに対する理解を深めることもできるでしょう。

以下では、特定の機器になぜフレネルレンズが使用されているのかという視点で、考察をします。フレネルレンズがもっている特徴を思い出しながら、記事を読み進めてみてください

特殊な照明機器

image by iStockphoto

フレネルレンズが使用されている製品の一つに、灯台をはじめとする特殊な照明器具が挙げられます灯台は、海上を航行する船舶の道しるべになるものですよね。それゆえ、灯台は遠くからであっても視認できるような強い光を発する必要があります。また、灯台からの光が空の方向に拡散されるということがあってはなりません。船は海上に存在するのですから、灯台からの光を水平方向に集光する必要があります

灯台に用いられるフレネルレンズは、強い光を水平方向に集光するという役割を担っているのです。このフレネルレンズは、ガラスを母材とする円筒物体の側面をノコギリ状に加工したものですよ。このような形状にすることで、水平方向の360°全方位に強い光が集められるのですね。実は、フレネルレンズが開発された当初の理由は、灯台の光を効率的に集めることができる方法を確立するためでした

特殊な光学機器

ZEISS VisuCard.JPG
nmaeda, パブリック・ドメイン, リンクによる

カメラなどの特殊な光学機器にも、フレネルレンズが使用されていますフレネルレンズを用いることで、カメラの小型軽量化が可能になりました。カメラの小型軽量化とは、同じサイズのカメラであっても、撮影できる写真の画質や拡大比率が向上することを意味します。ただし、フレネルレンズの表面はノコギリ状になっているため、つくられた像は歪みますよね。カメラで撮影した写真が歪んでしまうようなことがあれば、それは欠陥製品だといえます。そのため、実際のカメラにフレネルレンズを使用する場合は、プリズム効果や回折効果を利用して歪をできるだけ小さくするような工夫がなされていますよ

また、上記の写真のような薄型拡大鏡などにも、フレネルレンズが使用されています。シート状のプラスチック表面の一部をノコギリのような形状に変更することで、ルーペの薄型化が可能になるのですね。このような技術を使用することで、フレキシブルルーペもつくることもできます。

\次のページで「フレンルレンズについての理解を深めよう!」を解説!/

フレンルレンズについての理解を深めよう!

この記事では、フレネルレンズの特徴や仕組みを述べた後に、フレネルレンズが採用されている特殊な機器の例を紹介しました。理論だけでなく、具体例も併せて学ぶことで、フレネルレンズについての理解が深まったことと思います。

フレネルレンズは、カメラといった身近な機器にも使用されていますよ。ですから、フレネルレンズの仕組みを雑学として知っておくこともよいと思います。ぜひ、この記事を読んで、フレネルレンズに対する理解を深めてみてくださいね。

" /> 3分で簡単フレネルレンズ!従来のレンズとは何が違うの?理系学生ライターがわかりやすく解説 – Study-Z
物理理科電磁気学・光学・天文学

3分で簡単フレネルレンズ!従来のレンズとは何が違うの?理系学生ライターがわかりやすく解説

今回は「フレネルレンズ」について解説していきます。

フレネルレンズは、光を効率よく集めることを可能にしたレンズです。特殊な形状をしたレンズなので、製造コストは高いが、様々な分野で重宝されている。この記事では、フレネルレンズと従来のレンズがどのように異なるのか、フレネルレンズがどのような分野で活躍したいるのかということを徹底解説します。ぜひ、この機会にフレネルレンズについての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

レンズとは?

image by iStockphoto

フレネルレンズについて学ぶ前に、レンズについての基本的な知識を頭に入れておきましょう。ここでは、レンズの役割と使用例について解説します。これらは、光学を学習するときに、必ず目にするような重要な内容です。もちろん、フレネルレンズについての理解を深める上でも、必要となる内容ですよ。

今回は、言葉や図を中心とした直感的でわかりやすい解説をすることを心掛けました。数式は、ほとんど登場しないので、気軽に読み進めることができると思いますよ。それでは早速、レンズの役割と使用例について学んでいきましょう。

レンズの役割

レンズの主な役割は、光の進行方向を変えることにあります。レンズは、凸レンズ凹レンズの2種類に大別することができますよ。凸レンズは光を集めることができ凹レンズは光を拡散することができます。これらのレンズは、用途によって、使い分けられますよ。

加えて、凸レンズと凹レンズの形状についても簡単に学んでおきましょう。両者とも連続的な球面を持っていますが、球面が反り方が異なります。凸レンズは球面が外側に膨らんでいますが凹レンズは球面が内側にくぼんでいますよ

レンズの使用例

続いて、レンズがどのようなところで活用されているのかということを学んでいきましょう。レンズは光の進む向きを変えることができます。そのため、レンズを通して物体や景色を見ると、それらを実際よりも大きく見ることができますよ。このような事情で、拡大鏡顕微鏡望遠鏡といったものは、レンズが使用されています。

また、映像データや音楽データを記録することができるCDやDVDといったメディアディスクは、光を利用してデータの読出しや記録を行いますよ。それゆえ、CDやDVDのプレイヤーには、レンズが使用されています。他に、カメラなどにも、レンズは使用されていますよね。

\次のページで「フレネルレンズについて詳しく学ぼう!」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: