水が入ったコップの中にインクを垂らすと、インクの色が拡散されてコップ全体が均一な色になる。これを不思議に思ったことはないでしょうか。実は、コロイド粒子であるインクの色素がブラウン運動によって拡散されるために起こった現象なんです。何を言ってるか分からない人も多いでしょう。 コロイド粒子というのは私たちの身近なところで活躍している。
今回の記事は「コロイド粒子」の詳細について国立大学院で修士号(農学)を取得しているライターふくろう博士と一緒に解説していきます。

ライター/ふくろう博士

国立理系大学院で修士(農学)を取得し、現在は民間企業の研究職に従事している典型的な理系人間。「理系好きな学生を一人でも多く増やす」をキーワードにインターネットの世界で活躍中!自身のサイトでは大学生に役立つ情報を日々提供している。

コロイド粒子って何?

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コロイド粒子ってどんなものでしょうか。あまり馴染みのない単語だと思うので、最初にそこから説明していきたいと思います。コロイド粒子の定義は、『ある物質が他の物質に混じる時、均一となって分散する粒子』のことです。水に溶ける粒子の場合、大きさはおよそ1ナノメートルから1マイクロメートル程度とされています。定義を聞いてもあまりピンとこない人も多いと思うので、具体例を挙げて次の章で説明しましょう。

身近なコロイドの例

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コロイドの例として、水の中に粒子が均一に分布している物をあげていきます。一つ目は学校給食のお供でもある牛乳です。牛乳の中には豊富なタンパク質がたくさん含まれており、それが白く見えています。牛乳を数日間放置しても、そこの方に白い成分が沈殿するようなことはありません。

飲み物以外だと、書道に使う墨汁なども当てはまりますね。 これも黒い成分が下に沈殿することなく、何時でも溶液全体が真っ黒です。一方で、味噌汁はコロイド粒子でしょうか?お椀に移した味噌汁を少し放置すると、味噌の成分が下に沈殿しているのが観察できます。つまり、味噌汁はコロイド粒子ではありません。このように、コロイド粒子か否かは『水に溶かした後沈殿するかどうか』で判別が可能です。

コロイド粒子が起こす『チンダル現象』

Forest-sun 01.JPG
日:Muramasa - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

上の例では水に溶けるものについてコロイド粒子か否か判断しましたが、何も水に溶けるものだけがコロイド粒子というわけではありません。実は、空気中に漂う水粒子などもコロイド粒子と判断できます。代表的な例として、雨上がりの後に雲の間から差し込む光が目に見えるあの現象です。このように、光の通路が明るく輝いて見える現象のことをチンダル現象と呼びます。 

チンダル現象はどうして起こる?

一体どうしてこのような現象が起こるのでしょうか。ヒントはコロイド粒子が光に与える影響です。光がコロイド粒子のあるところを通過するとき、コロイド粒子にぶつからない光の筋はまっすぐ進みます。一方で、コロイド粒子とぶつかった光の筋は光の屈折によって本来行くべき通路と異なる場所に進むのです。その結果、本来届かないはずだった光の筋が観測者である人の目に入ってくるためこのような現象が起きます。

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物理化学の難問だった『ブラウン運動』

コロイド粒子に関するもう一つの重要な概念としてブラウン運動があります。このブラウンというのは人名であり、イギリスの植物学者ロバート・ブラウンのことです。 彼は当時発明されたばかりの顕微鏡を用いて花粉を観察していました。観察のために水の上に置いた花粉は、何故か不規則に揺れ動いていたのです。初めは花粉が自ら動いているとされましたが、この現象は生き物ではない小さな埃くずでも確認されました。そのため、発見当時この現象は大きな謎でした。皆さんはなぜ埃くずが動くか理解できますか?次の章ではその理由について解説します。

ブラウン運動の原因は「水」にあった!

ブラウン運動の原因は「水」にあった!

image by Study-Z編集部

長い間謎とされてきたブラウン運動。解明のヒントはやはり花粉を顕微鏡観察するために使った水にありました。水は私たちの目には見えないのですが、非常に小さな水分子と呼ばれるものの集合体です。これらの水分子は一箇所に留まっているわけではなく、液体状態の水の間を自由に行き来しています。 この水分子が自由に行き来する運動のことを『熱運動』と呼び、 熱運動している水分子が花粉にぶつかることで不規則に動いているというのが答えです。

ちょうど上のイラストのような感じですね。水分子はたくさん存在しているため、花粉は常にたくさんの水分子とぶつかっています。その瞬間ごとに水分子とぶつかっているため、私たちからすると不規則な形で動いてるように見えるのです。この『熱運動』という概念は大学科学で習う内容なので、興味のある人は是非理系大学への進学をお勧めします。

コロイド粒子の重要事項「凝析」

コロイド粒子が持つ特徴に「粒子には電荷を持つ」という点があげられます。同じ符号の電荷同士が集まっているため、静電的に反発し分散してるんですね。粒子同士が分散することでコロイド粒子は沈殿を免れているのです。しかし、時としてコロイド粒子は沈殿する場合があります。この現象を凝析と呼び、コロイドを語る上で重要な概念です。この章では、凝析が起こる原因について解説しましょう。

凝析するためには「塩分濃度」が大事!

凝析を知る例の一つに三角州があります。川の河口に土砂が堆積する現象ですね。 川の水の濁りは多くが土壌コロイドと呼ばれるコロイドであり、負に帯電しています。土壌コロイドは負に帯電しているため、川の中では分散状態です。しかし、土壌コロイドが海水に流れ込むと事情が変わってきます。 海水中の塩分は土壌コロイド同士の反発力を弱める働きをもつため、土壌コロイド同士がくっつきやすくなるのです。その結果、土壌コロイドの凝析及び沈殿によって土壌が堆積し、三角州が形成されます。

\次のページで「コロイドってすごい」を解説!/

コロイドってすごい

今回はコロイドについて詳しく解説しました。コロイドは牛乳や墨汁など身の回りにも存在していて、静置した時に沈殿するかどうかが判断基準になります。ここまで見てきたコロイドの特徴をおさらいすると、光の通り道が光って見えるチンダル現象、粒子が熱運動する水分子とぶつかることで揺れ動くブラウン運動、粒子のもつ電荷によって引き起こされる凝析など科学を学ぶ上での超重要事項が目白押しでしたね。また、ブラウン運動が発見された経緯も大変興味深いですね。科学はかつての偉人たちの研究努力の果てしない積み重ねの上に成り立っています。科学を学ぶ際は、いったいこの現象をどうやって発見できたのだろうと疑問を持つと楽しく学びを深めることができると思うのでおすすめです。

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化学理科生活と物質

5分で分かる「コロイド粒子」チンダル現象やブラウン運動についても理系院卒ライターがわかりやすく解説!

物理化学の難問だった『ブラウン運動』

コロイド粒子に関するもう一つの重要な概念としてブラウン運動があります。このブラウンというのは人名であり、イギリスの植物学者ロバート・ブラウンのことです。 彼は当時発明されたばかりの顕微鏡を用いて花粉を観察していました。観察のために水の上に置いた花粉は、何故か不規則に揺れ動いていたのです。初めは花粉が自ら動いているとされましたが、この現象は生き物ではない小さな埃くずでも確認されました。そのため、発見当時この現象は大きな謎でした。皆さんはなぜ埃くずが動くか理解できますか?次の章ではその理由について解説します。

ブラウン運動の原因は「水」にあった!

ブラウン運動の原因は「水」にあった!

image by Study-Z編集部

長い間謎とされてきたブラウン運動。解明のヒントはやはり花粉を顕微鏡観察するために使った水にありました。水は私たちの目には見えないのですが、非常に小さな水分子と呼ばれるものの集合体です。これらの水分子は一箇所に留まっているわけではなく、液体状態の水の間を自由に行き来しています。 この水分子が自由に行き来する運動のことを『熱運動』と呼び、 熱運動している水分子が花粉にぶつかることで不規則に動いているというのが答えです。

ちょうど上のイラストのような感じですね。水分子はたくさん存在しているため、花粉は常にたくさんの水分子とぶつかっています。その瞬間ごとに水分子とぶつかっているため、私たちからすると不規則な形で動いてるように見えるのです。この『熱運動』という概念は大学科学で習う内容なので、興味のある人は是非理系大学への進学をお勧めします。

コロイド粒子の重要事項「凝析」

コロイド粒子が持つ特徴に「粒子には電荷を持つ」という点があげられます。同じ符号の電荷同士が集まっているため、静電的に反発し分散してるんですね。粒子同士が分散することでコロイド粒子は沈殿を免れているのです。しかし、時としてコロイド粒子は沈殿する場合があります。この現象を凝析と呼び、コロイドを語る上で重要な概念です。この章では、凝析が起こる原因について解説しましょう。

凝析するためには「塩分濃度」が大事!

凝析を知る例の一つに三角州があります。川の河口に土砂が堆積する現象ですね。 川の水の濁りは多くが土壌コロイドと呼ばれるコロイドであり、負に帯電しています。土壌コロイドは負に帯電しているため、川の中では分散状態です。しかし、土壌コロイドが海水に流れ込むと事情が変わってきます。 海水中の塩分は土壌コロイド同士の反発力を弱める働きをもつため、土壌コロイド同士がくっつきやすくなるのです。その結果、土壌コロイドの凝析及び沈殿によって土壌が堆積し、三角州が形成されます。

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