物理化学の難問だった『ブラウン運動』
コロイド粒子に関するもう一つの重要な概念としてブラウン運動があります。このブラウンというのは人名であり、イギリスの植物学者ロバート・ブラウンのことです。 彼は当時発明されたばかりの顕微鏡を用いて花粉を観察していました。観察のために水の上に置いた花粉は、何故か不規則に揺れ動いていたのです。初めは花粉が自ら動いているとされましたが、この現象は生き物ではない小さな埃くずでも確認されました。そのため、発見当時この現象は大きな謎でした。皆さんはなぜ埃くずが動くか理解できますか?次の章ではその理由について解説します。
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ブラウン運動の原因は「水」にあった!
image by Study-Z編集部
長い間謎とされてきたブラウン運動。解明のヒントはやはり花粉を顕微鏡観察するために使った水にありました。水は私たちの目には見えないのですが、非常に小さな水分子と呼ばれるものの集合体です。これらの水分子は一箇所に留まっているわけではなく、液体状態の水の間を自由に行き来しています。 この水分子が自由に行き来する運動のことを『熱運動』と呼び、 熱運動している水分子が花粉にぶつかることで不規則に動いているというのが答えです。
ちょうど上のイラストのような感じですね。水分子はたくさん存在しているため、花粉は常にたくさんの水分子とぶつかっています。その瞬間ごとに水分子とぶつかっているため、私たちからすると不規則な形で動いてるように見えるのです。この『熱運動』という概念は大学科学で習う内容なので、興味のある人は是非理系大学への進学をお勧めします。
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コロイド粒子の重要事項「凝析」
コロイド粒子が持つ特徴に「粒子には電荷を持つ」という点があげられます。同じ符号の電荷同士が集まっているため、静電的に反発し分散してるんですね。粒子同士が分散することでコロイド粒子は沈殿を免れているのです。しかし、時としてコロイド粒子は沈殿する場合があります。この現象を凝析と呼び、コロイドを語る上で重要な概念です。この章では、凝析が起こる原因について解説しましょう。
凝析するためには「塩分濃度」が大事!
凝析を知る例の一つに三角州があります。川の河口に土砂が堆積する現象ですね。 川の水の濁りは多くが土壌コロイドと呼ばれるコロイドであり、負に帯電しています。土壌コロイドは負に帯電しているため、川の中では分散状態です。しかし、土壌コロイドが海水に流れ込むと事情が変わってきます。 海水中の塩分は土壌コロイド同士の反発力を弱める働きをもつため、土壌コロイド同士がくっつきやすくなるのです。その結果、土壌コロイドの凝析及び沈殿によって土壌が堆積し、三角州が形成されます。
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