
3分で簡単界面活性!ミセルとは?界面活性剤の種類は何があるの?理系大学院卒ライターがわかりやすく解説
界面活性の原理
界面活性の原理は、界面活性剤が液体に入ると液中でミセルを形成し界面張力を下げるのです。では詳細に説明していきます。
界面活性剤の分子の構造
界面活性剤は水に溶けやすい親水基と油になじみやすい疎水基を有しています。概略図は下の図です。

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この分子の親水基は水分子と吸着しやすく疎水基は水に吸着するのを嫌う性質があります。この分子が水中に分散し、ミセルを形成することで界面張力が下がっていくのです。
ミセルとその形成の仕組み
ミセルとは多数の分子の集合体です。主に分子間力により集合します。
ミセルの形成は次のステップです。気体と液体の界面に分子の膜を形成します。これは分子の疎水基の成分が水から逃げるためです。そのため、液体から気体側に向けて疎水基が向いている状態になります。
次に、界面に逃げ切れなかった分子は疎水基同士で集まり集合体ミセルを形成するのです。この時の濃度は臨界ミセル濃度といい、界面は疎水基でおおわれています。そのため、親水基成分は水の内部を向き界面張力が減少するのです。
界面活性のメカニズムはわかったな。界面活性剤を液体に溶かすことで、表面は疎水基に覆われ水中ではミセルが形成される。これにより液体の界面における界面張力が下がるからなんだ。では、そもそも界面活性剤とはどのようなものだろうか。その種類や役割について説明してもらおう。
界面活性剤とは

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界面の性質を変える物質は界面活性剤と呼ばれます。代表的なのは、洗剤や石鹸(脂肪酸塩)、化粧品や医薬品及び食品などの成分としてです。では、この界面活性剤の原理はどのようなものかをみていきましょう。
界面活性剤は、その分子構造により水と油など本来混ざり合わないものを混ぜるのに役立ちます。その作用を発揮する理由は、1つの分子の中に水になじみやすい「親水基」と油になじみやすい「疎水基」を有しているからです。これらひとつひとつは小さいものですが、集まることで大きな効果を発揮します。一方、表面張力を少しでも上昇させるものを界面不活性物質です。例えば、塩化ナトリウムなどになります。
界面活性剤の種類
成分や配合など化学的な性質の違いにより、界面活性剤の種類は大きく4種類です。イオン性界面活性剤が3タイプ。非イオン性界面活性剤が1つです。イオン性界面活性剤は水に溶けた際に電離してイオンとなります。非イオン性の界面活性剤はイオンとなりません。イオン性の界面活性剤でもその種類によって、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤と分類わけされます。非イオン性の界面活性剤はノニオン界面活性剤です。
界面活性剤の役割
界面活性剤の役割は3つあり、「浸透作用」、「乳化作用」、「分散作用」です。
浸透作用は水の界面張力を下げて繊維に水がなじみやすくし、乳化作用は水と油を均一に混ざりやすくします。分散作用は粉末を水に混ざるように散らばす作用です。
界面活性剤はわかったな。液体の界面張力を変化させることで様々な作用を起こすことができるんだ。その作用は3種類ありそれぞれの役割が違うぞ。では、この作用はどのように生活に役立っているのかを具体例を交えながら見ていこう。
洗剤

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界面活性剤の代表格が洗剤です。衣服の選択や窓の洗浄など多くの場面で使用されます。
例えば、洗剤は水に作用することで水の界面張力を低下させ、浸透作用により衣服の繊維の隙間に水を入りやすくしているのです。また、皮脂などの油汚れも水に乳化させます。界面活性剤の疎水基が油を取り囲みコロイド化し汚れを水に溶け込ませているのです。そして、汚れが溶け込んだ水を捨て、すすぎ洗浄を繰り返し衣服を洗濯しています。
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