
「立つ瀬がない」の使い方・例文
「立つ瀬がない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.大臣は地域振興のために尽力していたようだが、その地域から反対意見が上がってしまったのでは大臣も立つ瀬がないだろう。
2.みんなで賞を取りたいと率先してリーダーを務めたが、人気取りのためだと言われてしまえば立つ瀬もない。
3.捨て身の覚悟で彼をかばったのに、彼自身が台無しにする発言をしてしまっては僕も立つ瀬がなくなってしまう。
「立つ瀬がない」とは立場がなくなってしまい、周囲に顔向けができなくなることです。そのため例文のように、不適切な行動や言動で面目がなくなってしまう状況で「立つ瀬がない」は用いられます。また例文1~2のような自らの行いだけでなく、例文3のように他者の行動により立場を失う場合でも使用可能です。
自分や他者の行動によって、立場や面目が保てなくなってしまい苦しい状況に陥ったとき、「立つ瀬がない」という言葉でその心境を表すことができます。
「浮かぶ瀬がない」
「浮かぶ瀬がない」とは、“不運続きで苦しい状況から抜け出せない”という意味の言葉。やりきれない感情を表現した慣用句です。ここでの「瀬」は場所や機会を指し、「浮かぶ瀬」は“苦しい状況を脱する機会”を意味しています。
「立つ瀬がない」と同様に「瀬」を使った表現であること、それが追い込まれて苦しい状況を抜け出せないでいる様子から、「立つ瀬がない」の類語表現として挙げられる言葉です。
ただし、苦しい状況に追い込まれた様子は似ていますが、「立つ瀬がない」のように“面目を失って”という意味は含まれていません。同じ「瀬」を使った言葉ですが、それぞれの言葉のニュアンスの違いは抑えておきましょう。
なお「浮かぶ瀬」を使った言葉には他にも、「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」や「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」といったことわざがあります。「立つ瀬」と「浮かぶ瀬」が混同しないよう、それぞれの「瀬」の意味にも注意してください。
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