この記事では「旗色が悪い」について解説する。

端的に言えば旗色が悪いの意味は「試合や物事の形勢がよくないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「旗色が悪い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「旗色が悪い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「旗色が悪い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「はたいろがわるい」です。意味から語源や使い方まで、詳しくチェックしていきますよ。

「旗色が悪い」の意味は?

「旗色が悪い」には、次のような意味があります。まずは、辞書の意味を確認したあと、詳しい意味や関連する情報もあわせて見ていきましょう。

1.戦いで、形勢がよくない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「旗色が悪い」

「旗色が悪い」の場面については、辞書の意味では「戦いで」となっていますが、戦いのほか、試合や競争、コンクール、プレゼンなど相手があって優劣が決まるようなもの全般が該当します。

「形勢が悪い」という意味なので、勝負はまだついていないものの、その時点では相手が有利な状況になっているということです。それが、序盤なのか終盤なのか、どの程度の差が開いているのかというところは「旗色が悪い」の意味の中には含まれていません。

「旗色が悪い」の語源は?

次に「旗色が悪い」の語源を確認しておきましょう。

「旗色が悪い」の由来は、戦場に掲げる軍旗のようすのことです。「旗」は軍旗のこと、「色」は赤や青の色合いのことではなく状況やようすのことなので、「旗色」で旗の状況を表します。

古くは、軍旗が風に揺られてはためくようすから戦況の成り行きを占っていたことがあり、「旗色が悪い」と言うと戦況が思わしくない状況であるということです。そこから、戦況や情勢がよくないときに、「旗色が悪い」ということばが使われるようになっています。

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「旗色が悪い」の使い方・例文

「旗色が悪い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大軍が押し寄せるなど旗色が悪くとも、あらゆる戦法を駆使し判断を間違わなければ勝つことができる。
2.プレゼンでは自分なりに商品のよさを伝えることができたが、過去の実績も重視するクライアントなので旗色が悪い。

例文は、いずれも戦況や情勢がよくないという意味合いで使われています。例文1.では、大軍に攻め込まれるような不利な合戦に勝つためには、策を巡らせることも必要ですが、無理だと考えず気持ちをしっかり持って冷静に対処することも大切なことです。

例文の2.のほうは、プレゼンそのものはよくできた感触があるものの、判断するのはあくまで他人なので、もし最近の実績などを優先して評価されるならばクライアントに選択される可能性は低いということを表しています。

「旗色が悪い」の類義語は?違いは?

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それでは、「旗色が悪い」の類義語についての説明です。よく似た意味の表現がいくつかあるので、一緒に見ていきましょう。

「分が悪い」

「旗色が悪い」の類義語には、「分が悪い(ぶがわるい)」があります。意味は、形勢が悪いことや不利であるということです。「分」は物ごとの度合いや割合のことで、自分のほうに傾いている度合いのことを表しています。

そういったことから、「わりが悪い」「損である」「不利である」という意味につながっていますよ。相手が明確であってもそうでなくても、どちらの場合でもよく使われる表現です。

\次のページで「「敗色が濃い」」を解説!/

「敗色が濃い」

もう一つの類義語には、「敗色が濃い(はいしょくがこい)」があります。負けそうな雰囲気が強くなっているという意味です。「敗色」とは負けそうな様相や気配のこと、「濃い」は強まっているということを表しています。

ここでも「色」を「状況」や「ようす」という意味で使っており、さらに「濃い」と対応していますが、意味としては「強まっている」ということです。

「旗色が悪い」の対義語は?

次に、「旗色が悪い」の対義語についての説明です。形勢が不利な状況の反対の意味ですから、形勢が有利な状況を表す表現について、詳しく見ていきましょう。

「押し気味」

「旗色が悪い」の対義語には、「押し気味(おしぎみ)」があります。相手を圧倒しつつあるという意味です。ここでの「押し」は相手を威力で押さえつけるなど優勢に立っているということ、「気味」はそうなりつつあるということを表しています。

「押し気味」は、「形勢が有利であること」を表しますが、相手に向かって押していることから、相手が明確な場合によく使われる表現です。

「主導権を握る」

もう一つの対義語には、「主導権を握る(しゅどうけんをにぎる)」があります。基本の意味は、中心となって物事を行う立場となったということです。

試合などでは、リードしたほうに対して「主導権を握りました」いうことがあります。この場合、リードするということは、リードするに至った攻撃や要因に対し、相手は対策するなど合わせていかなければなりません。そのため、優勢に立ったチームは、相手を受け身に立たせたということで「主導権を握る」という言い方ができますね

「旗色が悪い」の英訳は?

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最後に「旗色が悪い」の英訳についての説明です。言語に違いますが、近い意味を表現できるような英単語を使ったフレーズを見ていきましょう。

「The odds are against us」

「旗色が悪い」の英訳には、「The odds are against us」があります。意味は「私たちには形勢が不利である」ということです。「odds」を「勝ち目、勝算」という意味合いで使っています。

その他、「be at a disadvantage」とすると、同じく「不利な状況にある」という意味を表すことができますよ。「有利」という名詞「advantage」の対義語が「disadvantage」です。

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「旗色が悪い」を使いこなそう

今回の記事では「旗色が悪い」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「旗色が悪い」の基本の意味は、戦いにおいて形勢がよくないということです。この慣用句については、ポイントが二点ありました。

一つは、「色」を「状況」や「ようす」という意味でとらえることです。色というと赤や青の色合いのことを思い浮かべがちですが、旗が色あせてきたりしたのではないということを知っておくといいですね。

もう一つは、敗北寸前ではないということです。状況はよくないながら、手の施しようがないと言っているわけではありません。今後の状況しだいで、まだ勝負の行方はわからない段階ということを表しています。

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国語言葉の意味

【慣用句】「旗色が悪い」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「旗色が悪い」について解説する。

端的に言えば旗色が悪いの意味は「試合や物事の形勢がよくないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「旗色が悪い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「旗色が悪い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「旗色が悪い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「はたいろがわるい」です。意味から語源や使い方まで、詳しくチェックしていきますよ。

「旗色が悪い」の意味は?

「旗色が悪い」には、次のような意味があります。まずは、辞書の意味を確認したあと、詳しい意味や関連する情報もあわせて見ていきましょう。

1.戦いで、形勢がよくない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「旗色が悪い」

「旗色が悪い」の場面については、辞書の意味では「戦いで」となっていますが、戦いのほか、試合や競争、コンクール、プレゼンなど相手があって優劣が決まるようなもの全般が該当します。

「形勢が悪い」という意味なので、勝負はまだついていないものの、その時点では相手が有利な状況になっているということです。それが、序盤なのか終盤なのか、どの程度の差が開いているのかというところは「旗色が悪い」の意味の中には含まれていません。

「旗色が悪い」の語源は?

次に「旗色が悪い」の語源を確認しておきましょう。

「旗色が悪い」の由来は、戦場に掲げる軍旗のようすのことです。「旗」は軍旗のこと、「色」は赤や青の色合いのことではなく状況やようすのことなので、「旗色」で旗の状況を表します。

古くは、軍旗が風に揺られてはためくようすから戦況の成り行きを占っていたことがあり、「旗色が悪い」と言うと戦況が思わしくない状況であるということです。そこから、戦況や情勢がよくないときに、「旗色が悪い」ということばが使われるようになっています。

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