だ液の役割とは?消化酵素「アミラーゼ」について科学館職員がわかりやすく解説
アミラーゼの発見と活用
アミラーゼは初めて単離された酵素です。1833年にフランスのアンセルム・ペイアンとジャン・ペルソーによって大麦の芽から取り出されました。
アミラーゼは薬としても活用されています。胃腸薬や消化剤として胃もたれ胸焼けの解消、防止に使われているのです。日本では1894年に麹菌から抽出されました。タカジアスターゼとして特許がとられたこの酵素は、大根おろしを食べると胃もたれしないという経験から作られたのです。
アミラーゼは薬だけでなく、穀物由来の酒や酢、そして水あめ作りにも活用されています。
アミラーゼが消化するデンプンとは?
グルコース、フルクトースなど基本となる最小単位の糖を単糖類といい、これが連なって二糖類、多糖類となります。血液や細胞の中に存在するグルコースは最も重要な糖です。そしてグルコースが2つでマルトース、複数個連なってデンプンとなります。
エネルギーの源となる炭水化物、デンプンも炭水化物の一種です。デンプンはトウモロコシやイモから作られます。デンプンといえばスープやあんかけのとろみ付け、カボチャ団子や葛湯を作るときに使われますね。デンプンにはアミロースとアミロペクチンがあります。どちらも複数のグルコースが結合してできた高分子です。しかしアミロースは直鎖状に、アミロペクチンは枝分かれしています。構成する単糖は同じでも、その結合の仕方で党の性質は大きく異なるのですね。
アミラーゼによって多糖類のデンプンは二糖類のマルトースに分解されます。マルトースとは麦芽糖という名前の通り、大麦を発芽させて作られる糖です。そしてマルトースはマルターゼによって2つのグルコースに分解されます。
これだけは覚えたい!酵素の仲間たち
酵素はアミラーゼだけではありません。消化酵素のうち炭水化物分解酵素としてよく出てくるのは次の酵素です。
マルターゼ
マルトース(麦芽糖)→グルコース2個
スクラーゼ
スクロース(ショ糖)→グルコース、フルクトース(果糖)
βーガラクトシダーゼ
ラクトース(乳糖)→グルコース、ガラクトース
この他にタンパク質分解酵素のペプシンやトリプシン、脂肪分解酵素のリパーゼなどがあります。ペプシンやリパーゼ廃液に含まれている酵素です。
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