今回のテーマは消化に欠かせない酵素のひとつ「アミラーゼ」です。食べ物は体内でどんどん消化されていく。消化するときに使われる生体触媒のことを酵素という。この酵素にはいろいろな種類がありますが、だ液に含まれていてデンプンを消化するのがアミラーゼです。

デンプンでとろみをつけたあんかけチャーハンや焼きそば。おいしいが食べていてだんだんとあんが緩くなっていったことはないか?それは食べてる途中に箸などからだ液のアミラーゼがあんに混ざり、デンプンをマルトースに分解してしまうからです。

今回はアミラーゼの役割、そしてその他の酵素についてを勉強します。解説は科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

高校生の頃は化学部で研究にはげんでいた工学部化学科出身の科学館職員。理科教育に興味があり、家庭教師のバイトをしていた。

アミラーゼとは?酵素について

アミラーゼとは?酵素について

image by Study-Z編集部

アミラーゼとはジアスターゼとも呼ばれる消化酵素のことです。アミラーゼはグルコース(ブドウ糖)がたくさん連なった多糖類であるデンプンを、グルコースふたつがつながったマルトースに加水分解します。加水分解とは水が加わって起こる分解反応のことです。アミラーゼは口の中で分泌されるだ液や、膵臓から分泌される膵液に含まれています。

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人が食べる食物は大きく糖類、タンパク質、脂質の3つに分類することができます。口から入った食物は胃、小腸と進み消化器官から分泌される消化液によってどんどん消化されていくのです。そして消化された食物は栄養素として体内にどんどん吸収され、体調を整えます。

消化と吸収についてはこちらの記事で確認してください。

消化液には消化酵素が含まれているものとそうでないものがあります。アミラーゼは酵素なので、だ液は消化酵素を含む消化液となりますね。消化酵素を含む消化液には他に胃液、膵液が、消化酵素を含まないものとして胆汁があります。

消化酵素とは体内で起こる化学反応において触媒の役割を果たすタンパク質(酵素)のうち、消化を促進するために使われる物質のことです。消化酵素ははさみのように糖やたんぱく質を切断し、より小さく吸収しやすい状態にしていきます。

酵素についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。

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アミラーゼの発見と活用

アミラーゼは初めて単離された酵素です。1833年にフランスのアンセルム・ペイアンジャン・ペルソーによって大麦の芽から取り出されました。

アミラーゼは薬としても活用されています。胃腸薬や消化剤として胃もたれ胸焼けの解消、防止に使われているのです。日本では1894年に麹菌から抽出されました。タカジアスターゼとして特許がとられたこの酵素は、大根おろしを食べると胃もたれしないという経験から作られたのです。

アミラーゼは薬だけでなく、穀物由来の酒や酢、そして水あめ作りにも活用されています。

アミラーゼが消化するデンプンとは?

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グルコース、フルクトースなど基本となる最小単位の糖を単糖類といい、これが連なって二糖類多糖類となります。血液や細胞の中に存在するグルコースは最も重要な糖です。そしてグルコースが2つでマルトース、複数個連なってデンプンとなります。

エネルギーの源となる炭水化物、デンプンも炭水化物の一種です。デンプンはトウモロコシやイモから作られます。デンプンといえばスープやあんかけのとろみ付け、カボチャ団子や葛湯を作るときに使われますね。デンプンにはアミロースとアミロペクチンがあります。どちらも複数のグルコースが結合してできた高分子です。しかしアミロースは直鎖状に、アミロペクチンは枝分かれしています。構成する単糖は同じでも、その結合の仕方で党の性質は大きく異なるのですね。

アミラーゼによって多糖類のデンプンは二糖類のマルトースに分解されます。マルトースとは麦芽糖という名前の通り、大麦を発芽させて作られる糖です。そしてマルトースはマルターゼによって2つのグルコースに分解されます。

これだけは覚えたい!酵素の仲間たち

酵素はアミラーゼだけではありません。消化酵素のうち炭水化物分解酵素としてよく出てくるのは次の酵素です。

マルターゼ

 マルトース(麦芽糖)→グルコース2個

スクラーゼ

 スクロース(ショ糖)→グルコース、フルクトース(果糖)

βーガラクトシダーゼ

 ラクトース(乳糖)→グルコース、ガラクトース

この他にタンパク質分解酵素のペプシンやトリプシン、脂肪分解酵素のリパーゼなどがあります。ペプシンやリパーゼ廃液に含まれている酵素です。

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アミラーゼを使った実験

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アミラーゼはどのような実験で使われているのでしょうか。

デンプンに加えると青紫色となるヨウ素。そのためヨウ素はデンプンの検出に使われています。ヨウ素液によってデンプンが青紫色になるのは長く連なったデンプンのらせん構造にヨウ素が入ると複合体となり、青紫色に変化するためです。そこにアミラーゼが加えるて体温程度の37℃くらいに温めるとデンプンが加水分解(体内だと消化)され、青紫色が消えます。ちなみにヨウ素といえばうがい薬に含まれている物質ですね。

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デンプンだと色がついて糖になると色が消えるヨウ素液とは反対に、デンプンだと色がつかないのに糖になると色がつくのがベネジクト液です。ベネジクト液は糖尿病の診断用に開発されたもので、マルトースやラクトース、フルクトース、ガラクトースの検出に使われます。

ベネジクト液はもともと青色をしてた液体です。それが糖によって赤褐色に変化します。なおベネジクト液が糖と反応するためには過熱が必要です。

デンプンとヨウ素液、ベネジクト液の実験結果をまとめると次のようになります。

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消化だけではないだ液の役割

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だ液の役割は含まれているアミラーゼでデンプンを消化することだけではありません。口に入れたものを湿らせ飲み込みやすくすること、口の中のpHを適切にし清潔に保つことが挙げられます。

だ液について知りたい人にはこちらの記事がおすすめです。

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デンプンを消化、アミラーゼの役割

ご飯やパン、穀物に含まれるデンプン。健康な体作りに欠かせない栄養素です。

人が食べたものを栄養として活用するには消化する必要があります。消化に必要なのが消化液、そして消化酵素です。消化酵素にはアミラーゼの他に同じく炭水化物分解酵素のマルターゼやタンパク質分解酵素のペプシンなどがあります。消化酵素は化学でも生物でも授業に登場する重要な言葉なのでしっかりと確認して下さいね。

まただ液の役割はアミラーゼを分泌することだけではありません。口の中を清潔に保っているのです。

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タンパク質と生物体の機能理科生物

だ液の役割とは?消化酵素「アミラーゼ」について科学館職員がわかりやすく解説

アミラーゼの発見と活用

アミラーゼは初めて単離された酵素です。1833年にフランスのアンセルム・ペイアンジャン・ペルソーによって大麦の芽から取り出されました。

アミラーゼは薬としても活用されています。胃腸薬や消化剤として胃もたれ胸焼けの解消、防止に使われているのです。日本では1894年に麹菌から抽出されました。タカジアスターゼとして特許がとられたこの酵素は、大根おろしを食べると胃もたれしないという経験から作られたのです。

アミラーゼは薬だけでなく、穀物由来の酒や酢、そして水あめ作りにも活用されています。

アミラーゼが消化するデンプンとは?

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グルコース、フルクトースなど基本となる最小単位の糖を単糖類といい、これが連なって二糖類多糖類となります。血液や細胞の中に存在するグルコースは最も重要な糖です。そしてグルコースが2つでマルトース、複数個連なってデンプンとなります。

エネルギーの源となる炭水化物、デンプンも炭水化物の一種です。デンプンはトウモロコシやイモから作られます。デンプンといえばスープやあんかけのとろみ付け、カボチャ団子や葛湯を作るときに使われますね。デンプンにはアミロースとアミロペクチンがあります。どちらも複数のグルコースが結合してできた高分子です。しかしアミロースは直鎖状に、アミロペクチンは枝分かれしています。構成する単糖は同じでも、その結合の仕方で党の性質は大きく異なるのですね。

アミラーゼによって多糖類のデンプンは二糖類のマルトースに分解されます。マルトースとは麦芽糖という名前の通り、大麦を発芽させて作られる糖です。そしてマルトースはマルターゼによって2つのグルコースに分解されます。

これだけは覚えたい!酵素の仲間たち

酵素はアミラーゼだけではありません。消化酵素のうち炭水化物分解酵素としてよく出てくるのは次の酵素です。

マルターゼ

 マルトース(麦芽糖)→グルコース2個

スクラーゼ

 スクロース(ショ糖)→グルコース、フルクトース(果糖)

βーガラクトシダーゼ

 ラクトース(乳糖)→グルコース、ガラクトース

この他にタンパク質分解酵素のペプシンやトリプシン、脂肪分解酵素のリパーゼなどがあります。ペプシンやリパーゼ廃液に含まれている酵素です。

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