3分で簡単「プリオン」正常プリオン、異常プリオンとは?理系大学生が分かりやすくわかりやすく解説
「狂牛病」が恐れられる理由
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別名「牛海綿状脳症(BSE)」といいますが、異常プリオンによって傷つけられ、牛の脳がスポンジのように無数の小さい穴だらけになってしまいます。発症後は異常行動の末に死亡。原因は牛のえさに牛骨の粉末が混ぜていたこととされ、これを行わなくなってから世界中の狂牛病は激減しました。日本でも規制がかけられたため、2003年以降は狂牛病が見つかっていません。
ではなぜ狂牛病が恐れられるのでしょうか?それは狂牛病とヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病が似ているからなんです。ふつう、異常プリオンは種族の異なる動物間では伝染しないといわれています。しかし、英国のクロイツフェルト・ヤコブ病患者のほとんどが発病前に牛肉を食べていたことが明らかとなり、脳の状態が狂牛病と酷似していたことから、牛の異常プリオンは種族の壁を越えてヒトに感染するのではないかと疑われているのです。異常プリオンはタンパク質分解酵素でも分解できないので、食肉による発病が心配されるため狂牛病の再興が恐れられているのですね。
その他のプリオン病
狂牛病の他にもなかなか興味深いプリオン病があるので、いくつか紹介しますね。
クロイツフェルト・ヤコブ病
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発病原因不明の特発性(孤発性)、家族内で遺伝する遺伝性(家族性)、体外からの異常ブリオンに感染する感染性に分けられています。感染性には異常プリオンに汚染された器具を手術に使ったり、この病気で亡くなった患者の角膜や脳硬膜を移植することによって起きてしまった医原性のクロイツフェルト・ヤコブ病も含まれるのです。患者は50代以上の年配が多く、急速な認知症や意図しない運動、筋肉のけいれん(ミオクローヌス)がおこり、発症から半年以内で寝たきりになってしまいます。
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クールー
パプアニューギニアの食人文化のある民族から見つかりました。この病気の基本的な性格はクロイツフェルト・ヤコブ病と同様です。クロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなった人の脳が近親者の子どもと女性に与えられていたため、子どもと女性の発症率が高くなっています。「クール―」は「ふるえる」という意味だそうですよ。きっとミオクローヌスの症状から病名がつけられたのでしょうね。
スクレイピー
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羊に特有のプリオン病です。“スクレイプ”=“削り取ること”で、その名の通り羊が体を木にこすりつけて毛を削り取るようなしぐさをしていたことから命名されました。著名な衰弱や歩行に困難が見られます。
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