
3分で簡単「プリオン」正常プリオン、異常プリオンとは?理系大学生が分かりやすくわかりやすく解説
簡単に説明すると、プリオンとは「プリオン」という名前のたんぱく質のことなんです。狂牛病で広く知られるようになったから、聞いたことのあるヤツにとってはあまり良いイメージが湧かないでしょう。しかし、プリオンは普通に俺たちの体の中に存在していて、動物に悪い影響があるのは異常プリオンと呼ばれているもののほうなんです。
この記事では理系大学生のkaraageChuripと一緒に、プリオンの正体について解説していきます。
ライター/karaageChurip
理系大学生。学校の課題のせいでプリオンについてよく調べなければならない時期があった。専門用語をあまり使わないで情報を分かりやすく伝えることに力を入れている。
タンパク質「プリオン」

image by iStockphoto
まずタンパク質とは何かというところからですが、これは生き物のからだ中に存在していて、筋肉・皮膚とか細胞や抗体のもとになるとても大切な物質ですよね。タンパク質はDNAまたはRNAが転写・翻訳・スプライシングを受けて産生されたアミノ酸のかたまりですね。様々なアミノ酸がたくさんつながって立体的に折りたたまれることでタンパク質が出来ているのです。タンパク質は数多くの種類がありますが、このアミノ酸の組み合わせや並びの順番、立体構造の違いによりはたらきの異なるタンパク質が作られているのですね。
プリオンはこれらタンパク質の一種で、生物の体内で普通に発現しているプリオン遺伝子から生じたものです。ヒトでは二百五十数個のアミノ酸から構成され(ウイルスよりも小さいです)、1982年にPrusinerらによって発見されました。プリオンの蛋白質としての具体的なはたらきは未だによくわかっていませんが、プリオンは生体内に少量存在しており、特に脳神経細胞の表面に高濃度に分布しているとされています。
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正常プリオンと異常プリオン
プリオンは正常のものと異常のものとに分類されます。通常のプリオンタンパク(正常プリオン)になるはずだったタンパク質のもとが、間違った折りたたまれ方をすることによって生じたものが異常プリオンです。
正常プリオンは上に書いたようにはたらきこそ不明なものの、体内のタンパク質分解酵素によって分解されるため蓄積されず、そのため生体にとくにこれといって悪い影響を与えるわけではありません。対して異常プリオンはタンパク質分解酵素に耐性、つまり体の中で分解されず蓄積し続けるということですが、このために体内の細胞が障害され損なわれてしまいます。
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