2. 希ガス元素の身近な利用例
単原子分子に分類されるヘリウムやネオン、アルゴンなどは私たちの生活の近くでも利用されています。せっかくなので今回は、ヘリウム、ネオン、アルゴンの利用例について見ていきましょう。
2-1 空気より軽くて冷却剤にも扱われる!ヘリウムの利用例
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ヘリウムと聞くと、声のトーンを変えるアレでしょ?とイメージする人が多いと思います。ここではその他の利用例を2つお伝えしますね。
1個目は気球や飛行船、風船を浮かす気体としての利用。当初、浮かす気体には水素が使われていたようですが発火して爆発する可能性があったため、空気よりも軽くて、ほかの物質と反応しづらいヘリウムが使われるようになったそうです。
2個目は冷却材としての利用。ヘリウムは通常気体で存在しますが、冷却と加圧を繰り返すことで液化させることができ、なんとこの温度が-269℃ととても低い状態になります。そして、MRIといった超伝導体を使用する機材の冷却に利用されるようになりました。
2-2 街を彩る!ネオンの利用例
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ネオンと聞くと、ネオンサインを浮かべる人が多いのではないでしょうか。
一定のネオンを封入したガラス管の両極をつないで放電すると光ります。これを利用したのがネオンサインです。ネオンは赤系の表現のみが可能なため、アルゴンや水銀などもあわせて用いられます。
今はLEDなどほかの光源が利用されていますが、現在も街を彩るために利用されていますね。有名なネオンサインとして道頓堀のグリコを思い浮かべる人もいるかもしれませんね。
2-3 溶接から実験まで広く使われる!アルゴンの利用例
アルゴンは周りの物質と反応しない気体(不活性ガス)として有名で、ほかの不活性ガスと比較して空気中に多く存在しています(空気中に約1%)。アルゴンガスの利用方法は幅広く、今回は以下2個を紹介しますね。
1個目は溶接への利用。アーク溶接を行う際に、溶接部に空気が入ってしまうと欠陥が起き、見た目も悪くなるといった問題があるそうです。この問題を解決するための方法として、アルゴンが利用されます。溶接部をアルゴンで満たし、空気を追い出すことで金属への無駄な化学反応を防ぎ、高品質な物に仕上がるそうです。
2個目は実験室での利用例。大学の実験室等では湿気や酸化によって劣化してしまう試薬(反応性の高い試薬など)を扱うことがあります。このような試薬を扱う場合は、その容器にアルゴンを満たして空気を追い出だし、試薬が反応しない状態にして保管することもありますね。
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