「アメリカン・ドリーム」に対する反動もあらわれる
David Shankbone – 投稿者自身による作品, CC 表示 3.0, リンクによる
アメリカン・ドリームは長きに渡ってアメリカ国民そして海外の移住希望者を魅了し続けてきました。しかしながら、アメリカは平等の国であることをうたいながら、現実には多くの不平等があります。そこで、アメリカン・ドリームに対する不満や反動もわきおこりました。
2011年に起こった「ウォール街を占領せよ」キャンペーン
2011年にニューヨーク市マンハッタン区で起こったのが「ウォール街を占領せよ」キャンペーン。リーマン・ショック以降、アメリカは不景気に悩まされ学生たちは就職に苦戦。それを解決できない経済界や政界に対する不満からこの運動が発生しました。
日本語の通称は「ウォール街を占領せよ」ですが、英語ではWe are the 99%。アメリカン・ドリームをつかんでいるのは1%のみで、残りの99%は苦境に立たされていることが発信されました。具体的には富裕層が受けている税金の優遇措置に対する批判でもありました。
中国は「チャイニーズ・ドリーム」を打ち出す
成功をつかむならアメリカという考え方が世界的に共有されてきましたが、それに対抗したのが中国。近年の急速な経済成長をうけて1912年にチャイニーズ・ドリーム構想を打ち出します。シルクロードを通じた国土の拡大や近年の科学技術の発展などを根拠に壮大な成功物語を提案しました。
韓国大統領はチャイニーズ・ドリーム構想を支持するものの、中国を意図的に大国化する物語に韓国メディアが反発。韓国政府が窮地に立たされることになりました。国家レベルで夢を追いかけるロジック自体、今の時代に合わなくなっているとも言えます。
アメリカン・ドリームはどうして今でも継承されるのか
アメリカン・ドリームは、もともとピルグリムファーザーズの歴史にさかのぼる歴史的な生き方。ベンチャー企業の立ち上げやメジャーリーグへの挑戦など今でもその精神は引き継がれています。とはいえ本当に等しく成功のチャンスがあるのかは、アメリカに今でも残る格差や差別の現状を見ると、疑問が残ることは確か。現実にある不平等を覆い隠してきたのもまたアメリカン・ドリームという生き方だったとも言えるでしょう。アメリカン・ドリームはどうして今でも継承されるのか、負の側面も含めて考えることが大切です。