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5分で分かる「アメリカン・ドリーム」とは何か?その体現者の生きざまを元大学教員がわかりやすく解説

「アメリカン・ドリーム」の犠牲となったのが先住民

アメリカン・ドリームは、広大な土地の開拓を鼓舞するために発信されたアメリカ人の生き方。もともとアメリカ大陸に住んでいた先住民のことは配慮されていません。アメリカン・ドリームの達成は、先住民を住み慣れた土地から排除することを意味しました。

白人社会と接触することで、命を落とす、経済的に困窮する、土地を奪われるなど、先住民は多くの犠牲を強いられます。アメリカン・ドリームは、出生にかかわらず平等に成功の機会があると謳われましたが、白人社会を中心とする一方的なものだと考えたほうがいいでしょう。

「アメリカン・ドリーム」のキーワードは努力と勤勉

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アメリカン・ドリームとは危険を顧みず土地を切り開くなど力仕事のイメージがありますが、根本にある精神はまじめなもの。それを達成するために持ち続ける姿勢として、努力と勤勉が強調されました。このふたつは理想的なアメリカ人の姿として長く継承されていきます。

ベンジャミン・フランクリンの生き方がモデルとなる

努力と勤勉を象徴するアメリカ人として位置づけられたのがベンジャミン・フランクリンです。ベンジャミンが学校教育を受けたのは10歳まで。家計を助けるために印刷工として働きました。ベンジャミンは探究心を忘れず、日々の生活や仕事を通じて多くのことを発見。発明家としての道を切り開きます。

努力と勤勉を怠らなかったベンジャミンは印刷事業で成功。地元の名士として地位と信頼を獲得していきます。植民地の取りまとめ役のひとりとして活躍し、アメリカの独立宣言の起草者のひとりとなりました。

ベンジャミンの「アメリカン・ドリーム」を表現する名言

ベンジャミンのアメリカン・ドリームに関係する名言のひとつが「貧乏を恥ずかしがるな」。アメリカン・ドリームは、貧しい者でも成功する可能性があるからこそ、多くの人に受け入れられました。「幸福は自分の力で掴め」という名言は、貧しさや境遇を言い訳にするなというもの。努力を重ねていけばアメリカン・ドリームをつかめるというメッセージです。

アメリカ独立宣言関連では、憲法が与えてくれるのは幸福を追求する権利だけというもの。つまり幸福は自分の力でつかむものだということです。独立宣言により幸福を追求する権利が平等に与えられたものの、それをつかめるかどうかは自分次第。ややシビアなメッセージです。

「アメリカン・ドリーム」のシンボルとなったリンカーン大統領

ベンジャミン・フランクリンと並んでアメリカン・ドリームの体現者となったのがエイブラハム・リンカーン。無教養の開拓民の息子として生まれたこともあり、彼が殺害されてから長らくのあいだ、アメリカン・ドリーマーとして神話化されてきました。

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