世界史

5分で分かる「アメリカン・ドリーム」とは何か?その体現者の生きざまを元大学教員が解説

よぉ、桜木建二だ。「アメリカン・ドリーム」とはアメリカを建国に導いた成功の理念。民主主義精神に基づいて、だれでも階級を越えて平等に成功する機会があると考えた。フロンティア開拓をすすめ植民地の独立を勝ち取れたのも、多様な人々の底流に「アメリカン・ドリーム」の理念があったからだろう。

この理念は建国後も格差を乗り越える原動力となり多数の成功者を生み出した。そこで「アメリカン・ドリーム」の成功者や関連するものを、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/ひこすけ

文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。世界史をたどるとき「アメリカン・ドリーム」を避けて通ることはでいない。幸福の追求と建国を結び付けた歴史的な言葉でもある。とはいえ、アメリカの成功者をイメージさせる一方、先住民のようにそれにより排除された人々を想像させるなど、その意味は少し複雑。そこで時代や文化の背景など関連することを調べてみた。

「アメリカン・ドリーム」の起源は18世紀にさかのぼる

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By Robert Walter WeirPwHe6-AEvwmbIw at Google Cultural Institute maximum zoom level, Public Domain, Link

アメリカン・ドリームという考え方の起源は、イギリスの清教徒たちが新天地を目指して海を渡り、アメリカ大陸に上陸した18世紀にさかのぼります。清教徒たちにとって新天地はユートピア。ゼロから新しい生活を築くことは、アメリカン・ドリームに他なりませんでした。

自身の出生に関わらず成功のチャンスがある

その出発点はピルグリムファーザーズのアメリカ上陸にありますが、その後はさまざまなルーツを持った移民の成功の夢として共有されていきます。ヨーロッパ諸国では経済的に恵まれない人々が多数いました。そんな彼らや彼女らは、母国に見切りをつけてアメリカに向かいます。

新大陸は等しく成功のチャンスがあるユートピアとして信じられていました。そこで状況を打破するために、家族全員あるいは親戚も一緒にアメリカに向かうケースも。アメリカン・ドリームを達成するために土地を取得し、農園をつくったり事業を立ち上げたりしました。

独立宣言書に書かれた「権利」に由来

1776年に採択されたアメリカ独立宣言にて主張されたのが「生命、自由、幸福を追求する権利」。幸福を追求した結果がアメリカの独立、アメリカという国のはじまりであるという意味が込められました。夢を追いかけることをは個人にとどまらない国家的なプロジェクトとして位置づけられたと言えるでしょう。

アメリカン・ドリームの由来となる文章があらわれるのは「基本的人権と革命権に関する全文」のなか。「全ての人間は平等に造られている」としたうえで、植民地は「生命、自由、幸福を追求する権利」があると主張しました。これによりアメリカの独立革命が理論的に正当化されました。

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アメリカ大統領として名を成した人のなかにも、祖父母や両親がアメリカン・ドリームを目指した移住者であったケースは少なくない。ただ、全員が新天地で成功したわけではなく、経済的に苦しい日々が続いた家族も少なくなかった。

西部開拓運動が「アメリカン・ドリーム」を大衆化

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By – G.F. Nesbitt & Co., printer – http://content.cdlib.org/ark:/13030/tf1r29p10v/?layout=metadata, Public Domain, Link

アメリカン・ドリームという発想が分かりやすく発信され、アメリカ人の生き方として大衆化したのは、19世紀の西部開拓運動の時代です。アメリカの「未開」の土地を開拓を推進するため、それをアメリカン・ドリームと結びつけて人々を奮い立たせました。

未開の地を切り開くことを鼓舞

白人社会にとって自分たちが開拓していない土地は「未開」。そのエリアは「野蛮」な先住民がたむろする無法地帯という位置付けでした。そこでアメリカ政府は土地を開拓して人々を定住させることで、アメリカの広大な土地を管理しようとしたのです。

とはいえ開拓されていないエリアに行くだけでも命がけ。目的地に到着する前に、飢えや枯渇そして先住民との争いにより、多くの開拓者が命を落とします。そのような苦難を乗り越えた先には大きな経済的成功すなわちアメリカン・ドリームがあるとされました。

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