地学大気・海洋理科

5分でわかる「大気と海水の大規模運動」フェレル循環やハドレー循環とは?理系ライターがわかりやすく解説

低緯度と中高緯度で実体に異にする大気の子午面循環

ここからは大気の大循環について詳しく見ていきましょう。この大気の大循環は地球の気候や天気の基本的なパターンを決定しています。

その1:大気の熱対流

熱エネルギーの差を解消する大気運動の一つは熱対流です低緯度では強い太陽入射によって地表面の空気は温められます。高温の空気は相対的に軽いので対流圏界面付近に達するまで上昇するのです。対流圏界面より上には空気は上昇しにくくなるので、その空気は高緯度側へ流れます。逆に、高緯度側の空気は地球放射による冷却効果のため低温です。低温の空気は相対的に重いので下降し、地表面にそって低緯度側に流れ込んでいきます。

その2:大気と角運動量保存則

もしも地球が自転していなければ、この熱対流が赤道から極までを支配するはずです。地球の自転を考えると、子午面における熱対流が東西方向の運動をともなうことになります。私たち人間だけでなく地上の空気も、地球の自転にしたがって東向きに動いているのです。地球の自転軸からの距離は高緯度ほど小さいので、高緯度の空気の方が地球の回転分を加えた東向きの速度は小さくなります。角運動量保存の法則を考えると地球の回転分を加えた東西風速と地球の自転軸からの距離の積が一定であることがわかるはずです。

その3:ハドレーの提案

したがって、地球に対して静止した空気を高緯度から低緯度へ運ぶと必ず東風になるのです。1735年にハドレーは低緯度において東風である貿易風が吹く理由をこのように議論しました。ただし、この議論にもとづくと地表面ではすべて東風になってしまい、現実の中高緯度の西風を説明できません。また、角運動量保存の法則を考えると上空で低緯度から高緯度へ空気が運ばれるときに、非現実的な強い西風が高緯度上空に吹くことになってしまいます。したがって、熱対流以外の熱輸送なしに観測事実を説明することはできないのです。

その4:子午面循環

子午面循環とは北極と南極を結ぶ子午線を横軸にとり、高さを縦軸にとって、経度方向に平均した循環のことです。子午面循環の一部としては夏冬ともに赤道よりやや夏半球側から上昇し、冬半球亜熱帯で下降する流れがあります。これは熱対流そのものであり、貿易風成因論のハドレーにちなんでハドレー循環と呼ばれているものです。ただし、ハドレー循環は両半球とも亜熱帯までしか達していません。ハドレー循環の下降気流である亜熱帯は亜熱帯高圧帯とよばれ、下降気流のために乾燥しています。したがって、この領域には、砂漠、スッテプあるいはサバンナが形成されるのです。上記の画像は、子午面循環の立体画像になります。

その5:フェレル循環

中緯度にはハドレー循環と逆向きのフェレル循環が、また極域にはハドレー循環と同じ向きの極循環が存在しています。フェレル循環はハドレー循環のような熱対流ではありません。なぜなら低温な高緯度側に上昇流があり、高温な程度側に下降流があるからです。フェレル循環の実態は南北熱エネルギー差を解消するもう一つの大気運動である大気波動によるものになります。

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tohru123