この記事では「三味線を弾く」について解説する。

端的に言えば三味線を弾くの意味は「相手に調子を合わせて適当なことを言ったり、ごまかしたりすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「三味線を弾く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「三味線を弾く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三味線を弾く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「しゃみせんをひく」です。意味のあとに、語源などの詳しい情報までチェックしていきますよ。

「三味線を弾く」の意味は?

「三味線を弾く」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典で正確な意味をつかんでから、幅広くニュアンスまで見ていきましょう。

1.相手の言うのに調子を合わせて適当に応対する。また、事実でないことを言ってごまかす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「三味線を弾く」

一つは、相手の発言や会話の流れにあわせて、真剣味のない言動をすることです。正しいことであったり、自分の意見や意思、本心を表現することなく、抗うことなく流れに任せるような場合に使われます。

もう一つは、相手に意図的に誤解を招くような言動を取ってごまかすことです。あからさまに嘘をつくのではなく、誤解を招く言動をとったり、話をずらしたりしながら隠したいことなどが伝わらないようにする要な場合に使われることがあります。

「三味線を弾く」の語源は?

次に「三味線を弾く」の語源を確認しておきましょう。

「三味線を弾く」という慣用句は、実際の楽器の三味線を弾くようすから生まれました。三味線そのものは、室町時代に中国から琉球に「三絃(さんげん)」が渡り、琉球で「三線(さんしん)」として発展したのち、日本の楽器として改良、発展したものです。江戸時代頃には、今の形となり普及し始めたとされています。

その三味線でその場の雰囲気に合わせて弾くことから、流れにあわせるという意味につながっていますよ。また、「口三味線(くちじゃみせん)」という言葉も、口で三味線の音色を出すことから、同じくだますような意味合いの表現です。

\次のページで「「三味線を弾く」の使い方・例文」を解説!/

「三味線を弾く」の使い方・例文

「三味線を弾く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.教室で集中して勉強しているときに話しかけられたので、三味線を弾いて適当に答えておいた。
2.麻雀で満貫を狙うなら、少しぐらいの駆け引きは必要なので、三味線を弾くこともある。

例文1.は、「適当に話を合わせる」意味合いで使われています。一生懸命勉強していて、どちらかというと話しかけられたくないような状況で話しかけられたために、早く話が終わるようにと話を合わせておいたということを表す文です。

例文の2.のほうは、「だます」という意味で使っています。ゲームでは手の内がばれてしまっていては勝ち目はないので、自分の状況をはっきり言わずにごまかすというのはよくあることですね。

「三味線を弾く」の類義語は?違いは?

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それでは、後半は「三味線を弾く」の類義語についての説明からです。よく似た意味を表す表現がいくつかあるので、詳しく見ていきましょう。

「お茶を濁す」

「三味線を弾く」の類義語には、「お茶を濁す(おちゃをにごす)」があります。意味は、その場しのぎで適当なことを言ったり、取り繕うとしたり、ごまかそうとしたりすることです。お茶の作法を知らない人が、それなりに取り繕おうとお茶をかき混ぜて濁すことからきています。

「三味線を弾く」とは意味は非常に近くなっていますが、「お茶を濁す」のほうはやや苦し紛れの対応をしているニュアンスがあるので場面によって使い分けるといいですね。

\次のページで「「帳尻を合わす」」を解説!/

「帳尻を合わす」

もう一つの類義語は、「帳尻を合わす(ちょうじりをあわす)」があります。収入と支出が合うようにすることや話のつじつまを合わせるという意味です。「帳尻」とは帳簿の最後の部分のことなので、収支の最終部分に手を加えるということがもとになっています。

帳簿をいじるのはいけないことですが、やむなく調整をつけるといったニュアンスで、もちろんいい意味ではありませんが特別に悪い意味を表現するものではありません。

「三味線を弾く」の対義語は?

次に、「三味線を弾く」の対義語についての説明です。話を合わせたりごましたりすることのないような意味合いの慣用句について、一緒に見ていきましょう。

「歯に衣着せぬ」

「三味線を弾く」の対義語には、「歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ)」があります。意味は、つつみ隠すことなく、思ったままを率直に言うことです。「歯」は言葉のこと、「衣」は服なので飾るということ、そこから言葉を飾らないという意味につながっています。

率直に言うことによって、厳しい言い方ととらえられることもありますし、人が遠慮して言えないことを言ってくれてスッキリすると感じる場合もありますよ。そのため、「歯に衣着せぬ」がプラスの意味かマイナスの意味かがはっきりしているわけではありません。

「掛け値なし」

もう一つの対義語には、「掛け値なし(かけねなし)」があります。物ごとについて誇張して言わないという意味です。物を売るときに高い値段をつけることなく、本来の通りの値付けをすることということがもとになっています。

「誇張せずに言うと…」「大げさではなく…」といった意味合いで、「掛け値なしに…」という表現で使われることが多くなっていますよ。

「三味線を弾く」の英訳は?

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最後に、「三味線を弾く」の対義語についての説明です。言語や文化の違いから「三味線」を使った表現ではありませんが、似た意味の英語表現を見ていきましょう。

「babble trying to hide one's feelings」

「三味線を弾く」の英訳には、「babble trying to hide one's feelings」があります。直訳すると「自分の感覚を隠そうとして無関係のことを話す」です。「babble」は「わめく」という騒がしい言い方をする意味もありますが、「くだらないことをしゃべる、無関係のことを話す」という意味もあります。

その他、さらに「true(本当の)」を加えて「babble trying to hide one's true feelings」とすると、実際とは違うということがより伝わりやすいですね。

\次のページで「「三味線を弾く」を使いこなそう」を解説!/

「三味線を弾く」を使いこなそう

今回の記事では「三味線を弾く」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「三味線を弾く」の基本の意味は、相手に調子を合わせたりごまかしたりすることです。ここで見てきた類義語や対義語も含めて、プラスの意味で使う場面かマイナスの意味で使う場面かを判断して使い分けることが大切ですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「三味線を弾く」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「三味線を弾く」について解説する。

端的に言えば三味線を弾くの意味は「相手に調子を合わせて適当なことを言ったり、ごまかしたりすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「三味線を弾く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「三味線を弾く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三味線を弾く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「しゃみせんをひく」です。意味のあとに、語源などの詳しい情報までチェックしていきますよ。

「三味線を弾く」の意味は?

「三味線を弾く」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典で正確な意味をつかんでから、幅広くニュアンスまで見ていきましょう。

1.相手の言うのに調子を合わせて適当に応対する。また、事実でないことを言ってごまかす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「三味線を弾く」

一つは、相手の発言や会話の流れにあわせて、真剣味のない言動をすることです。正しいことであったり、自分の意見や意思、本心を表現することなく、抗うことなく流れに任せるような場合に使われます。

もう一つは、相手に意図的に誤解を招くような言動を取ってごまかすことです。あからさまに嘘をつくのではなく、誤解を招く言動をとったり、話をずらしたりしながら隠したいことなどが伝わらないようにする要な場合に使われることがあります。

「三味線を弾く」の語源は?

次に「三味線を弾く」の語源を確認しておきましょう。

「三味線を弾く」という慣用句は、実際の楽器の三味線を弾くようすから生まれました。三味線そのものは、室町時代に中国から琉球に「三絃(さんげん)」が渡り、琉球で「三線(さんしん)」として発展したのち、日本の楽器として改良、発展したものです。江戸時代頃には、今の形となり普及し始めたとされています。

その三味線でその場の雰囲気に合わせて弾くことから、流れにあわせるという意味につながっていますよ。また、「口三味線(くちじゃみせん)」という言葉も、口で三味線の音色を出すことから、同じくだますような意味合いの表現です。

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