今回は「合成甘味料」について解説していきます。

合成甘味料とは、人工的に作られた砂糖ような甘みを感じる物質の総称です。人工甘味料は、カロリーオフやカロリーゼロを謳うお菓子や飲料に使用されている。このように聞くと魅力的に思えるが、一部の人工甘味料は、人体に悪い影響を与えるおそれがあるのではないかと指摘されているぞ。ぜひ、この記事を読んで、人工甘味料について正しい知識を身につけてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。食糧に関する技術やバイオエタノールについて勉強中。

合成甘味料について学ぼう!

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現在、スーパーマーケットやコビニエンスストアで販売されているお菓子や飲料の多くに、合成甘味料が添加されています合成甘味料は、私の生活に様々な恩恵を与えてくれる物質の1つですが、健康被害を引き起こすおそれがある物質であるという指摘のある物質の1つでもありますよ

今回は、合成甘味料について化学の視点から考察を進めていきます。合成甘味料とはどのようなものであるか、合成甘味料によって生じるリスクはあるかのかといったことに注目しながら、記事を読み進めてみてくださいね。

合成甘味料とは?

合成甘味料とは?

image by Study-Z編集部

合成甘味料は、天然には存在しない甘みを感じる物質の総称で、すべて人工的に製造されています人工甘味料と呼ばれることもありますよ。また、砂糖の代わりに使用することから、代替甘味料と表記される場合もあるようですよ。

合成甘味料が研究開発された理由は様々です。主なものとしては、砂糖の供給が減少した際に代替品として利用するため糖分を摂取することで生じうる病気などのリスクを低減させるためといったものがあります。

合成甘味料の良い部分

多くの合成甘味料がもつ特徴の1つが、砂糖よりも少ない量で、同じだけの甘みが感じられるということです。つまり、同じ甘みである砂糖を使用したジュースと合成甘味料を使用したジュースを比較すると、合成甘味料の使用量が砂糖の使用量を下回るということですよ。このような理由で、合成甘味料を使用することで、食品や飲料のカロリーを抑えることができます。また、体内で吸収されにくいような合成甘味料も存在しますよ

ですから、ほとんどのダイエット食品やカロリーゼロ飲料で、合成甘味料を使用しています。そして、このような合成甘味料を使用した食品を普及させることで、肥満や糖尿病になってしまう可能性を下げることができると考えられているようです。

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合成甘味料の安全性について

ダイエット食品やカロリーゼロ飲料は、合成甘味料の発明によって実現しました。このような部分だけを見ると、合成甘味料は夢の技術のように思われます。ですが、人工甘味料による健康被害なども報告されており、安全性に対する疑問があることも事実です

人工甘味料の一部には、発がん性中毒性が認められているものがあります。また、人工甘味料の過剰な摂取が原因で、味覚障害になってしまったという事例もありますよ。このような人体への影響は、ラットなどを使った動物実験や代謝のシミュレーションだけでは、明らかにならない場合もあるのです。

合成甘味料の種類

ここまで、合成甘味料の正体、メリット、デメリットなどの簡単に学んできました。ここから先は、代表的な合成甘味料を5種類紹介します各物質がどのような成分であるのか、どのような性質をもつのか、有害性はあるのかといったことを確認していきましょう

以下で説明する物質は、私たちが買っている食品に、添加物として入っていることもあります。正しい知識を身につけて、総合的な観点で健康に良い食品を選ぶことができるようになりましょう

アスパルテーム

Aspartame.svg
Yikrazuul - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

アスパルテームは、アミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンの結合したもの(ジペプチド)を、メタノールとつなぎあわせた物質です。アスパルテームは、同じ量の砂糖に比べて100倍から200倍程度の甘みを持ちますよ

体内で消化されると、アスパルテームはアスパラギン酸フェニルアラニンメタノールに分解されます。アスパラギン酸やフェニルアラニンは、人体にも含まれている物質で、安全な物質だといえますよ。一方、メタノールは失明などの原因になるような物質です。そのため、アスパルテームを過剰に摂取することは推奨されません。ですが、ペットボトル飲料を一日に数本飲む程度では、特に健康に問題はないとされているので、安心してくださいね

ネオテーム

ネオテームの構造式
Tsuruya - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

ネオテームは、アスパルテームの弟分であるような物質です。アスパルテームの構造の一部を、改変させることで作ることができますネオテームの甘みは、同じ量の砂糖の7000倍から13000倍だとされていますよ

アスパルテームが熱に弱いことに対し、ネオテームは熱に強いという特徴をもちます。また、酸にも強いこともネオテームの特徴ですネオテームが消化される際にも、メタノールが生成されますが、通常の使用量であれば問題ないとされています

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スクラロース

Sucralose2.svg
Harbin - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

スクラロースは、イギリスで発明された合成甘味料です。スクラロースの甘みは、同じ量の砂糖の600倍程度であるとされていますよ他の合成甘味料とは異なり、スクラロースは天然に存在するスクロース(砂糖の主成分)に非常に近い構造をもちます

スクラロースは、体内に入ったときに炭水化物として消化されないので、実質的にカロリーゼロとなりますよ。それだけでなく、スクラロースは虫歯の原因にならないことが知られています。そして、スクラロースは安全性は非常に高いと考えられているのです。安全性が高い上に、ゼロカロリー、虫歯にならないといった数多くのメリットがあるのは魅力的ですよね

アセスルフアァムカリウム

Acesulfame potassium Structural Formula V1.svg
- 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

アセスルフアァムカリウムは、ジケテン、スルファミン酸、三酸化硫黄という3つの物質を反応させてできる酸性の物質を、水酸化カリウムで中和することで生じるものです。アセスルフアァムカリウムを発明したのは、ドイツ人化学者ですよ。アセスルフアァムカリウムの甘みは、同じ量の砂糖の200倍程度であるとされていますよ

アセスルフアァムカリウムの製造過程で生じる塩化メチレンという物質は、発がん性があることが指摘されています。この物質が残留していることで、アセスルフアァムカリウムを使用することで、発がんのリスクが高まるのではないかという指摘もあるそうです。ですが、様々な実験により、発がんのリスクは極めて低いと結論づけられています

サッカリン

サッカリンの構造式
パブリック・ドメイン, リンク

サッカリンは、同じ量の砂糖の200倍から700倍の甘みをもつ合成甘味料です。サッカリンは、米国の大学で、コールタールの実験中に偶然発見された物質ですよ。ラットによる実験で、サッカリンが発がん性をもつことが確認されたので、日本国内ではサッカリンの使用に対して規制がなされています

このように、サッカリンは発がん性をもつような物質です。ですが、コストが低いといった理由で米国や中国では未だに大量のサッカリンが消費されていますよ

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合成甘味料について正しい知識をつけよう!

現在、多くのお菓子やジュースに合成甘味料が含まれています。そして、その多くがカロリーオフやカロリーゼロを謳っており、一見魅力的に思えますよね。ですが、一部の人工甘味料には発がん性やその他の毒性が指摘されているものがあります。それゆえ、各人工甘味料がどのような性質をもっているかを知っておくことは重要です。

日本国内では、人工甘味料に対する十分な規制がなされていますが、海外では規制が遅れているということもあります。海外旅行中に、飲料を購入するときは、成分表示を確認すると良いかもしれませんね。

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化学理科

3分で簡単合成甘味料!成分や安全性の問題について理系学生ライターがわかりやすく解説

今回は「合成甘味料」について解説していきます。

合成甘味料とは、人工的に作られた砂糖ような甘みを感じる物質の総称です。人工甘味料は、カロリーオフやカロリーゼロを謳うお菓子や飲料に使用されている。このように聞くと魅力的に思えるが、一部の人工甘味料は、人体に悪い影響を与えるおそれがあるのではないかと指摘されているぞ。ぜひ、この記事を読んで、人工甘味料について正しい知識を身につけてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。食糧に関する技術やバイオエタノールについて勉強中。

合成甘味料について学ぼう!

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現在、スーパーマーケットやコビニエンスストアで販売されているお菓子や飲料の多くに、合成甘味料が添加されています合成甘味料は、私の生活に様々な恩恵を与えてくれる物質の1つですが、健康被害を引き起こすおそれがある物質であるという指摘のある物質の1つでもありますよ

今回は、合成甘味料について化学の視点から考察を進めていきます。合成甘味料とはどのようなものであるか、合成甘味料によって生じるリスクはあるかのかといったことに注目しながら、記事を読み進めてみてくださいね。

合成甘味料とは?

合成甘味料とは?

image by Study-Z編集部

合成甘味料は、天然には存在しない甘みを感じる物質の総称で、すべて人工的に製造されています人工甘味料と呼ばれることもありますよ。また、砂糖の代わりに使用することから、代替甘味料と表記される場合もあるようですよ。

合成甘味料が研究開発された理由は様々です。主なものとしては、砂糖の供給が減少した際に代替品として利用するため糖分を摂取することで生じうる病気などのリスクを低減させるためといったものがあります。

合成甘味料の良い部分

多くの合成甘味料がもつ特徴の1つが、砂糖よりも少ない量で、同じだけの甘みが感じられるということです。つまり、同じ甘みである砂糖を使用したジュースと合成甘味料を使用したジュースを比較すると、合成甘味料の使用量が砂糖の使用量を下回るということですよ。このような理由で、合成甘味料を使用することで、食品や飲料のカロリーを抑えることができます。また、体内で吸収されにくいような合成甘味料も存在しますよ

ですから、ほとんどのダイエット食品やカロリーゼロ飲料で、合成甘味料を使用しています。そして、このような合成甘味料を使用した食品を普及させることで、肥満や糖尿病になってしまう可能性を下げることができると考えられているようです。

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