
水素を用いる実験

image by Study-Z編集部
次に、水素を用いた酸化銅の還元方法を学びます。この方法では、あらかじめ試験管や集気びんの中に水素を充満させておきます。水素を発生させる方法としては、薄い塩酸に亜鉛を加えるというものや薄い水酸化ナトリウムにアルミニウムを加えるというものなどがありますよね。また、水素を収集するときには、上方置換法を用います。
水素で満たされた試験管や集気びんの中に、高温になるまで加熱した酸化銅を入れると、金属光沢をもつ銅に変化します。このとき、水素分子が酸化銅に含まれる酸素原子を取り去り、銅が生じるのです。そして、水素分子と酸素原子が結合して水が生じます。そのため、試験管や集気びんの壁面に、小さな水滴が付着している様子が観察できます。
メタノールを用いる実験

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続いて、メタノールを用いた酸化銅の還元方法を考えてみましょう。この方法では、加熱された高温の酸化銅を、メタノールの液面に近づけます。この際、酸化銅がメタノールに接触しないようにしましょう。メタノールの液面付近に近づけた酸化銅は、金属光沢が現れ、銅に変化します。
この還元反応では、メタノールの蒸気が、酸化銅に含まれる酸素を取り去るのです。メタノールと酸素が反応すると、水とホルムアルデヒドが生じます。ホルムアルデヒドは刺激臭のある無色の気体です。ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因とされている物質で、人体に悪い影響を及ぼします。そのため、この実験は換気が十分になされた実験室で行う必要がありますよ。
酸化銅の還元反応が役立つ場面
最後に、酸化銅の還元反応がどのような場面で役立つのかを紹介します。教科書や参考書に載っているような理論や実験についての知識だけなく、酸化銅の還元反応がどのようなところで役に立っているのかを知ることで、酸化銅の還元反応についての理解はきっと深まるはずです。
ここでは、酸化銅の還元反応が利用されている工業技術について考えてみましょう。ここまで学んだことを、紹介する技術と結び付けて考えてみてくださいね。
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