言葉の意味

もしかして意味が重複している?使い方に注意したい表現6選。新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!

みなさんは二重表現・重複表現という言葉を耳にしたことがありますか?少しすまして言った言葉が「それは二重表現で、おかしな日本語だよ」と指摘されて赤面した、というような経験をお持ちの方もおられるかと思います。しかし、「二重表現となり得る注意したい表現」がある一方で「一見重複しているように見えて問題なく使用できる表現」も存在し、迷うことも多いでしょう。それでは、日常使われそうな表現の中から6つを厳選し、それぞれどこがNGなのか、どうすればOKなのかを、新聞記者歴29年の筆者が詳しく解説していきます。

二重表現・重複表現とは

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まず、二重表現・重複表現について、説明しましょう。

一つの文章の中で、同じような意味を持つ言葉が繰り返されている状態のことを言います。重言(じゅうげん・じゅうごん)とも言われることがありますが、意味は同じです。

基本的には、意味が重複していることに気がつかないまま、うっかり誤って使ってしまったときに、二重表現・重複表現の状態になります。あまり頻繁に使っていると、日本語レベルを疑われることにもなりかねません。

また、SNSなどでは、思わぬところから指摘を受けて、笑いのネタとされてしまう可能性もあります。このような事態にならないよう、気を付けたいところです。

有名な例

例えば、以下のような表現のことを「二重表現・重複表現」と言います。

頭痛が痛い:頭痛で痛むのは頭。頭痛そのものが痛いわけではない。

馬から落馬する:そもそも馬から落ちることが落馬なので、さらに馬からと断る必要はない。

炎天下の下:炎天(暑い日差し)の下が炎天下なので、「の下」は不要。

断トツの一位:断トツは断然トップの省略なので、すでに一位の意味がある。

まず最初に:まずは漢字で「先ず」。まずだけで「最初に・第一に」の意味。

一般的な固有名詞では

一般に使われている固有名詞であっても、よく考えると意味が重複しているケースがあります。例えば、以下のような言葉です。

フラダンス:hulaにはダンスの意味も含まれており、本来はダンスが不要。

チゲ鍋:朝鮮半島の鍋料理全般がチゲ。下に「鍋」をつけると重複する。

タイラギ貝:一説にタイラギの名前は平貝(たいらがい)から由来。「貝」をつけると重複する。

ただ、すでに日常に定着している言葉でもあり、意識して修正する必要はないかもしれません。

使い方に注意したい表現6選

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以上を踏まえて、「二重表現となり得る注意したい表現」と「一見重複しているように見えて問題なく使用できる表現」を、それぞれ紹介していきます。

一つに統合する

「統合」とは「いくつかのものを一つにまとめあわせること」という意味です。つまり、「統合」のみで「ひとつになる」という状態を指しているので、さらに「一つに」とつけると、意味が重複することになります。「~を統合する」とシンプルに修正するか、別の言葉と置き換えましょう。

置き換え例:

複数の意見・考えを一つに整理する

3つの部署を一つに合併する

店に来店する

「来店」とは「人が店に来ること」を言います。店でない場所に人が来ても、「来店」とは言いません。ですからこの場合も、ただ「来店する」もしくは「店に来る」としても意味的には十分でしょう。書き方を変えると、以下のようになります。

置き換え例:

店に足を運ぶ

店に買い物に来る

店に立ち寄る

明かりを点灯する・消灯する

「点灯」とは「あかりをともすこと」を意味する熟語です。その対義語が「消灯」で、こちらは「あかりを消すこと」となります。熟語の中に「灯」の字が入っていることからも分かるように、上に「明かりを」とつけてしまうと意味の重複です。以下のように置き換えるとよいでしょう。

置き換え例:

明かりを灯す・消す

照明を点ける・消す

デスクライトのスイッチを入れる・切る

\次のページで「一番ベスト・一番最後」を解説!/

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