この記事では「獅子の子落とし」について解説する。

端的に言えば獅子の子落としの意味は「子に厳しい試練を与えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「獅子の子落とし」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「獅子の子落とし」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 6314402

それでは早速「獅子の子落とし(ししのこおとし)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「獅子の子落とし」の意味は?

「獅子の子落とし」には、次のような意味があります。

自分の子に苦難の道を歩ませ、その器量を試すことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「獅子の子落とし」

「獅子の子落とし」とは、我が子に苦しい思いをさせることで力量や能力を試し、乗り越えた者だけを育てるということをたとえたもの。りっぱな人物に育てあげるためには、あえて苦難の道を歩ませることも必要だという意味でも用いられます。

そのため、「獅子の子落とし」は一般的に、子育てのたとえとして用いられる慣用句です。

なおこの「獅子」とは百獣の王であるライオンのことを指しています。

「獅子の子落とし」の語源は?

次に「獅子の子落とし」の語源を確認しておきましょう。この言葉は日本の古典文学作品、『太平記(たいへいき)・十六』に由来しています。

『太平記』に記されているのは、「獅子は子を産んで三日を経る時、万じんの石壁より母これを投ぐるに、その獅子の機分あれば、教へざる中より身を翻して、死する事を得ずといへり」という文。これはもともと、ライオンは谷底へと自分の子供を投げ込み、そこから這い上がってきた子だけを育てるという俗説に基づいています。

また、かわいい子供にあえて試練を与えるのは難しいことです。そのため、それができるのは深い知恵や道理を持った人間だけだという意味も持ち合わせています。

\次のページで「「獅子の子落とし」の使い方・例文」を解説!/

「獅子の子落とし」の使い方・例文

「獅子の子落とし」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.幼い我が子に厳しくしつけるのはツラいものもあるが、それでも私は獅子の子落としの教育方針を貫くつもりだ。
2.心配はあるが獅子の子落としとも言うように、甘やかさないで育てた方が息子のためになるだろう。
3.上司から難しい仕事のリーダーに任命されてしまった。獅子の子落としだと先輩は言っていたし、不安は大きいがチャレンジしてみようと思う。

「獅子の子落とし」とは子育てに関する戒めとも言える言葉。我が子に対するものだけでなく、部下や後輩に対する教育やしつけのシーンでも用いる言葉です。そのため例文1~2のように家庭で使うこともあれば、3のようにビジネスシーンでも用いることができます。

また、「獅子の子落とし」とは難しい試練を与えることが成長につながるという意味で用いる肯定的な言葉です。わざといじめる時や、意味もなく厳しくするなど、虐待の意味で用いるのは誤り。使い方には注意しましょう。

「獅子の子落とし」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 30928136

それでは次に、「獅子の子落とし」と似た意味を持つ類義語を見ていきましょう。

「可愛い子には旅をさせよ」

「可愛い子には旅をさせよ(かわいいこにはたびをさせよ)」は、自分の子供が可愛いのであれば、世の中の大変さや厳しさを経験させるべき、という意味のことわざ。大事な子供であるからこそ、手元に置いて甘やかすのではなく旅に行かせて厳しい経験を積ませるべき、ということです。

今では交通機関も多い世の中ですが、昔は旅をするにも大変でした。しかし、そのような大変な旅の経験が子供の成長につながると信じられたことから「可愛い子には旅をさせよ」という言葉になったのです。

「獅子の子落とし」同様の意味で用いることができる、類義語のひとつと言えるでしょう。

\次のページで「「獅子の子落とし」の対義語は?」を解説!/

「獅子の子落とし」の対義語は?

「獅子の子落とし」とは、子に厳しい試練を与えて立派に育てること。そんな「獅子の子落とし」と反対の意味とはどのような言葉になるでしょうか。ここでは対義語を確認していきます。

「親の甘茶が毒となる」

「親の甘茶が毒となる(おやのあまちゃがどくとなる)」とは、親が子供を甘やかして育ててもその子のためにならず、かえって将来毒となる、ということ。可愛がるだけが子のためではなく、時には厳しさも必要だという意味で用いられることわざです。

「獅子の子落とし」が厳しいしつけの様子をたとえているのに対し、「親の甘茶が毒となる」は甘やかした様子をたとえている点で、反対の表現と言えるでしょう。ただし、教育には厳しさも必要であるという本質的な意味では「獅子の子落とし」と同義の表現とも言えます。

なお「親の甘いは子に毒薬」ということわざもありますが、これも「親の甘茶が毒となる」とほぼ同義の言葉です。関連語句として覚えておきましょう。

「獅子の子落とし」の英訳は?

image by iStockphoto

それでは「獅子の子落とし」を英語で表現するにはどのような訳が良いでしょうか。最後に英訳についても確認していきましょう。

「Spare the rod and spoil the child.」

「Spare the rod and spoil the child.」とは、直訳すると“鞭(むち)を惜しんでは子供はダメになる”という意味の英語のことわざ。この「and」は仮定に対する順接の用法で、“~をすると”という意味になり、「spare」は動詞で“~を(惜しんで)使わない”という意味、「rod」は“鞭”、「spoil」は“~を甘やかす”という意味をそれぞれ持ちます。

そのため上述のような直訳になり、転じて“子供を思うのであれば厳しさも必要だ“という意味で用いられることわざです。

「獅子の子落とし」と同様の言葉として、英語で表現したいときはこの表現を用いるといいでしょう。

「獅子の子落とし」を使いこなそう

この記事では「獅子の子落とし」の意味・使い方・類語などを説明しました。

可愛い子につらい思いや苦しい思いをさせるのは、親心としても大変なもの。つい甘やしたくなることもあるでしょう。ですが、可愛いからこそ、試練も乗り越えることを信じて待つのことも必要なのではないでしょうか。

厳しい試練とは子供だけでなく、親にとっても同じく試練なのかもしれませんね。

" /> 【慣用句】「獅子の子落とし」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「獅子の子落とし」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

「獅子の子落とし」の使い方・例文

「獅子の子落とし」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.幼い我が子に厳しくしつけるのはツラいものもあるが、それでも私は獅子の子落としの教育方針を貫くつもりだ。
2.心配はあるが獅子の子落としとも言うように、甘やかさないで育てた方が息子のためになるだろう。
3.上司から難しい仕事のリーダーに任命されてしまった。獅子の子落としだと先輩は言っていたし、不安は大きいがチャレンジしてみようと思う。

「獅子の子落とし」とは子育てに関する戒めとも言える言葉。我が子に対するものだけでなく、部下や後輩に対する教育やしつけのシーンでも用いる言葉です。そのため例文1~2のように家庭で使うこともあれば、3のようにビジネスシーンでも用いることができます。

また、「獅子の子落とし」とは難しい試練を与えることが成長につながるという意味で用いる肯定的な言葉です。わざといじめる時や、意味もなく厳しくするなど、虐待の意味で用いるのは誤り。使い方には注意しましょう。

「獅子の子落とし」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 30928136

それでは次に、「獅子の子落とし」と似た意味を持つ類義語を見ていきましょう。

「可愛い子には旅をさせよ」

「可愛い子には旅をさせよ(かわいいこにはたびをさせよ)」は、自分の子供が可愛いのであれば、世の中の大変さや厳しさを経験させるべき、という意味のことわざ。大事な子供であるからこそ、手元に置いて甘やかすのではなく旅に行かせて厳しい経験を積ませるべき、ということです。

今では交通機関も多い世の中ですが、昔は旅をするにも大変でした。しかし、そのような大変な旅の経験が子供の成長につながると信じられたことから「可愛い子には旅をさせよ」という言葉になったのです。

「獅子の子落とし」同様の意味で用いることができる、類義語のひとつと言えるでしょう。

\次のページで「「獅子の子落とし」の対義語は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: