この記事では「因果を含める」について解説する。

端的に言えば因果を含めるの意味は「状況を説明してあきらめさせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「因果を含める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「因果を含める」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「因果を含める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「因果を含める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「因果を含める」の意味は?

最初に「因果を含める」の国語辞典に記載されている意味を見ていきましょう。

道理をよくよく言い聞かせて納得させる。やむをえない状況を説いてあきらめさせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「因果を含める」

辞書に記載されている通り、「因果を含める」(いんがをふくめる)は「やむを得ない状況を説明してあきらめさせること」ですが、「因果」(いんが)の「因」(いん)は原因のことで、「果」(が)は、結果のことです。現在、私たちが生活する中で「自然現象」においても「人間関係」においても、「なにかの原因があるからこそ、ある特定の結果が導き出される」ことは当たり前なことと理解し、抵抗感なく受け入れられますが、この「原因と結果やその二つの関係」は、もともと仏教の中で説かれた理論でした。我々日本人は、千年以上も仏教に親しんできたからこそ「因果」は理解しやすい概念なのかもしれませんね。

「因果を含める」の「含める」(ふくめる)は、「言い含めること」「詳しい説明によって納得してもらうこと」の意ですから、「因果を含める」は全体で、「原因と結果についてよく説明した上で納得させる」という意味になるのです。

「因果を含める」の語源は?

次に「因果を含める」の語源を確認しておきましょう。

紀元前6世紀になるとインドで仏教思想が確立すると仏教哲学は中国経由で日本にも広まり朝廷だけでなく一般の人にも広く受け入れられていきます。仏教哲学の中でも中心となる考え方が「原因と結果の関係」です。例えば、「寝タバコが原因で火事が起きた」というような自然科学の法則は仏教の考え方の根幹をなすものでした。

この法則は、人間にも当てはめられ、自分が善行(ぜんこう)を行えば、それに相当するよい報いが将来に訪れ、悪行を行えば、それに相応の悪い報いを受けることになると考えられていました。現在不幸であるのは、前世において悪行をした報いであり、現在が幸福であるのは過去や前世に善行を行った結果なのです。

「因果を含める」とは、過去や前世の行いのために、現在は諦(あきら)めるという結果を受け入れるべきであるという概念であり、発展して「第三者がきちんと理由を説明して諦めるように説得すること」の意味で使われるようになっていきました。

\次のページで「「因果を含める」の使い方・例文」を解説!/

「因果を含める」の使い方・例文

「因果を含める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 私も妹の気持ちはスゴクわかるのだけれど、因果を含めて彼との結婚はあきらめるように言った。
2. 小学校からの友達だからヤツの性格はよくわかっていたし今が大切な時期であることもわかっていた。しかし、因果を含めて彼に入院することをすすめたんだ。
3. 先日行われたグループ会社全体会議で、機械・装置部門には、2四半期連続で売上高減少と経常利益がマイナスの場合には、事業閉鎖の計画を進めると、因果を含めて言っておきました。また、継続して製造原価の削減と今年度の事業計画においても更なる拡販を織り込むように指示しておきました。

「因果を含める」は相手の気持ちは理解できるものの、どうしても説得して相手を納得させる必要がある際に使われる慣用句でもありますね。

「因果を含める」の類義語は?違いは?

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それでは、「因果を含める」の類義語を見ていきましょう。

「諦めは心の養生」

「因果を含める」は、「やむをえない状況を説明してあきらめさせる」ことですから、説得する側としては、相手が理性的で論理的な人である場合には、「運命」や「定め」の他にもなにかしらの諦めるべき道理ややめたほうがよい理由を相手に伝えて説得する必要があります。

思いが強ければ強いほど、失敗や不運に直面したときのショックも大きく簡単に諦めきれるものではありません。相談者としては、相手の思いの内容をよく聞いてあげて共感し、早く相手が新しい方向性を見つけられるように励ましてあげる必要もありますね。そんなとき、相手に助言してあげられる言葉に「諦めは心の養生」(あきらめはこころのようじょう)があります。失敗を悔やむことは心を疲弊(ひへい)させていく行為でもありますね。まず、気持ちや心を平常にもどすことをアドバイスすることも大切なことかもしれません。

\次のページで「「因果を含める」の対義語は?」を解説!/

「因果を含める」の対義語は?

次に「因果を含める」の対義語や相反する考え方を見ていきましょう。

「継続は力なり」

「因果を含める」が失敗や不運、損失などに起因して相手をあきらめるように説得するのに対して、今まで通り続けるようにアドバイスする場合もありますね。事業活動においても、もちろん良い時もありますが、よくない時もあります。研究費がかみ販売額が減り、結果が出せず、純損失ばかりが膨らむ状況もあるかもしれません。しかし、社会情勢や流れはときに変わるもの。諦めるように説得することではなく、続けて成功を目指すように説得する場合もあります。そんなときに使えることばのひとつが「継続は力なり」(けいぞくはちからなり)です。「継続は力なり」は「なにごとも一途に取り組み、思いを込めて行えば成就する」という意味になります。

「因果を含める」の英訳は?

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次は、「因果を含める」を英語にした場合どうなるのかを見ていきましょう。「因果を含める」は「運命や宿命を受け入れるように説得する」と言い換えられますので、言い換えた言葉をわかりやすい英語で表現すると次のようになります。

「persuade someone to accept the inevitable」

「説得する」というニュアンスでピッタリくる言葉のひとつが、「persuade」(pɚswéɪd)ですね。
「persuade +(人)+ to accept something」で「誰々に何々を受け入れるように説得する」という意味になり、いろいろな場合や場面で使える表現です。
「something」の部分には、「運命や宿命を受け入れること」を示す言葉を入れれば、「運命や宿命を受け入れるように説得する」という表現は完成しますね。例では「the inevitable」としています。「inevitable」は、
避けられない」や「必然的な」という意味の形容詞ですが、「the + 形容詞」で名詞にとして表現できることから「the inevitable」で「避けられないこと」、「必然的なこと」になり、ここでは「運命」とも言うことができるでしょう。

「persuade someone to accept the inevitable」全体で、「誰々に運命を受け入れるように説得する」という意味です。それではいくつか例を見ていきましょう。

1. I persuaded my sister to accept the breach of promise of marriage with him as your fate.
(私は、妹に運命として彼との婚約破棄を受け入れるように説得した。)

2. I knew well that he has been doing his best to participate in the Olympic game.But I thought that the most important thing for him right now is his health.So, I persuaded him to accept declining participation.
(私は彼がオリンピックに参加するために全力を尽くしてきたことを知っていた。しかし、今、最も大切なことは彼の健康状態であるとも思った。だから、彼にオリンピックの事態を受け入れるように説得したんだ。)

\次のページで「「因果を含める」を使いこなそう」を解説!/

「因果を含める」を使いこなそう

この記事では「因果を含める」の意味や使い方を見てきましたが、「やむをえない状況であることを説明してあきらめるように説得すること」の意でした。確かに当事者である相手が、「熱くなりすぎて」あるいは「達成しなければならないという意識が強すぎて」など、第三者が諦めるように説得した方がいい場合は確かにありますね。聞く側としても、一度、冷静になって相手の提案を聞く必要があるのではないでしょうか?

若ければ若いほど、「突っ張る力」にもあふれていて、「第三者が言ったからといって、その提案を常に受け入れてばかりでなくてもよい」と私は思います。ただ、「突っ張るだけ」では人生、疲れてしまうものです。年を重ねるに従って、「どこで突っ張るべきか?」「どこで第三者の意見を素直に聞いて流れてゆけばよいのか?」を考えられるようになるといいですね。なかなか難しい話ですけど。寿命の長くなった現代、生きかたの緩急(かんきゅう)をつけられるようになるともう少し生きやすくなるのかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「因果を含める」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「因果を含める」について解説する。

端的に言えば因果を含めるの意味は「状況を説明してあきらめさせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「因果を含める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「因果を含める」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「因果を含める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「因果を含める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「因果を含める」の意味は?

最初に「因果を含める」の国語辞典に記載されている意味を見ていきましょう。

道理をよくよく言い聞かせて納得させる。やむをえない状況を説いてあきらめさせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「因果を含める」

辞書に記載されている通り、「因果を含める」(いんがをふくめる)は「やむを得ない状況を説明してあきらめさせること」ですが、「因果」(いんが)の「因」(いん)は原因のことで、「果」(が)は、結果のことです。現在、私たちが生活する中で「自然現象」においても「人間関係」においても、「なにかの原因があるからこそ、ある特定の結果が導き出される」ことは当たり前なことと理解し、抵抗感なく受け入れられますが、この「原因と結果やその二つの関係」は、もともと仏教の中で説かれた理論でした。我々日本人は、千年以上も仏教に親しんできたからこそ「因果」は理解しやすい概念なのかもしれませんね。

「因果を含める」の「含める」(ふくめる)は、「言い含めること」「詳しい説明によって納得してもらうこと」の意ですから、「因果を含める」は全体で、「原因と結果についてよく説明した上で納得させる」という意味になるのです。

「因果を含める」の語源は?

次に「因果を含める」の語源を確認しておきましょう。

紀元前6世紀になるとインドで仏教思想が確立すると仏教哲学は中国経由で日本にも広まり朝廷だけでなく一般の人にも広く受け入れられていきます。仏教哲学の中でも中心となる考え方が「原因と結果の関係」です。例えば、「寝タバコが原因で火事が起きた」というような自然科学の法則は仏教の考え方の根幹をなすものでした。

この法則は、人間にも当てはめられ、自分が善行(ぜんこう)を行えば、それに相当するよい報いが将来に訪れ、悪行を行えば、それに相応の悪い報いを受けることになると考えられていました。現在不幸であるのは、前世において悪行をした報いであり、現在が幸福であるのは過去や前世に善行を行った結果なのです。

「因果を含める」とは、過去や前世の行いのために、現在は諦(あきら)めるという結果を受け入れるべきであるという概念であり、発展して「第三者がきちんと理由を説明して諦めるように説得すること」の意味で使われるようになっていきました。

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