

ライター/mimosa
もともと文系出身で、独学で生物学、分子生物学、微生物学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。
感染と発症

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まず、感染症について説明しますね。感染とは、外部から病原体としての微生物が宿主(しゅくしゅ)となる生体内に侵入し、適所となる組織に定着後、そこで増殖する。このような状態を感染と言います。また、もともとヒトの体内に常在している微生物であっても、からだの免疫力が極度に下がるなど様々な原因によって宿主である体内で過剰に増加した場合でも感染したと言いますよ。
宿主で感染が成立し、感染部位を中心に機能的、生理的に変化が生じると病態が形成されて症状が現れます。このように臨床的症状(患者さんが訴える症状の他、医師の診察による所見など)が発現することを発症と言いますよ。発症が認められた感染を顕性感染と言って、顕性感染に伴う病的症状がいわゆる感染症となります。
感染源について
感染源とは、生体内に入り込んで定着し感染症になる原因の病原性のある微生物そのもの、もしくはその病原性のある微生物を持っている人や物(それに汚染された器具、食品など)のことを言いますよ。病原性のある微生物は主にウイルスや細菌です。この章では、ウイルスや細菌の特徴について説明していきますね。
ウイルスとは

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ウイルスとは、微細な粒子であり、自分と同じものをつくりだせる、自己複製能がありますよ。ウイルスの中には核酸があり、細胞膜で仕切られています。細胞壁はありません。大きさは、数十nm(ナノメートル)から数百nmですね。ちなみに1ナノメートルは、10億分の1メートルですよ。なかなかイメージしづらいと思いますが。ウイルスは自ら栄養摂取できないので、生物の細胞に寄生することによって自己複製が可能となります。
細菌とは

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細菌は、真核生物のように核膜に覆われた核を持たない原核生物です。ほとんどの細菌が細胞膜の外に細胞壁をもっています。細菌の細胞質は真核生物よりもずっとシンプルな構造で、細胞内小器官は存在しません。染色体DNAの他にプラスミドと呼ばれる環状の小さなDNAが存在することがあります。プラスミドには薬剤耐性や病原性に関わる遺伝情報を含んでいることが多いのです。
大きさは、球菌や桿(かん)菌というように形によって大きく異なりますが、ウイルスに比べたら大きく大腸菌、ビフィズス菌、結核菌、肺炎球菌などの細菌は1-4µ(マイクロ)mと言われていますよ。µはnの1000倍なのでウイルスよりかなり大きいですね。基本的には、細菌はウイルスと違って自ら栄養摂取ができます。なので、細胞を使わず細菌は寒天培地などで培養が可能なのですね。あと、自ら分裂して増殖を行っていくことも可能なのですよ。
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