今回は「呼吸の仕組みとはたらき」について勉強していこう。

呼吸しているのは動物だけじゃない。植物は光合成をするとともに、呼吸もしていることを覚えておこう。

動植物における呼吸について生化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.動物の呼吸

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呼吸と聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか。息を吸って吐いて…、これはもっとも身近な呼吸の1つです。生きていくために呼吸は必要不可欠ですね。それはなぜでしょうか。呼吸を止めてしまうとどんな問題があるのでしょうか。今回は呼吸の仕組みと動植物におけるはたらきについて解説していきます。

1-1.肺呼吸

呼吸と聞いて真っ先に思い浮かべるのが肺呼吸でしょう。皆さんもご存じのように、ヒトは酸素を吸って二酸化炭素を吐くことで呼吸をしていますね。鼻や口から取り込まれた酸素は気管支を通って左右の肺へいき、肺胞(※)という毛細血管が無数に通る小さな袋から取り込まれます。毛細血管に入って赤血球中の色素、ヘモグロビンと結びつくことで血流に乗って循環するのです。そして各組織や臓器といった酸素を必要とされている場所に供給されます。それと同時に不要になった二酸化炭素は赤血球中の酵素によってイオン化されることで血液中を運搬され、呼気として体外に排出されるというサイクルです。

肺呼吸は外呼吸ともよばれ、肺胞と血管の間でガス交換が行われます。空気中の酸素と体内の二酸化炭素を交換するのが一般的に知られている呼吸であり、肺呼吸(外呼吸)です。

※肺胞:肺の器官で、ブドウの房のような構造をしています。効率のいい気体の出し入れのため、表面積が広くなるよう小さな袋が連なっているのが特徴です。

1-2.細胞呼吸

外呼吸に対して内呼吸というものも呼吸の1つです。これは細胞呼吸ともよばれる体内で行われるガス交換であり、先述したように、肺で吸収された酸素は血管を通って全身の組織や細胞に届けられます。さらに組織や細胞で不要になった二酸化炭素はそこから血管に入り、肺まで巡ってくることで排出されますね。つまり、内呼吸は毛細血管と体組織の間で行われるガス交換なのです。

\次のページで「1-3.酸素は何に使われる?」を解説!/

酸素と二酸化炭素がどのように運ばれるかをまとめてみましょう。

(1)空気中の酸素が肺胞から毛細血管中に入る 肺呼吸(外呼吸)/酸素の運搬
(2)毛細血管を通ってきた酸素が体組織に届く 細胞呼吸(内呼吸)/酸素の受け渡し
(3)体組織から不要になった二酸化炭素が毛細血管に入る 細胞呼吸(内呼吸)/二酸化炭素の受け渡し
(4)毛細血管中の二酸化炭素が肺胞を通って呼気として排出される 肺呼吸(外呼吸)/二酸化の運搬

このように 外呼吸→内呼吸→外呼吸 の流れでガス交換がおこなれていることを覚えておきましょう。

1-3.酸素は何に使われる?

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気になるのが酸素の使われ方ですよね。高山地帯や激しい運動をした後、息が切れたり酸欠状態で体調不良になることがあるでしょう。ここからもわかるように、私たちにとっていかに呼吸(酸素)が生命維持に必要かがわかります。しかしこの酸素が何に使われているかは知らない人が多いのではないでしょうか。

実は酸素はすべてのエネルギーの源ともいえるものなのです。動物は食事をすることでエネルギーを得ていますね。しかし食べ物は食べてすぐエネルギーに変換されるのではありません。まずは食べるという行為そのものである筋肉の収縮運動が必要であり、食事をするにもエネルギーが必要です。心臓を動かすこと、体温を保つこと、そのほかにも代謝に関わる運動には筋肉が大きな役割を果たしています。そして筋肉が使用するエネルギーの生成には酸素が欠かせません。食事によって摂取した有機物を分解するのにもこのエネルギーが必要です。酸素があるから筋肉が動かすことができ、食事ができ、次の栄養を分解・吸収して次の運動へつなげることができる。呼吸はこのサイクルの重要な一役を担っているのです。

2.植物の呼吸

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植物も呼吸するの?と思う人もいるでしょうか。実は植物も動物と同様、酸素を吸って二酸化炭素を出す呼吸を常に行っているのです。

植物における外呼吸は主に葉にある気孔によって行われます。空気中の酸素を気孔から取り込み、二酸化炭素を気孔から出すというものです。内呼吸では酸素が各細胞内のミトコンドリアに取り込まれて使用され、二酸化炭素を放出します。植物は動物と異なり、血管中のヘモグロビンのような酸素の媒介役となる物質が存在していません。取り込まれた酸素は細胞間の隙間を通るようにして植物の細胞組織全体を巡っていきます。

2-1.植物ならではの「光合成」

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多くの人が植物と気体の関係で連想するのが呼吸ではなく「光合成」でしょう。光合成は呼吸の反対、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで知られています。植物は光合成することで養分をつくり出し、エネルギーにしていますね。植物における光合成は動物の食事にあたります。光合成(食事)によって養分を得るためのエネルギーをつくり出すためには呼吸が必要なのです。

3.呼吸は生きている限り24時間続く

3.呼吸は生きている限り24時間続く

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ヒトを含めた動物は24時間365日欠かすことなく呼吸しています。呼吸することは身体を動かすためのエネルギーを得ることであり、生き続けるためには昼も夜も関係ありません。これは植物も同様です。

植物の場合、日中は光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出しています。そのために日中は光合成しかしていないと誤解されがちです。しかし実際は 呼吸によって吸収される酸素<光合成によって放出される酸素 呼吸によって排出される二酸化炭素<光合成によって吸収される二酸化炭素 であるために、見かけ上は光合成のみおこなっているように見えるといえます。テストでもひっかけ問題として出題されることがありますので、しっかり理解しておきたいですね。

\次のページで「生命維持のための呼吸」を解説!/

生命維持のための呼吸

私たちは24時間365日欠かすことなく呼吸をしています。普段呼吸していることを意識することは少ないかと思いますが、呼気には二酸化炭素、吸気には酸素が多く含まれていることを知っていたという人は多いでしょう。呼吸には肺(気孔)で行われる外呼吸細胞で行われる内呼吸があります。酸素がどのように取り込まれ、二酸化炭素が排出されるかの流れで理解したいですね。

忘れがちですが、動物だけでなく植物も絶えず呼吸をしています。植物は光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を出しますね。これは呼吸とは反対であり、日光の当たる昼間に行われるものです。さらに、呼吸による気体の出入りに比べ光合成による気体の出入りの方が多いことが知られています。そのために植物は見かけ上、昼間は光合成、夜は呼吸をしているように見えることに気を付けてくださいね。

 

画像引用:いらすとや

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タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単「呼吸の仕組みとはたらき」呼吸するのは何のため?元塾講師がわかりやすく解説

今回は「呼吸の仕組みとはたらき」について勉強していこう。

呼吸しているのは動物だけじゃない。植物は光合成をするとともに、呼吸もしていることを覚えておこう。

動植物における呼吸について生化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.動物の呼吸

image by iStockphoto

呼吸と聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか。息を吸って吐いて…、これはもっとも身近な呼吸の1つです。生きていくために呼吸は必要不可欠ですね。それはなぜでしょうか。呼吸を止めてしまうとどんな問題があるのでしょうか。今回は呼吸の仕組みと動植物におけるはたらきについて解説していきます。

1-1.肺呼吸

呼吸と聞いて真っ先に思い浮かべるのが肺呼吸でしょう。皆さんもご存じのように、ヒトは酸素を吸って二酸化炭素を吐くことで呼吸をしていますね。鼻や口から取り込まれた酸素は気管支を通って左右の肺へいき、肺胞(※)という毛細血管が無数に通る小さな袋から取り込まれます。毛細血管に入って赤血球中の色素、ヘモグロビンと結びつくことで血流に乗って循環するのです。そして各組織や臓器といった酸素を必要とされている場所に供給されます。それと同時に不要になった二酸化炭素は赤血球中の酵素によってイオン化されることで血液中を運搬され、呼気として体外に排出されるというサイクルです。

肺呼吸は外呼吸ともよばれ、肺胞と血管の間でガス交換が行われます。空気中の酸素と体内の二酸化炭素を交換するのが一般的に知られている呼吸であり、肺呼吸(外呼吸)です。

※肺胞:肺の器官で、ブドウの房のような構造をしています。効率のいい気体の出し入れのため、表面積が広くなるよう小さな袋が連なっているのが特徴です。

1-2.細胞呼吸

外呼吸に対して内呼吸というものも呼吸の1つです。これは細胞呼吸ともよばれる体内で行われるガス交換であり、先述したように、肺で吸収された酸素は血管を通って全身の組織や細胞に届けられます。さらに組織や細胞で不要になった二酸化炭素はそこから血管に入り、肺まで巡ってくることで排出されますね。つまり、内呼吸は毛細血管と体組織の間で行われるガス交換なのです。

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