この記事では「膝を交える」について解説する。

端的に言えば膝を交えるの意味は「打ち解けて語り合うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「膝を交える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「膝を交える」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「膝を交える」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ひざをまじえる」です。意味をつかんだあとに、語源や使い方などの詳しい情報までチェックしていきますよ。

「膝を交える」の意味は?

「膝を交える」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典で正確な意味を一緒に見ていきましょう。

1.親しく同席する。うちとけて語り合う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「膝を交える」

うちとけて話し合うという意味ですが、ただ仲がよさそうで話が盛り上がっているという見た目の雰囲気ではなく、うちとけているからこそ話せることを話し合える間柄であったり場であるということです。話とは、少し特別なものであり、信頼関係があるからこそ言えることや忌憚のない意見などがあります。

そのメンバーは、相手が一人の場合も複数の場合もあり、友達など同格の間柄のこともあれば先生と生徒や上役と部下のような縦の関係であっても使われる表現です。また、話の結果や前後の関連は関係なく、話しているようすのことを表しています。

「膝を交える」の語源は?

次に「膝を交える」の語源を確認しておきましょう。

「膝を交える」という慣用句は、文字通り膝が重なったりぶつかったりするほど近づいて話をしているということがもとになっています。

ワイワイと盛り上がっているというよりも、話に熱が入るあまり身を乗り出していたり、周りにはあまり聞かれたくないために自然と相手に近づいて話しているようすをイメージするといいですね。

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「膝を交える」の使い方・例文

「膝を交える」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.友だち同士とは言え、膝を交えて話せるほど親近感を持てる人はクラスに一人だけだ。
2.教授への信頼感からか、この研究会は伝統的に膝を交えての話し合いとなる。

いずれの場合も、誰にでも言えないような本音の話し合いができる相手や場について書かれた文です。信頼できる相手や環境があるということがわかります。

例文1.は、友だちがたくさんいる中で何でも話せる相手はクラスに一人しかいないということです。例文の2.では、教授への信頼感や教授の人柄もあるのでしょうか、研究会の場では本音を話し合える雰囲気になるという文になっています。

「膝を交える」の類義語は?違いは?

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それでは、「膝を交える」の類義語についての説明です。「膝を交える」のうちとけて語り合うような意味合いのある表現について、一緒に見ていきましょう。

「気が置けない」

「膝を交える」の類義語には、「気が置けない(きがおけない)」があります。意味は、気を遣ったり気兼ねすることなく付き合えるほど親密であるようすのことです。もともと「気を置く」が、相手を気遣ったり遠慮したりする意味なので、「気を置けない」で気遣うことがないという意味になります。

しかし、この「気が置けない」は、「気を置く」を逆の意味でとらえる人が増えているようで、半数近くの日本人が誤用しているというデータもありますよ。とくに注意が必要な表現です。

\次のページで「「肝胆相照らす」」を解説!/

「肝胆相照らす」

もう一つの類義語には、「肝胆相照らす(かんたんあいてらす)」があります。互いに心の底までうちとけて親しく付き合うという意味です。「肝胆」は肝臓と胆嚢のことで、ともに心の内を表す意味合いがあります。その「肝胆」を照らし合うということで、互いに心の奥底を照らし合うほどの親密な仲であることにつながっています。

これは、中国の『故事成語考』の「お互い心の底まで打ち解けあい付き合えることを腹心の友と言い、お互いの気持が一致しないのは口先だけの付き合いだ」という文に由来します。

「膝を交える」の対義語は?

次に、「膝を交える」の対義語についての説明です。親しく語り合う意味合いの対義語となるので、親密になれていない意味合いを含む表現について見ていきましょう。

「水臭い」

「膝を交える」の対義語のひとつは、「水臭い(みずくさい)」です。意味は、物体として水分が多いために味が薄いことから、転じて人間関係においてよそよそしいということにつながっています。食べ物や飲み物と同じように、人間関係が希薄であることを「水」を使って表現していますよ。

関係が希薄であるということは、表面的な会話ややりとりが中心となり、互いにありきたりの言動をしたり、本心を語らなかったりということです。

「他人行儀」

もう一つの対義語には、「他人行儀(たにんぎょうぎ)」があります。他人に対するようにうちとけないことやそういった振る舞いという意味です。とくに、よそよそしい振る舞いや改まった振る舞いのことを表しています。

本来の親密度に関係なく、よそよそしい振る舞いに対して使える表現です。ただ、本来は一定の親身な関係にあるのに、疎遠な者同士であることを感じさせるような言動をした場合に使われることが多くなっていますよ。

「膝を交える」の英訳は?

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最後に、「膝を交える」の英訳についての説明です。言語の違いから、漢字のニュアンスまで英単語に含めるのは難しいところですが、近い意味のキーワードを含む英語表現を見ていきましょう。

「have a heart-to-heart」

「膝を交える」の英訳には、「have a heart-to-heart」があります。直訳すると「腹を割った話をする」です。「heart-to-heart」は、名詞として「腹を割った話」という意味もあり、形容詞として「率直な、腹蔵のない、心からの」という意味合いで使うこともできます。

「heart-to-heart」を形容詞として使うと、「have a heart-to-heart talk」と「talk」を付け加えて使いますよ。

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「膝を交える」を使いこなそう

今回の記事では「膝を交える」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「膝を交える」の基本の意味は、打ち解けて語り合うことです。慣用句は、時とともに使われなくなったり、流行る時期があったりとさまざまですが、「膝を交える」については安定して現在も使われている表現と言えます。場面を選ばず、幅広く使用できますよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「膝を交える」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「膝を交える」について解説する。

端的に言えば膝を交えるの意味は「打ち解けて語り合うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「膝を交える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「膝を交える」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「膝を交える」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ひざをまじえる」です。意味をつかんだあとに、語源や使い方などの詳しい情報までチェックしていきますよ。

「膝を交える」の意味は?

「膝を交える」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典で正確な意味を一緒に見ていきましょう。

1.親しく同席する。うちとけて語り合う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「膝を交える」

うちとけて話し合うという意味ですが、ただ仲がよさそうで話が盛り上がっているという見た目の雰囲気ではなく、うちとけているからこそ話せることを話し合える間柄であったり場であるということです。話とは、少し特別なものであり、信頼関係があるからこそ言えることや忌憚のない意見などがあります。

そのメンバーは、相手が一人の場合も複数の場合もあり、友達など同格の間柄のこともあれば先生と生徒や上役と部下のような縦の関係であっても使われる表現です。また、話の結果や前後の関連は関係なく、話しているようすのことを表しています。

「膝を交える」の語源は?

次に「膝を交える」の語源を確認しておきましょう。

「膝を交える」という慣用句は、文字通り膝が重なったりぶつかったりするほど近づいて話をしているということがもとになっています。

ワイワイと盛り上がっているというよりも、話に熱が入るあまり身を乗り出していたり、周りにはあまり聞かれたくないために自然と相手に近づいて話しているようすをイメージするといいですね。

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