端的に言えば、尾を引くの意味は「後に影響を及ぼす」ことです。特に難しい言葉ではないが、意味とニュアンスを理解し、類義語も含めて覚えておけば、使いこなせるシーンがさらに増えるぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「尾を引く」の意味を確認し、例文や類義語などを見ていきます。
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「尾を引く」の意味・例文
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「尾」も「引く」も難しい言葉ではありませんし、「尾を引く」もさほど難しい表現ではありませんね。しかし、今一度意味をきちんと確認し、使い方を見てみましょう。
「尾を引く」の意味
最初に「尾を引く」の意味を辞書で確認しましょう。
1.光や炎が後方にすうっと流れていく。
2.物事が過ぎ去ってもその名残があとまで続く。後に影響を及ぼす。
出典:日本国語大辞典精選版「尾を引く」
「尾」は「動物のしっぽや、しっぽのような長い形のもの」という意味です。また「引く」には「長く伸ばす」「あとに余波が続く」という意味があります。1は、「光や炎の尾が長く伸びる様子」です。
2は転じて「物事が過ぎたあとでも名残が続く」「後に影響を及ぼす」という意味になりました。「尾を引く」は、過去の出来事が表面的にはいったん終わったように見えても、根本的な解決がされずにのちのちに影響を及ぼしているという意味で使われています。
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「尾を引く」の例文
「尾を引く」の使い方を例文で見ていきましょう。
1.うしかい座流星群は梅雨時の6月にピークを迎える。通常はあまり観測できないが、過去に大出現したことがある。ぜひ長い尾を引く流れ星をたくさん観てみたいものだ。
2.ダムの貯水率が40%を切るなど、水不足が深刻になっている。8月に入ってから晴天が続いているせいもあるが、空梅雨だったことが尾を引いているようだ。
3.彼がコンビを組まないかと誘ってきたが、躊躇している。以前私から誘ったとき、彼が私を選ばず別の人とコンビを組んだことが尾を引いているのだ。
最初の例文は、「光や炎の尾が長く伸びる」という意味の例文です。2番目の例文は、過去に空梅雨で雨が少なかったことが水不足に影響を及ぼしているという意味ですね。3番目の例文は、自分が選ばれなかったという過去の経験が、現在に影響を及ぼしているという意味です。
流れ星は尾を引きますが、ほとんどは一瞬で消えて見えなくなってしまいます。しかし、過去に起こったできごとが尾を引く場合は、後々まで長く影響が続いていくようですね。
「尾を引く」の類義語
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「尾を引く」の類義語には、どのような言葉があるのでしょうか。「物事が過ぎたあとでも名残が続く」「後に影響を及ぼす」という意味の類義語について見ていきましょう。
「禍根(かこん)を残す」:災いが起こる原因が残っている
「禍」には災いという意味があります。新型コロナウイルスが流行して以来「コロナ禍」という言葉でよく見かけるようになりましたね。「根」には「物事が起こるもと」「根本的な原因」という意味があります。「禍根」は「災いが起こる原因」のこと。
「禍根を残す」は「災いが起こる原因が残っている」という意味です。表面上は解決したように見えても、根本的な原因がまだ残っているということですね。禍根を残さないようにすることは「禍根を断つ」といいます。
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