TwitterやYoutubeといったオンラインでの生物に関する投稿を見ていると、『昆虫』と『虫』を混同して理解している奴がかなり多いように感じる。 お前らはしっかりと昆虫の定義について知っているか? 小学校で習っているはずの内容ですが、しっかりと理解できてない奴も多いでしょう。知らないと恥ずかしい教養レベルの内容だから、知識があやふやな奴はこの記事の内容をしっかりと読み込んで理解しておくように。
今回の記事は「昆虫の定義」の詳細について国立大学院で修士号(農学)を取得ているライターふくろう博士と一緒に解説していきます。

ライター/ふくろう博士

国立理系大学院で修士号(農学)を修了後、現在では企業の研究職として働くかたわらで「理系科目の面白さ、楽しさ」を伝えるために活動中!自身のサイト『大学生活のすべてが学べるブログ』では農業土木に関する基本的な概念から、大学生活を快適に過ごす秘訣まで広い情報を発信している。

『昆虫』と『虫』は別の分類!

『昆虫』と『虫』は別の分類!

image by Study-Z編集部

『昆虫』と『虫』の違いって何でしょう?こういった質問について正しく答えられる人は案外少ないです。私は以前国立大学院修士課程に在籍していましたが、生物を直接触る機会が少ない『遺伝生物学』と呼ばれるような研究室に在籍していた学生などは一部答えられない人もいました。

このように、一般的に生き物に対して詳しいとされている農学系の大学院生でも知らない人はいるのです。とはいっても、小学校時代に一度習ったことのある「一般常識」であることに変わりありません。この記事の内容を熟読し、他人に教えられるレベルまでしっかりと理解しましょう!

それでは、昆虫と虫の代表例を分類していくので、自分の認識が正しいかどうか最初にチェックしてみましょう。

『昆虫』に分類される生き物

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昆虫とは、蝶や甲虫、カメムシやバッタ、トンなどの生き物が分類されます。次章で詳しく解説しますが、胸にあたる部分に羽を持ち6本の足を持ってることが特徴です。夏休みになると子供達が採集するカブトムシやクワガタなども分類されますね。昆虫の歴史は約4億年前から栄えている動物群の一つでもあり、恐竜を滅ぼした隕石衝突後も生き残ったしたたかな生き物です。

また、バッタやトンボのようにさなぎを経ずに成虫になる「不完全変態」と、蝶や甲虫全般のようにさなぎを経て成虫となる「完全変態」に細かく分類されます。さなぎの中で昆虫がどのように形態変化をしているかは未だ謎であり、現在も研究中の面白いテーマでもあるのです。

『昆虫』ではない生き物

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昆虫と混同される虫には次のような生き物が該当します。ダンゴムシやムカデ、クモ、サソリ、ダニなどですね。これらの生き物に共通することは、人間に不快感を与える生き物ということでしょう。 害虫という言葉があるように、人間にとって不愉快な生き物を総称して虫と読んだ歴史があるのかもしれません。

ちなみに、外飼いのペットなどに寄生するノミは昆虫です。ダニとノミは同列に扱われることが多いですが、ノミは節足動物門昆虫綱ノミ目(隠翅目)、ダニは節足動物門鋏角亜門クモガタ綱のダニ亜綱に分類されます。分類学上はかなり遠い生き物であり、全く別の種類の生き物です。

\次のページで「昆虫の定義とは?」を解説!/

昆虫の定義とは?

分類学上では、昆虫は六脚類というグループに分類されています。しかし、星の数ほど存在する生き物からどのように昆虫とそれ以外に分類しているのでしょうか?実は、昆虫を見分けるポイントは 

 

・成虫の外部構造
・羽がついている位置と枚数
・足の本数

以上の三つから判断しています。それぞれの内容について以降の章で詳しくみていきましょう。

昆虫とはこんな生き物のこと

昆虫の体のつくりには大きく分けて三つの部分から成り立ちます。すなわち、頭部・胸部・腹部と呼ばれる部分ですね。これらの部分はそれぞれ独立した役割を果たしています。

頭部には目や触覚、口などが存在しており、通常は餌を探したり食べたりするために使われているわけです。人間の場合、鼻で匂いを探りますが、昆虫の場合は触覚がその役割を果たします。

胸部には通常6本の足と4枚の羽が生えており、運動や生命の維持活動を行うための重要な器官が集まっている部分。胸部は全部で三つの部分に分かれており、頭側から見て前胸、中胸、後胸と言います。昆虫の足はこれらの部位から一対ずつ計2本生えており、 羽は中胸と後胸に一対ずつ分担して動かすことで複雑な挙動を実現させているのですね。

腹部には食べたものを消化する消化器官や気門と呼ばれる器官が存在しています。 気門とは人間でいうところの鼻や口に該当し、ここから呼吸を行うことが明らかにされました。人間でいうところのお腹の部分で呼吸をするなんて、何だか不思議ですね。

定義に当てはまらない昆虫も存在する!

前回の章では昆虫の定義について解説しましたが、全ての昆虫が定義に当てはまる訳ではありません。それでは、どんな生き物がこの定義に当てはまらないかを具体例を挙げて紹介していきます。

\次のページで「足が4本しかない?タテハチョウ科の蝶」を解説!/

足が4本しかない?タテハチョウ科の蝶

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蝶の仲間にはタテハチョウ科と呼ばれるグループが存在します。人によってはツマグロヒョウモンと呼ばれる蝶を道端で見たことがあるかもしれません。名前の通りヒョウ柄の可愛らしい蝶ですね!

ツマグロヒョウモンをはじめとしたタテハチョウ科のグループは、よく見ると4本の足しか存在しません。蝶の仲間のはずなので、昆虫に分類されるのは明らかなのに不思議です。実は、本来あるはずの前足が退化しているため、その役割を果たしていません。

羽が2枚だけ!双翅目の仲間

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夏になると大量発生するコバエ。毎日キレイに生ゴミを掃除していても、発生する時は発生してしまう憎い生き物を知らない人はいないでしょう。

このようなハエ達ですが、生き物の分類では双翅目と呼ばれるグループに所属しています。名前にもある通り、通常4枚あるはずの羽が2枚しか存在しません。こちらも昆虫の定義から外れた生き物ですね。双翅目の場合もタテハチョウ科の生き物と同様に、一部の器官が退化した結果定義から外れてしまったの過去があります。

ちなみに、退化した後ろ羽のことを平均棍(へいきんこん)と呼び、ハエの正確無比な飛行技術になくてはならない器官です。平均棍を切除したハエはまっすぐ飛ぶことができず、体の平衡感覚を保つことができないそう。このように退化した期間だからといってその生き物とって不要とは限らないということがわかります。

昆虫って面白い!

今回の記事では昆虫について詳しく解説しました。普段何気なく目にする昆虫ですが、少し掘り下げてみるだけでもこれだけたくさんの発見がある面白い生き物です。近年では、低コストで高タンパクな『昆虫食』もう新たな食材としてみる文化も注目され始めました。

また、『蚊が人の血を吸うメカニズムを応用した、痛くない注射針の開発』と言ったように、昆虫をモチーフにした発明は今後もたくさん出ることが期待されます。 近い将来、我々の生活の大部分は昆虫の恩恵に預かったものになりそうですね。

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理科生物生物の分類・進化

3分で簡単昆虫の定義!羽がないクモやダンゴムシは昆虫ではない?理系院卒ライターが分かりやすくわかりやすく解説!

TwitterやYoutubeといったオンラインでの生物に関する投稿を見ていると、『昆虫』と『虫』を混同して理解している奴がかなり多いように感じる。 お前らはしっかりと昆虫の定義について知っているか? 小学校で習っているはずの内容ですが、しっかりと理解できてない奴も多いでしょう。知らないと恥ずかしい教養レベルの内容だから、知識があやふやな奴はこの記事の内容をしっかりと読み込んで理解しておくように。
今回の記事は「昆虫の定義」の詳細について国立大学院で修士号(農学)を取得ているライターふくろう博士と一緒に解説していきます。

ライター/ふくろう博士

国立理系大学院で修士号(農学)を修了後、現在では企業の研究職として働くかたわらで「理系科目の面白さ、楽しさ」を伝えるために活動中!自身のサイト『大学生活のすべてが学べるブログ』では農業土木に関する基本的な概念から、大学生活を快適に過ごす秘訣まで広い情報を発信している。

『昆虫』と『虫』は別の分類!

『昆虫』と『虫』は別の分類!

image by Study-Z編集部

『昆虫』と『虫』の違いって何でしょう?こういった質問について正しく答えられる人は案外少ないです。私は以前国立大学院修士課程に在籍していましたが、生物を直接触る機会が少ない『遺伝生物学』と呼ばれるような研究室に在籍していた学生などは一部答えられない人もいました。

このように、一般的に生き物に対して詳しいとされている農学系の大学院生でも知らない人はいるのです。とはいっても、小学校時代に一度習ったことのある「一般常識」であることに変わりありません。この記事の内容を熟読し、他人に教えられるレベルまでしっかりと理解しましょう!

それでは、昆虫と虫の代表例を分類していくので、自分の認識が正しいかどうか最初にチェックしてみましょう。

『昆虫』に分類される生き物

image by iStockphoto

昆虫とは、蝶や甲虫、カメムシやバッタ、トンなどの生き物が分類されます。次章で詳しく解説しますが、胸にあたる部分に羽を持ち6本の足を持ってることが特徴です。夏休みになると子供達が採集するカブトムシやクワガタなども分類されますね。昆虫の歴史は約4億年前から栄えている動物群の一つでもあり、恐竜を滅ぼした隕石衝突後も生き残ったしたたかな生き物です。

また、バッタやトンボのようにさなぎを経ずに成虫になる「不完全変態」と、蝶や甲虫全般のようにさなぎを経て成虫となる「完全変態」に細かく分類されます。さなぎの中で昆虫がどのように形態変化をしているかは未だ謎であり、現在も研究中の面白いテーマでもあるのです。

『昆虫』ではない生き物

image by iStockphoto

昆虫と混同される虫には次のような生き物が該当します。ダンゴムシやムカデ、クモ、サソリ、ダニなどですね。これらの生き物に共通することは、人間に不快感を与える生き物ということでしょう。 害虫という言葉があるように、人間にとって不愉快な生き物を総称して虫と読んだ歴史があるのかもしれません。

ちなみに、外飼いのペットなどに寄生するノミは昆虫です。ダニとノミは同列に扱われることが多いですが、ノミは節足動物門昆虫綱ノミ目(隠翅目)、ダニは節足動物門鋏角亜門クモガタ綱のダニ亜綱に分類されます。分類学上はかなり遠い生き物であり、全く別の種類の生き物です。

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