この記事では「肩を並べる」について解説する。

端的に言えば「肩を並べる」の意味は「対等に競い合うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「肩を並べる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「肩を並べる」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「肩を並べる」の意味・使い方を見ていきましょう。

「肩を並べる」の意味は?

「肩を並べる」には、次のような意味があります。

1.横に並ぶ。肩をそろえて進む。
2.対等の位置に立つ。同じ程度の力や地位をもって張り合う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩を並べる」

上記にもあるように、「肩を並べる」には2つの意味があります。1つ目の意味は、「動作」や「様子」を表す際に使うとよいでしょう。たとえば「走者が肩を並べている」と言えば「走者が横並びで走っている」ということになりますね。

ただし、一般的には2つ目の意味である「対等の位置に立つ」がよく使われています。「肩を並べる」の「肩」は、「地位」や「能力」だと考えると分かりやすいのではないでしょうか。当初は足元にも及ばない相手だったとしても、自身の努力や鍛錬によって近づくことは十分可能なはずです。目標にしていた存在と互角に勝負できる、もしくは対等な立場になれたと感じた時に「肩を並べる」と表現してみてください。

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「肩を並べる」の使い方・例文

「肩を並べる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先輩と肩を並べて歩いた。

2.彼は先日の試合で互角に戦い、トップの選手と肩を並べるほどの実力になっていた。

3.経済大国に肩を並べるほど、めざましい発展を遂げている。

まず、1つ目の意味である「肩と肩を揃える」からみていきましょう。たとえば、一緒に食事をするため、先輩と横並びに座ったとしましょう。そのような状況を「先輩と肩を並べて座った」などと表現することができます。

次に、2つ目の意味である「立場が対等になること」をみていきましょう。憧れの存在に近づけたどうかは、結果をみれば明らかです。スポーツであれば強豪チームと互角に戦うことができた。仕事であれば先輩と同じ営業成績を出せたなど、自分にとって成長できたと実感できた時に使うとよいでしょう。そのため、「肩を並べる」は褒め言葉として使っても問題ありません。遠い存在だと思っていた相手と競えるほどの実力を身につけた時に「肩を並べる」を使ってみてください。

「肩を並べる」の類義語は?違いは?

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では、「肩を並べる」の類義語や違いをみていきましょう。

「立ち並ぶ」

「立ち並ぶ」は、2つの意味があります。1つ目の意味は文字通り、並んで立つこと。よく「素敵なお店が立ち並んでいます」と、リポーターの言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。「肩を並べる」は「横並び」だけでしたが、「立ち並ぶ」は縦や横、どちらでも構いません。立っている建物や人に対して「立ち並ぶ」を使うとよいでしょう。

2つ目の意味は、才能や技量が同じくらいであること。たとえば、「技術で彼に勝てる者はいない」と同様の意味で「技術で彼に立ち並ぶ者はいない」と表現することができます。もしくは「プロと立ち並ぶほどの実力」などと表現してもよいですね。

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「張り合う」

「張り合う」の意味は、同じ目標に向かって、互いに負けないように激しく争うこと。たとえば「社長の座を巡って張り合う」と表現することができますね。ほかにも、「張り合う」を省略して「対抗」と表現しても問題ありません。

「張り合っている」というと、「負けず嫌い」や「大人気ない」といった性格を連想する人もいるようです。プライベートでは張り合う必要はありませんが、仕事や試合などでは「張り合う」気持ちを忘れてはいけません。どのような競技や職種であったとしても、負けず嫌いな人のほうが好成績を出す傾向にあります。もしも業績に悩んでいるのであれば、ライバルを作り、「張り合う」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

「匹敵」

「匹敵(ひってき)」は、日常会話でよく使われている言葉です。意味は、比べてみた結果、能力や価値が同じであること。たとえば、素人がカラオケ大会で歌ったところ、あまりの美声に周囲は驚き「プロに匹敵するほどの歌唱力だ」と表現することができます。ほかにも「価値が同じ」といった感覚で使ってもよいでしょう。「この金貨は給料半年分に匹敵するほどの価値がある」と使うことができますね。

「肩を並べる」の対義語は?

「肩に並べる」の意味は「相手と同じ地位や技量になること」でした。反対の意味となると「対等になれない」となるはずです。そこで今回は、相手と「差が埋まらない」や「かけ離れている」といった意味合いで「肩を並べる」の対義語をみていきましょう。

「程遠い」

「程遠(ほどとお)い」には、2つの意味があります。1つ目の意味は、道のりや時間が相当遠いこと。目的の場所まで距離があまりにも遠い場合に「程遠い」と表現することができます。2つ目の意味は、状況や状態がひどくかけ離れていること。たとえば「取得したい資格に合格するためには程遠い」と表現することができます。ほかにも「今の状況では解決には程遠い」と表現してもいいですね。長い道のりと同様に、結果を出すまでに時間が足りない、もしくは実力が足りないと感じた場合に「程遠い」を使ってみてください。

「高嶺の花」

「高嶺(たかね)の花」の意味は、遠くからただ憧れて見ているだけで、手にすることができないこと。「高嶺」とは「山の頂」のこと。山頂は崖が多く、いくら美しい花が咲いていたとしても、見ているだけで手に入れることはできません。そのような様子から転じて、手に取ることができない例えとして「高嶺の花」が使われるようになりました。

「高嶺の花」は人や物、手に入らないあらゆるものに対して使うことができます。「肩を並べる」は、相手と同等の地位や能力を手に入れることができましたが、「高嶺の花」は憧れているだけで近づくこともできません。「彼女は私にとって高嶺の花だった」といえば「彼女に近づくことすらできない」と伝えることができますね。

「唯一無二」

相手が「唯一無二(ゆいいつむに)」の存在だとしたら、肩を並べる日が来ることはないかもしれません。「唯一無二」の意味は、ただ一つだけで、他にはないこと。「代わりがいない」もしくは「他にはない特別なもの」といった意味合いでよく使われています。たとえば、「誰にも真似できない技術」を「唯一無二の技術」と表現することができますね。

「唯一無二」は「唯一」と「無二」の2つの言葉から構成されている四字熟語です。「唯一」の意味は、ただ一つだけで、それ以外にないこと。「無二」の意味は、並ぶものがないという意味になります。同様の意味となる言葉を続けることによって、いかに特別なものであるか伝わるのではないでしょうか。尊敬の気持ちを込めて「彼は私にとって唯一無二の存在です」と使ってみてください。

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「肩を並べる」の英訳は?

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では、「肩を並べる」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「side by side」

「side」は「側」や「横」という意味。「side by side」で「~と並んで」という意味になります。「肩を並べる」の意味の一つ「横に並ぶ」として使うことができるでしょう。「肩を並べて歩く」を英訳するならば「walk side by side」と表現することができますね。

「on a par with」

「par」とは「同等」や「標準」という意味。「on a par with」で「~と同等である」という意味になり、「(地位などの)~と肩を並べている」として使うことができるでしょう。「she is on a par with teacher」といえば「彼女は先生と肩を並べている」と伝えることができますね。

「肩を並べる」を使いこなそう

この記事では「肩を並べる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「肩を並べる」は、憧れの存在と対等になれた時に使うことができる慣用句です。ライバルからすれば焦る状況かもしれませんが、本人にとっては喜ばしいことといえるでしょう。もしくは、努力が実を結んだ瞬間といってもいいですね。やはり、自分だけで能力を高めるよりは、「目標を持つ」もしくは「憧れの人を作る」などしたほうが能力を高めやすいといえます。

もしも、あなたにとって目標とする存在がいるならば、いつか「肩を並べる」を使える日まで頑張ってみてください。きっと、これまでに経験したことがない達成感が味わえるはずですよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「肩を並べる」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

「張り合う」

「張り合う」の意味は、同じ目標に向かって、互いに負けないように激しく争うこと。たとえば「社長の座を巡って張り合う」と表現することができますね。ほかにも、「張り合う」を省略して「対抗」と表現しても問題ありません。

「張り合っている」というと、「負けず嫌い」や「大人気ない」といった性格を連想する人もいるようです。プライベートでは張り合う必要はありませんが、仕事や試合などでは「張り合う」気持ちを忘れてはいけません。どのような競技や職種であったとしても、負けず嫌いな人のほうが好成績を出す傾向にあります。もしも業績に悩んでいるのであれば、ライバルを作り、「張り合う」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

「匹敵」

「匹敵(ひってき)」は、日常会話でよく使われている言葉です。意味は、比べてみた結果、能力や価値が同じであること。たとえば、素人がカラオケ大会で歌ったところ、あまりの美声に周囲は驚き「プロに匹敵するほどの歌唱力だ」と表現することができます。ほかにも「価値が同じ」といった感覚で使ってもよいでしょう。「この金貨は給料半年分に匹敵するほどの価値がある」と使うことができますね。

「肩を並べる」の対義語は?

「肩に並べる」の意味は「相手と同じ地位や技量になること」でした。反対の意味となると「対等になれない」となるはずです。そこで今回は、相手と「差が埋まらない」や「かけ離れている」といった意味合いで「肩を並べる」の対義語をみていきましょう。

「程遠い」

「程遠(ほどとお)い」には、2つの意味があります。1つ目の意味は、道のりや時間が相当遠いこと。目的の場所まで距離があまりにも遠い場合に「程遠い」と表現することができます。2つ目の意味は、状況や状態がひどくかけ離れていること。たとえば「取得したい資格に合格するためには程遠い」と表現することができます。ほかにも「今の状況では解決には程遠い」と表現してもいいですね。長い道のりと同様に、結果を出すまでに時間が足りない、もしくは実力が足りないと感じた場合に「程遠い」を使ってみてください。

「高嶺の花」

「高嶺(たかね)の花」の意味は、遠くからただ憧れて見ているだけで、手にすることができないこと。「高嶺」とは「山の頂」のこと。山頂は崖が多く、いくら美しい花が咲いていたとしても、見ているだけで手に入れることはできません。そのような様子から転じて、手に取ることができない例えとして「高嶺の花」が使われるようになりました。

「高嶺の花」は人や物、手に入らないあらゆるものに対して使うことができます。「肩を並べる」は、相手と同等の地位や能力を手に入れることができましたが、「高嶺の花」は憧れているだけで近づくこともできません。「彼女は私にとって高嶺の花だった」といえば「彼女に近づくことすらできない」と伝えることができますね。

「唯一無二」

相手が「唯一無二(ゆいいつむに)」の存在だとしたら、肩を並べる日が来ることはないかもしれません。「唯一無二」の意味は、ただ一つだけで、他にはないこと。「代わりがいない」もしくは「他にはない特別なもの」といった意味合いでよく使われています。たとえば、「誰にも真似できない技術」を「唯一無二の技術」と表現することができますね。

「唯一無二」は「唯一」と「無二」の2つの言葉から構成されている四字熟語です。「唯一」の意味は、ただ一つだけで、それ以外にないこと。「無二」の意味は、並ぶものがないという意味になります。同様の意味となる言葉を続けることによって、いかに特別なものであるか伝わるのではないでしょうか。尊敬の気持ちを込めて「彼は私にとって唯一無二の存在です」と使ってみてください。

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