天動説の体系化「プトレマイオスの天動説」
Jan van Loon – http://nla.gov.au/nla.map-nk10241, パブリック・ドメイン, リンクによる
古代ローマの学者、クラウディオス・プトレマイオス(83年~168年)は「アルマゲスト」という著書を残しました。この著書には地球が宇宙の中心であり、その周りを太陽や他の惑星が回っているということが書かれていたのです。このアルマゲストが執筆されたのが研究によって150年から168年の間とされています。
アルマゲストは13冊にもわたる天文学や幾何学の専門書である書物です。この本には天動説や日食、月食についても記されています。
「アルマゲスト」によると地球は
「宇宙の中心は球形をした地球であり動かずその周りを他の天体が回っている」
とされています。
Fastfission – From Edward Grant, “Celestial Orbs in the Latin Middle Ages”, Isis, Vol. 78, No. 2. (Jun., 1987), pp. 152-173. See also: F. A. C. Mantello and A. G. Rigg, “Medieval Latin: An Introduction and Bibliographical Guide”, The Catholic University of America Press, p. 365 (on-line text here)., パブリック・ドメイン, リンクによる
このアルマゲストによると宇宙の惑星は地球を中心に
月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星
の順で並ぶとされています。
実際には太陽を中心に
水星、金星、地球(月)、火星、木星、土星…
と並んでいますね。
太陽系の惑星についてはこちらの記事もどうぞ。
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天動説から地動説へ
ヤン・マテイコ – www.pinakoteka.zascianek.pl, パブリック・ドメイン, リンクによる
先程もちらっと解説しましたが、実は意外と歴史の古い地動説。
地動説の元となる考えが生まれたのは紀元前310から230年頃のことです。古代ギリシアの天文学者アリスタルコスが太陽が宇宙の中心であると唱えました。しかしこの考えは民衆に広まりませんでした。この理由として偉大な学者であるアリストテレスが支持した天動説を否定できなかった、大地が動くという説は神の偉大さを否定するためキリスト教から受け入れられなかったことなどがあります。
そしてやっと地動説が日の目を見たのは生まれてから1700年ほど後のことです。地動説を広めるきっかけとなった人物がニコラス・コペルニクス(1473年2月19日~1543年5月24日)、ポーランド出身のカトリックの司祭でした。コペルニクスは1500年頃に出版した「コメンタリオス」で太陽中心説(地動説)を主張し、さらに亡くなる直前に「天体の回転について」で地動説をより発展させています。
コペルニクスの生涯についてはこちらの記事を参考にしてください。
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ジョゼフ=ニコラ・ローベル=フルーリー – https://web.archive.org/web/20050424195324/http://library.thinkquest.org/C005358/images/galilei_image01.jpeg, パブリック・ドメイン, リンクによる
その後、イタリアの物理学者・天文学者のガリレオ・ガリレイ(1584年2月15日~1642年1月8日)がコペルニクスの説を支持します。しかし、この地動説をめぐってローマ教皇庁と対立し裁判にかけられ、軟禁されていまったのです。ガリレオと言えば「それでも地球は回っている」という言葉で知られていますね。これは裁判で地動説を主張してはいけないという判決を受けた後の言葉だそうです。
ウィリアム・ブレイク – The William Blake Archive, パブリック・ドメイン, リンクによる
こうして久々に人々の前に現れたものの受け入れられることのなかった地動説。アイザック・ニュートン(1642年12月25日~1727年3月20日)の万有引力の発見からやっと地球が動いていることがはっきりとしたのです。なお、それまでの地動説は太陽が宇宙の中心という考え方でしたが、ニュートンがそれを太陽が他の天体に比べてずっと質量があるためだということを発見しました。
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常識は変わる!天動説から地動説へ
紀元前に元となる考え方が生み出されていた「地動説」。しかし地動説が受け入れられず、長い間天動説が支持されてきました。その背景には観測技術がなかったことだけでなく、当時の宗教観も大きくかかわっています。しかし、多くのコペルニクスをはじめとした科学者の計算や実験によって地動説が認められたのです。
常識が正反対となる「コペルニクス回転」。コペルニクスが地動説を広めガリレオが地動説をめぐって宗教裁判を受けた当時、地動説はきっとバカげた考えだったのでしょう。しかし、地動説の元となる考えはずっと昔からあったのです。今の常識が突如変わる可能性はこれからもあります。だからこそ、研究や勉強は面白いのですね。